表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/27

魔剣

あれからどれくらい時が経っただろう。


「…ん、さっきのは、夢か?」


ポツリと呟いてしまった。


「夢なんかではないぞ。」


「え?」


後ろから話しかけられる。

ビックリして振り返るとそこには綺麗な格好をした女の子が立っていた。


「えっと、誰ですか?」


自分とは明らかに違う身分の格好をした女の子に驚きつつ聞いてみた。


「覚えてないのか?貴様は望みを我に願ったであろう?」


さっきのは夢ではなかったってことなのか?

剣を触った瞬間からおかしな幻を見て…


(あ、もしかして俺死んだ?)


出た答えがこれだった。


「ちなみに我らは一心同体となったのだから貴様の考えていることもわかってしまうが、貴様はバカなのか?

我がそのお主が触った魔剣じゃ。

信じられぬと言うならほれ、見ておれ。」


女の子はそう言い終わると光に包まれ、剣へと姿を変えた。


(我が言っていた意味がわかったか?)

(そして、覚えておるか?)

(貴様の望み)

(我を手に取り願え)

(望みを叶える知識がほしい、と)


俺は、思わず握ってしまった。


そして、その瞬間から世界が変わった。


いや、違う。世界が変わったんじゃない。

変わったのは俺だ。


この世界の在り方。特権階級、王族、貴族、平民、穢人。

今まで当たり前だったことが当たり前ではないこと。

家、食べ物、生活。


「これは?」


(我が知識を共有してやった)

(貴様の願い)

(腹いっぱい飯が食いたいのであろう?)

(これでどうやったらいいかわかったであろう?)

(我にはそれをする力もあるぞ?)


俺は穢人。

特権階級によって作られた存在。

名前を与えず、家を与えず、仕事を与えず、飯を与えず、知識を与えず。


平民でいることにしあわせを感じさせずためだけの存在。

人であり人ではない存在。


「俺は、腹いっぱい飯が食いたい。」

(知っておる)

「俺は、家に住んでみたい。」

(知っておる)

「俺は今までなにも知らなかった。」

(だが今すべてを知った)

「俺は望むものすべてが欲しい。」

(それを叶える力と知識を我は与えた)


「まずは、仲間を解放する。」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ