表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/115

プロローグ 灯冬乃とリル

「おおー! これが最新のVRギアってやつかぁ……前のより軽いかも」


 彼女はそう言うとヘルメット型のハードを手に取っては様々な角度から見つめる。


「カードスロットはここだね」


 彼女の名前は灯冬乃(あかりふゆの)

 ゲームが大好きな少女だ。

 今回もこのゲームを買ってもらうため勉強に励んだり、バイトをしたりと何とかやりくりし手にいれたわけだ。

 そして、ハードだけでは当然ゲームはできない。

 事前に買うゲームはすでに決まっていてもう手元にあるのだ。


「アスカレイドオンライン! 楽しみだなぁ……」


 今世界的に人気のVRMMOゲームだ。

 カードスロットにゲームカードをセットした彼女は意気揚々とギアをかぶる。

 すると見慣れたはずの部屋は見たこともない空間へと切り替わっていくではないか……。


「おおー!」


 まだゲームすら始まってはいない。

 だが、それでも十分彼女は楽しんでいた。


「アスカレイドオンライン、起動!」


 座っていた別途に横たわった彼女はすぐにそう口にする。

 すると――ゲームのアイコンが目の前に現れすぐにタイトル画面へと移行した。

 ログインの項目を選ぶと見慣れない街並みの中に彼女は居た。

 ほかに人がいない事から恐らくは設定画面なのだろう。


「ん?」


 だが、一向に進まないことに彼女は首を傾げていた。

 すると――。


『おめでとうございます! あなたは通算10万人目のプレイヤーです!』


 優し気な女性の声が聞こえ、彼女は目を丸くした。


『今回運よく10万人目となったあなたには新たなジョブを先行で選べる権利があります、初期設定で選ばなくとも酒場に居るNPCからいつでも変更は可能です』

「えっと……つまり、テストプレイが出来るって事かな?」


 冬乃はそう言うと新ジョブの項目へと目を向ける。

 すると移されたのは二刀を持った剣士、弓と短剣を持った人、そして侍とテイマー。


「んー、どれどれ?」


 二刀使い:人気のアニメ主人公のごとく連撃と火力に優れたジョブ。

 星屑の連撃という10連撃特殊スキルが使える。


「……いや、これパクリじゃん、やっちゃだめなやつじゃん!」


 侍:日本刀や太刀を用いた攻撃を得意とする職業。

 ちょんまげはない。


「……それだけ!? ほかに説明ないの!?」


 テイマー:魔物をテイムし使役する。

 魔物は食料や体重、ステータスによって進化する。

 テイム後は卵となり、幼年、成長、成熟、究極……。


「この運営大丈夫? またパクリじゃないのこれ? なんか”兄さん”が好きだった気がする」


 半場呆れながらも最後のジョブへと目を向ける冬乃。

 どうせ適当なことが書かれているに違いない。

 彼女はそう思ったのだが……。


 アサルト:弓と短剣を使うジョブ。

 トラップなども設置できるが、矢やトラップの素材の持ち運びが必要。

 レンジャー、シーフ同様弓はDEX、短剣はAGI依存の攻撃力となる。


「……なんでこれだけましな説明なの?」


 ただし紙装甲ですぐに寝る。

 VITによるHP補正が低く、AGIあげて頑張ってPS(プレイヤースキル)で避けてください。

 でもシーフより回避補正率は低いです、じゃないとシーフの意味ないので……。

 ちなみにレンジャーは遠距離職としては微妙な立ち位置だと言われています。

 魔法使いって強すぎない? そもそも弓って昔は英雄の武器って言われていたんだよ?

 それなのに魔法なんて言う存在しない力の方が強いって酷いと思うんだよ。

 だから運営の勝手な判断で弓を使う職を増やしてみました。

 弓職って大抵のゲームで微妙だったり不遇だったりすることがあるので運営チームは憤懣(ふんまん)しています。


「その説明いる!? そもそも説明じゃなくって愚痴になってるよね!?」


 もういい、疲れた。

 彼女はそう言うと初心者向けのジョブにしようと考え戻ろうとするのだが……。


「何で戻るとかキャンセルの項目がないのかな? というか決定しかないってどういう事?」


 どこを探してもキャンセルが無いのだ。

 つまりこの4つのジョブの中から選ばなければならない事に気がついた彼女は……。


「横暴だ……10万人目って言う特別感を出しただけの運営の横暴だ……」


 がっくりと項垂れたところで手を腰に当て考える。


「仕方ない、一番説明がましだし……いや、ちっともマシじゃないけど弓ならリアルで触ったこともあるしアサルトにしておこう、嫌だったら職を変えればいいし」


 彼女はそう言うとアサルトを選択し次へを選択するのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ