魔剣 VS 魔剣
「フン。その程度の腕で魔剣使いとは。いいか?魔剣を自分だけが持っていると思うなよ?」
甲冑の男はそう言い、剣を抜いた。
(なにっあの剣は!不味い!避けるのじゃ!!!)
魔剣アベルの声に咄嗟に反応し、アベルは魔剣で甲冑の男の剣を弾いた。
その瞬間。バチっと火花が散り、それと同時に全身に雷が走ったような衝撃を受けた。
「ぐがぁああぁぁぁああ。」
剣がぶつかった衝撃で後ろに飛ばされたアベルはすぐに立ち上がろうとしたが、身体が痺れて上手く立ち上がれなかった。
(貴様、大丈夫か?アヤツのあの剣……。
我と違い自我はないが、悠久の時の中で多量の魔力と雷を吸収した魔剣じゃ。
我に魔力を纏わせろ。そうでないと今みたく身体が痺れて動きが鈍るぞ!)
アベルは言われた通り刀身に魔力を纏わせた。
そうすると、魔剣アベルの刀身は鈍い黒色へと変化した。
「ホウ。魔剣に対抗する術を知っていたのか。
だが動きが素人同然では、折角の魔剣が宝の持ち腐れだとは思わないか?」
刀身に魔力を纏わせたおかげで痺れることはなくなったが、甲冑の男の剣術は並のレベルではなかった。
次第に剣で捌ききれなくなり、
「ぐぁっ」
斬られたとこに電流が走る。
傷はたいしたことはないが、雷の力で一緒動きが止まる。
その止まった一緒の隙きにまた別の場所を斬られる。
(クソッ、このままじゃ不味い。致命傷を受けるのも時間の問題だ。)
「お待ちください。」
アベルの焦りがどんどん大きくなっていた時、カノンが声をあげた。
「彼等は私の客人です。
これ以上の戦闘行為は私への宣戦布告とも受け取れますが、どうなされますか?」
「フン。神国の巫女殿よ。貴方にこの魔剣が止められるのかな?」
甲冑の男は魔剣をカノンの方に向けた。
「辞めろ。巫女殿には絶対に手を出すな。
アベル、すまなかったな。だが、ソラ様はこのまま私達の方で預からせてもらうぞ。
これは譲れぬ決定事項だ。」
ゲイルは甲冑の男に剣を仕舞うよう指示をしミルクとデクを解放するように兵士に伝え、そしてアベルに話しかけた。
「何訳わかんないこと言ってやがるんだ!ソラはどこだ!?」
「アベル様、少し落ち着いていただけますか?
ゲイル様。何故ソラ様を監禁されたのですか?」
ゲイル達に飛びかかろうとするアベルを制止しカノンが聞いた。
「……。ソラ様は、伯爵様の娘かも知れぬからだ。
三年ほど前に伯爵家から捜索状が出たのだが、その手配書の娘にソラ様がそっくりなのだ。
確認の為、ソラ様には王都へ向かっていただいた。もうここには居らぬ。」
(あの娘の魔力量なら有り得るな。貴族の娘だとは思ったがまさか伯爵家の者だったとは……。)
ゲイルの言葉に魔剣アベルはなるほどと納得したようだ。
しかし、納得しない男がここにはいた。
「そうか。じゃあ俺達はこのまま王都へ行かせてもらう。」




