魔獣討伐
「さっき教えた基本の戦い方をするぞ。いいな?」
アベルはそう言い終わると同時に、炎の矢を牽制で打ち出した。
炎の矢は兎型魔獣が齧っていた木に突き刺さる。
それに驚いた兎型魔獣は矢が飛んできた方を探し、アベルの姿を見付けると逃げようとした。
「逃さないよ!」
ミルクがそう言いながら兎型魔獣に斬りかかる。
だが、今まで戦闘経験がある訳でもないミルクの一撃は兎型魔獣の身体に多少の切り傷しか与えれなかった。
ギューっと兎型魔獣は鳴き声をあげ、ミルクが来た方と反対に逃げようとした。
「こっちには行かせん!」
しかし逃げようとした方にはデクが待ち構えていて、大盾で兎型魔獣を殴り飛ばした。
殴り飛ばされた兎型魔獣は齧っていた木にぶつかり動きが止まった。
その隙に今度こそ、とミルクが斬りかかる。
今度はしっかりと落ち着き、言われた通り短剣で心臓があったであろう場所を突き刺した。
ギュー……
兎型魔獣は小さく鳴くとそのまま絶滅したようだ。
ミルクは複雑な顔をしながらゆっくりと短剣を引き抜く。
「ミルク、よくやった。これが俺達の仕事だ。やれるか?」
アベルはミルクの頭を優しく撫でながら聞いた。
「アベルは言ったよな?仕事をすればお金がもらえる。
お金があれはアタイの大好きなミルクが買える。
ミルクだけじゃない。美味い肉や魚も買って食えるんだよな?
だったらやるよ。魔獣は増えたら迷惑なんだろ?
まぁ正直なんかあんまいい気持ちじゃなかったけどな。」
ミルクは頭撫でるの辞めろよっていいながらも、少し嬉しそうに撫でられていた。
「デクは?」
ウリウリーとミルクの頭をワシャワシャ撫でながらデクに聞いた。
「オイは楽しかったぞ。元々身体を動かすのが好きだったからな。
生きるためには働かなきゃいかんのは当たり前のことだしな。
それが死体の片付けから魔獣討伐に変わっただけだ。」
ワシも撫でてやろう!とミルクのことをワシャワシャしながらデクは答えた。
二人とも大丈夫みたいでよかった。
そんな話をしてるいると討伐した兎型魔獣から黒いモヤが出始めた。
「はじまったか。みんな、少し見ていてくれ。
魔獣は討伐されて少し時間が経つと、あんな感じで魔素を体外に排出するんだ。
そして体内の魔素を全部排出すると…魔石だけになり、排出された魔素が魔石に再吸収される。
強い魔獣ほど魔石が大きく、そして魔石の色も濃くなるんだ。」
兎型魔獣の魔石を拾い上げみんなに見せる。
「コイツは弱い魔獣だから魔石も小さくて色も透明だ。
魔獣を倒したら必ず魔石を回収するように!
そしたらこのまま時間まで薬草採取しながら、魔獣と遭遇したら討伐するぞ!」
「あいよ!」「オウ!」