名前
「まぁ貴様は当たり前に魔力はあるな。」
終わったぞ、と言いながら魔剣アベルは耳打ちをしてきた。
「貴様のパーティーには水色の髪の娘と鬼人の大男、それと獣人の娘を入れろ。
水色の髪の娘は治療の適正が特に高い。
鬼人の大男は重装に、獣人の娘は多少の魔力を持っているから前衛に、貴様は支援じゃ。」
そのまま、魔剣アベルは他のパーティーも決め、4パーティーが出来上がった。
「俺の名前はアベル。
これからお前達は俺のパーティーで一緒に行動をしてもらう。
お前達も自分の名前はもう決めたか?」
「オイはデクって名前にした。
前に作業してたとき騎士の人達にはそう言われたことがあった。
多分いい意味ではないと思うけど覚えやすい。
だからオイの名前はデクだ。」
鬼人の大男は名前をデクに決めたようだ。
背が2mくらいあり筋骨隆々としている。
見た目は少し怖いけど口調は柔らかく性格は大人しそうだ。
「アタイはミルクにする!アタイ、ミルクが大好きなんだ!
小さいとき教会様達にもらったことがあったんだ。
冒険者になればミルク飲めるようになるかな?
いっぱいがんばるから、がんばったらミルク飲ませてくれよな!」
獣人の娘はミルク。
12、3歳くらいだろうか?まだ子供みたいだけど獣人は産まれ付き身体能力が高い。
多少の魔力もあるみたいだからいい前衛になりそうだ。
「えっと、私は…すみません。まだ決められてなくて。
あの、よかったら私の名前決めていただけませんか?
私、言われたこともちゃんとできない、私みたいな穢人がアベル様のパーティーだなんて…足手まといになってしまうと思います…。」
水色の髪の女の子…名前を決めれないみたいだ。
さてどうするか。
「……娘。名は我が付けてやろう。
貴様の名はクズかゴミで十分じゃ。
我は貴様みたいなやつが大嫌いなのじゃ。」
いきなり魔剣アベルがとんでもないことを言い出した。
「おい!ちょっと待て!そんな名前を付けるな!
いきなりどうした?なんでお前がそんなに怒ってるんだ?」
焦ったアベルは魔剣アベルを連れて皆から少し離れ理由を聞いた。
「あの水色の娘はの、あれは魔人の血筋の者じゃ。
とんでもない魔力を秘めておる。
他の者達と違って知識も持っておるだろうな。
何故このようなとこで穢人として生きておるのか不思議じゃが…。
あの娘の目。あれは全てを拒絶する、生きることを諦めている者の目じゃ。
じゃが、あの娘の力はきっと貴様の望みを叶える力になる。」
それはわかっているが腹がたつのじゃー!と怒りながらも俺に教えてくれた。
「えっと、じゃあ君はソラって名前でいいかな?」
アベルは水色の髪の女の子に聞いた。
「…ソラ…。私の髪と同じ色の名前…ですね。
ありがとうございます。私の名前はソラ。
これからよろしくお願いいたします。」
少しだけ明るい顔になった気がした。
「よし、じゃあみんなの自己紹介も終わったし、これから魔獣を少し狩るか。」