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迷宮都市の鍛冶屋さん  作者: NaMa86
第1章 迷宮都市の日常編
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8.照れ隠しは殺意でお受け取りください

「早く本題に入れアスベル。すまんな二人とも。ここは私たちが持つから、飲み物でもどうだ?私たちもそろそろお腹が減っていてな。座って話を聞いてもらえないだろうか?君たちにも関係する話なんだ。」

「う~ん。・・・ベティどうする?私は話を聞くくらいならいいと思うけど。」

「アイリがいいなら私もいいよ。」

「ありがとう。ではメニューを」


 といったところでハカマ美女のほうからもの凄い音が聞こえてきた。ギルド内に響き渡る、グゥゥーーーという音。彼女を見ると顔を下に向けているが、耳まで真っ赤にしてフルフル震えている。そして静かに剣の柄に手をかけて、


「ア~ス~ベ~ル~!!!貴様がさっさと話しをしないから!!!ぶっ殺す、そこ動くな!!!」


 そういって腰の剣を抜くハカマ美女。抜かれた剣は刀身60cm程の純白の刀身に薄く青と金で刃文が描かれており、鍔はまるで雪の結晶のような形の、美しい剣だった。


「恥ずかしいからって殺しに来るな!!刀から手を放せ!!ガイ!リンを止めてくれ!!」

「ムゥ!!この場合悪いのはナンパを始めたアスベル!だから止めるのは筋違いだと思うのだが、どう思う妹よ!!」

「まぁ止めなくていいんじゃない?僕もお腹減ったしさっさと朝ごはんにしようよ。リンもご飯が来たら止まるでしょ。」

「なるほどなぁ!!さすがは妹だ!!二人とも!そういうことだから遠慮なく飲み物を頼むといい!!支払いはアスベルが持ってくれるさ!!おぉーーい!!ウェイトレス!!!とりあえず早く出てくるものを片っ端から持ってきてくれ。」

「はやく・・に会いたいわ・・・・・に・・・・許して・・・・いるのに。・・・。」


 クラリスと呼ばれた女性がなんと言っているかよく聞き取れなかった二人だが、とりあえず席に着く。近くではアスベルvsリン(といってもアスベルはひたすら回避しているだけ)が起こっており、落ち着けない。恐ろしい剣の速度と鋭い切返しだが、アスベルは紙一重で躱し続ける。まだ続くと思われた戦いだが、ある一言により突然の終了を迎えた。


「お待たせしました。クロワッサンになります。」

「よし、いただきます!」


 一瞬で席に着いて食べ始めるリン。おあずけを命じられた犬がGOを出された時のような勢いで食べていく。決して汚い食べ方になっていないのがすごい。しかしそれよりすごいのをベティは目撃した。


「こそ(ねぇ、アイリ)」

「こそ(何?ベティ?)」

「(さっきのウェイトレスさん、リンさんの剣戟を()()()()()配膳に来たよね?しかも飲み物を一滴も零さずに)」

「(・・・確かに!?え、ちょっと待って、え、私何も持ってなくても無理だと思うんだけど、ベティはどう?)」

「(私も無理だよ。さらにあの長いスカートにも一切の傷がついてないし・・・あのウェイトレスさん、一体何者?)」


 そんなことを話している間にも、リンの食べる速度は変わっていなかったようで、その細身のどこに入るのだろうか?と二人は思いながら、幸せそうにご飯を順調に平らげていくリンを見守るのだった。

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