巫女
「お待たせいたしました。お館様がお待ちしております。中へどうぞ。」
アベル達は屋敷へと通される。
門を潜ると立派な庭園が客人を迎え入れる。
庭園の木々は実のような物を付けており、庭師がそれを収穫していた。
しばらく歩くと屋敷へと辿り着いた。
「近付くと本当にデカいのがわかるな!」
ミルクはすげーすげーとはしゃいでいる。
「お待ちしておりました。」
屋敷の門の前には初老の男性がおり、使いの姿を見ると扉を開けてくれた。
「うわぁ…。」
間抜けな声が出てしまった。
屋敷の中は吹き抜けになっていて、奥には二階に行くための階段が左右に伸びている。
二階の奥には誰かの肖像画が複数枚飾ってある。
天井からはおそらく魔力灯のシャンデリアがぶら下がっている。
「わざわざ来てもらってすまんな。」
屋敷の内装に見惚れていると声がかかった。
「私はこの街の代表のゲイルだ。
此度の山賊の討伐、そして巫女様の危機を救った事、誠に大儀であった。」
声のした階段の方を見ると40歳くらいの男性とその後ろに女性がいた。
「いえ、そんなお礼を言われるようなことはしてません。」
アベルは素っ気なく答えた。
(コイツ貴族だよな?)
(あぁ、それもかなり位の高い貴族だと思うぞ。)
(そうなのか?でも魔人じゃないだろ?)
(魔人ではなさそうだが、奥の肖像画があるじゃろ?
あれは魔人族の始祖とされておる男女の肖像画じゃ。つまりこの国の建国者達じゃ。
この国の制度を作った、な。しかし……。)
アベルと魔剣アベルの会話は続く。
(しかし、なんだ?)
(いや、男の後ろにいる女。あやつ何者じゃ?
トンデモナイ魔力を秘めておるぞ。)
(巫女って呼ばれていたよな。
巫女ってのは外の国の女王のことだよな?)
(うむ。その国は神を王としているから、実質の最高権力者じゃな。)
「いや、君達の功績は予想以上のことだ。
詳しくは言えないが、こちらの方はまだ若いがとても高位な方でな。
万が一のことがあっては大変なことになっていた。改めて礼を言おう。」
ゲイルがそう言うとそれに続き巫女と呼ばれた女が話はじめた。
「此の度は私の危機を救っていただき、ありがとうこざいました。
ゲイル様に黙って使いの者と外を見に言ってしまい、この様なことに……。
後程、お礼と感謝の祈りをさせていただきたいので代表の方、私のいる部屋までお越しください。」
「いえ、そんな大したことはしてないですので気にしないでください。」
アベルはたまたまなんで、と言った。
「いえ、是非とも部屋にお越しください。アベル様。」




