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迷宮都市の鍛冶屋さん  作者: NaMa86
第1章 迷宮都市の日常編
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1.プロローグ

処女作です。誤字脱字・指摘事項等は優しく教えてくださると作者はうれしく思います。基本は不定期更新で行きます。見切り発車なのでプロットも何もないので。今回は3人称視点で書いたつもりです。

あと刀剣づくりについての知識はないです。

カーン、カーンと甲高い音がなっていた。

音の発生源は、1人の若い男。その男が手に持っている、ハサミのような器具で押さえつけている赤々と色を変え、熱を放っている鉄の塊。


それに男の持っている金槌が振り下ろされる度に甲高い音が響いていた。

そこは鍛冶工房だった。轟轟と炎を噴き上げる炉、水を湛えた水槽、所狭しと置かれた棚に乗っている各種素材。室内は薄暗く、炉の炎と窓から夜明けの光が差しこんでいるだけの状態だった。


炉の近くに座っている男の全身からは、夥しいほどの汗が流れ落ちているが一切気にする素振りもなく、一定のペースで金槌を振り下ろし続けていた。


何回も・・・いや、何百何千と振られた金槌がふと止まり、男の動きもまた止まる。

そのまま男は、近くの水が張られた水槽に今まで打ち付けていた鉄の塊、いや刀身(・・)をそのまま浸す。


ジュアァァァという形容しがたい音が大音量で聞こえるが、男は音がでなくなるまで、その刀身を浸し続けた。


音がしなくなった後、刀身をじっくり観察する。美しい刃文を描き軽く湾曲したその刀身に満足したのか、先に作っていた鍔や柄、鞘などを炉の反対側にある作業台に集めて組み立てようとしたそのときだった。


「兄さ~ん、朝御飯の用意が出来たよ~。」

そんな声が、男の耳に届いた。そして今、組み立てようとしていたパーツをその場において返事をする。

「あぁ、今行くよ。」

そういってなんの未練もなくその場を後にして、声の主がいるであろう台所へと向かう。


台所では今年で15歳になり、成人を迎える妹が、かわいらしいフリルのついたピンクのエプロンをつけて、朝食を運んでいる所だった。


浅黒い肌に黒い髪を左右で縛ってツインテールにしている。身長は低く150前後、その胸はいまだ膨らむ兆しがない。本人は気にしてないと言ってるが、陰でいろいろしているのを男は知っていた。

クリッとした目の色は髪と同じ黒で、綺麗というよりは可愛らしい顔立ちをおり、快活な少女の魅力を高めていると男は密かに考えていた。


「おはよう、兄さん。」

「ああ、おはようユキ。」

「わ、凄い汗じゃん。こんな朝早くから、また打ってたの?はい、お水。」


軽く呆れたような声で、ユキが言う。

男の現在の格好は、作業着として膝までの藍色の短パンと、同じく藍色の紐で縛って止める上着のみを着ている。ジンベーという古くは勇者も愛用し、生産職に就くものがよく着用する衣服である。

そのジンベーが水分を多量に吸って変色し、その重量を増している。


何よりも濡れたものを着たままというのがなんとも気持ち悪いと男も思う。

しかし、せっかく愛する妹が作ってくれた朝食を冷ますのはもったいないと思った男は先に朝食を食べることにする。


「あー、悪い。臭うか?結界のお陰で音と熱は抑えられていたと思うんだが。」

「音も熱も大丈夫だけど、汗ヤバイよ?先にお風呂に入ってきたら?」

「ありがたいけどせっかくユキが作ってくれた朝食だからな。食べてからにするよ。・・・臭くないよな。?」

「まぁ兄さんがそういうなら先にご飯食べよっか。」


そう言うやいなや席に座り食前の挨拶をしてから食べ始めるユキ。


「・・・臭くないよな?・・・なぁ!?」


ユキはクスクスと楽しそうに笑うだけで、臭いとも臭くないとも言わないのだった。

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