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108話 掲示板へ

「ベ、ベール!?」


 そう、その声はベールのものだ。

 だからこそ、リルは慌てて人垣をかき分けそちらへと向かう。

 そこに居たのはベールと小鳥を連れていた少女ミリーだ。


「リルちゃん!」

「リルさん!?」


 二人の声が重なり、リルは大きなため息をつく。

 すると周りの声は一旦止み……。


「この子は不正なんてしてないよ」


 リルはそれを利用しゆっくりと告げる。


「ペットを譲れって言われて拒否しただけ、掲示板に書いてあるのはただの嫌がらせ!」


 そう伝える。

 しかし、いったん火がついた人たちを抑えられるわけもなく……。

 すぐにヤジが飛び始め――。

 ミリーの表情はどんどんと曇っていく。


「なんでリルちゃんの話を――」


 聞いてくれないの?

 そう言いかけたベールの口をふさいだリルはミリーの方へと向かい。


「一緒に来て!」


 そう言って彼女とベールの手を引きその場から移動をしようとする。

 しかし――。


「どこに行く気だよ! チーター!!」

「さっきからちーたーってなんなの?」


 ベールはその意味がまだ理解できないのだろう。

 だが、リルやミリーは違った。

 チーター……つまり不正行為やズルをしたもののことだ。

 勿論、ミリーはそんな事をしていないだろう。

 だが……掲示板に書かれた内容を確認できていないリルは――。


 よっぽど変な事を書かれたに違いないとしか思えなかった。


 それも信憑性のある嘘をだ。

 勿論ただのでっち上げでも人は火種にし燃やし始める。

 だが、ここまで大きくなることはないはずだ。

 また誰かの悪戯だろうと済ませるに違いない。

 しかし、あの人数が彼女を責めていたのだ……だからこそ――。


「おい! 逃げるな!!」

「逃げるんじゃない! 掲示板を見に行くだけだよ!!」


 彼女の手を握ろうとした男に気がついたリルは慌てて腕を引きミリーを引き寄せるとそう伝える。

 どんな嘘が流れているのかしっかりと確認したほうが良いと考えたからこそ、そんな言葉が出てきた。

 しかし――。


「そんなの見てどうするんだよ、事実は事実だろ?」

「事実じゃないから問題なんでしょ? 寄ってたかって一人をいじめるなんて……こんなの、酷すぎるよ……」


 昔からネット上でのいじめというものはあった。

 だが、実際にそこから離れてしまえば被害は避けれたのだ。

 しかし、こういったネットゲームでは別だ。

 同じサーバーに居る限り粘着してくるものはいる。

 また、別サーバーを利用しても情報が流れている可能性だってある。

 いや、アスカレイドには別サーバーがないため、逃げようがないのだが……。


「確認して、それが嘘って証明するだけ」


 なら、逃げ道は二つしかない。

 ゲームをやめるか……それともその嘘を晴らすかのどちらかだ。

 どっちにしても信じない者はいる。

 しかし、そんなことはどうでもいいのだ。

 嘘と分かれば庇護してくれるものが増えるはずだ。


「リルさん……そんな、悪い……」

「悪くない、もしかしたら私やベールが同じ目に遭ってたかもしれないんだし、それに……こういうの嫌いだから」


 リルはそう言うと改めて掲示板へと向かい歩き始めるのだった。

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