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プロローグ

「今日はここを清掃してもらう。

武器や鎧など使えそうなものは全部ここに集めろ。

死体は魔獣や獣に掘り返されないように5m以上掘った穴に捨てるように。

わかったらとっとと作業を開始しろ。」


鉄でできた立派な鎧を着た偉そうな男の命で、襤褸を着た人々が作業をはじめる。

俺もその命を聞きいつも通り作業をはじめた。

これが俺達の仕事。

いや、これをするために生きている。

今回は戦場の後始末。

死体を放っておくと魔獣が増えたり疫病が流行ったりするらしく、そうならないために死体を埋める。

ついでに使えそうな物も集めて来いということみたいだ。


「今日のご飯はなにかな?」


「この間のパンと汁、美味かったからまたあれ食いてぇーな。」


「雑草汁と芋団子じゃなきゃなんでもいいわ。」


「ははっ、ちげーねー。」


俺達は穴を掘りながら飯の話をした。


仕事をすれば飯がもらえる。

俺達、穢人にできる仕事は死体の処理だけ。

集落に偉い人達が来て呼ばれた人数で仕事に行く。

そこは戦場だったり、疫病が蔓延して滅んだ村だったりするがやることは一緒だ。

仕事がない日は飯が食えない。だから普段は雑草を茹でた汁や植えれば育つ芋を食べている。


俺達は土地を持つことも家を持つこともできない。

土地を持てないから農家にもなれない。

家を持てないから街や村の端っこに集まり生活をしている。


今までそれになにも疑問を抱かなかった。

みんなそうだったし、昔からそうだったから。

でも、今日、運命が変わった。


キラッ


「ん?なんか光った?武器かなんかだったら飯多くもらえるかも!おーい、俺あっちの森の方見てくるわ。」


一緒に作業していた男にそう告げ、俺はひとり森の方へ入って行った。


「お、やっぱり武器だ!この間は武器持ってったら飯多くしてくれたんだよな。今回も増えるといいなー。」

そんなことを呟きながら見付けた剣を手に取った瞬間…。


(貴様は何を欲する?)

(貴様は何を欲する?)

(貴様は何を欲する?)

(貴様は何を欲する?)

(貴様は何を欲する?)


「ぐっ、頭が、……誰、痛い。…くそっ、話かけてきてる?

何を、欲する?…ぐぁ、痛い。頭が、……………ぐぁ、あぁ…はぁはぁ…」


(貴様の望み叶える力をやろう)

(さぁ何を欲する?)

(貴様の望みはなんだ)

(なんでもできるぞ)

(さぁ、貴様は何を欲する?)


今まで味わったことのない痛みが頭に襲ってくる。

だが、声は鮮明に聞こえてくる。


望み?なんでも?


「…俺は、……俺は腹いっぱい飯が食いたい。……家ってものに住んでみたい。……穢人じゃない生活をしてみたい!」


(その望みを叶える力をくれてやろう)

(我を受け入れよ)

(我は魔剣)

(今この時より貴様と一心同体となった)

(我が力と知識で貴様の望みを叶えてみせろ)


「ぐぁぁぁぁあああぁぁあぁあああぁぁぁあ」


そして俺は気を失った。


(これで我と貴様は一心同体となった)

(我が力を使いこなせ)

(我が記憶を使いこなせ)

(我は魔剣)

(我が名は…………………)




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