7.滅龍の剣との邂逅
「「は?」」
アイリとベティの声が重なった。Sランク冒険者からの第一声がナンパなのだから仕方ないのだろうが。しかし、そんな雲上人からの誘いに二人は、
「「結構です。他をあたってください。」」
二人は早くランクを上げたいのだ。ナンパ男にかまっている暇はなかった。そんな二人を見て男はきょとんとした顔をした後、突然笑い出した。
「あっははは。そっか結構かぁ。フフフフフ、ウェッゲホッゲホ。ああ、ごめんね。突然笑い出して。」
涙目のまま謝罪する男。ドン引きする二人。そんな青年を見て後ろの4人も騒ぎ出す。
「おお!!アスベルがナンパ失敗したぞ!!いつ以来だ!?もっと筋肉が必要だったな!!」
「おい、ガイ、失敬な事を言うな。まだ失敗してない。ファーストコンタクトが最悪だっただけだ。あと筋肉はこれ以上はいらない。」
「それもう駄目じゃないの?アスベルぅ~。」
「まだ大丈夫だケイ、ここから持ち直すのが俺だ。よく見ておけ。」
「僕、女だから見ても仕方ないし~。ガイ兄はよく覚えておいたほうがいいんじゃない?」
「「え?兄??」」
つい声を出してしまうアイリとベティ。
「フゥン!必要ないぞ、妹よ!!俺には頼りになるこの筋肉がついているのだ!!!」
「「え??妹???」」
つい黒巨人とチビ女を見比べるアイリとベティ。まったくもって似ていない兄妹だった。
「筋肉で彼女できるの?ガイ兄。それとも筋肉が彼女なの?どっちにしてもキショいよ?」
「ぐっはぁ!!妹よ、今の言葉はなかなか俺の心を抉ってきたぞ!俺の筋肉も震えているぅ!」
産まれたての馬のようにぷるぷるしている黒鎧。鎧の中では筋肉が震えている光景を想像して気分が悪くなる二人だった。他の4人はもう慣れているので何とも思っていない。
「脳筋兄め・・・手遅れだったか・・・。」
今までずっと小声でぶつぶつ何事かをつぶやいていた女神官が、ここで初めて声をだす。
「ねぇ私もう次行っていいかしら?」
「まぁまてクラリス。もうちょっとでナンパできるから。そしたらみんなで行こう。」
「「勝手に予定を決めないでください。」」
混沌としてきた場に凛とした少女の声が割って入った。