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106話 対策

 嘘を言っているようには見えない。

 恐らく脅されたというのも離れたくないというのも本当だろう。

 だが、気になることがあるのだ。


「ねぇ、それって女性プレイヤーで私は鳥が好きなのとか言ってた?」


 そう、リルが気になったのはいきなり売ってくれと言ってきたあの女性だ。


「え? あ、そうですけど……」

「やっぱり……」


 先ほどの女性だったのか……。

 リルはそう思いつつ、大きなため息をつく。

 追ってこれなかった以上、AGIを上げてはいないのだろう。

 元々このゲームではAGI特化型や回避型はそこまで人気ではないのだ。

 だが……そんなことはどうでもいい。

 これからどんどんとペットを連れて行く人は増えるだろう。

 リルたちがたまたま手にいれただけだ。


「……うーん、でも現状は珍しいから狙われるかもしれないのか」

「え……つまり、ドロップを狙われるって事ですか?」


 不安そうにペットを抱きしめる少女を見て、リルは首を横に振る。

 恐らくドロップは勿論、譲渡もできないと考えたからだ。


「じゃぁ……どうして狙われるって……」

「情報が無いからね……アイテム扱いだって考えてる人はいそう」


 一応ウィンドウを操作し、インベントリにペットがいないことを確認するリル。

 笛の方はアイテム扱いになっているが……どうやらドロップはできないようだ。

 つまり、ペットはそのアカウント自体に連携づけられていると考えられた。


「なら、先に情報を出すしかないかな」


 そう、情報が無いなら提示してしまえば良い。

 情報さえ伝わればしつこく付きまとわれる可能性も減るだろう。

 そうなれば後は原石をめぐることになるとは思うが……。


「原石はもう私達には関係ない事だし」


 現状では原石を使うのは交換のみ。

 それも手に入る物もそろそろ情報がそろうだろう。

 ペット以外に有用なアイテムがあるかもしれないが……。

 それほど騒がれていない事から今は特に急いで必要な物は無いはずだとリルは考え――。


「でも、情報って、掲示板に書くだけじゃ……」

「だね、私達が言ったところで効果は薄いと思う、出来るだけペットを連れている人の話を聞かないと」


 こうなったらクロネコの出番だ。

 リルはそう考え――急いでメールを送る。


「仲間に情報屋がいるから、その子にも動いてもらうよ」

「わ、私もお客さんに聞いてみます、えっと……アイテム扱いじゃないことを確認すればいいんですよね?」

「うん、お願い」


 お互いにペットを持つプレイヤーだ。

 これ以上変な人に付きまとわれたり、ドロップ狙いで襲われる可能性がある以上、お互いに手を貸す方がいい。


「じゃぁ、フレンド登録しておこう? 私リル」


 リルの提案に彼女はフレンド登録を受けながら笑顔を浮かべ。


「はい、よろしくお願いいたします。私はミリーです」

「うん、よろしくミリー」


 互いに笑みを浮かべると、二人はこの問題を解決すべく歩き出す。

 大した問題には見えないかもしれない。

 しかし、いくらペットにドロップの可能性がないとは言っても他の装備は違うのだ。

 それこそリル自身にはあまり意味のない事ではある。

 だが、他の仲間は違う。

 だからこそ、ペットの情報を流し無駄に狙われる事の無いように動かなければ……。

 そう考えたのだ。


「それじゃ、私は一旦戻るね……って一緒に街に戻る?」

「はい、そうですね、そろそろ戻ります」


 生産職である彼女を置いて行くわけにはいかない。

 リルはミリーと共に町へと戻るのだった。


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