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尻尾を左右に振りながら、「ゴロゴロニャーン」と鳴いている。そんなライヒッヒのアゴの下を、「ふにゃふにゃ」すると、「ふにゃ」と、声と表情で返してくれた。
(うん。かわいい!)
もっとこうしていたいののだが、そうもいってられない。このあとも予定がある。何とも贅沢な話だ。
離れをあとにして、俺ははるか前方に見える広大な山々を見渡す。
少しして執事のドラゴンが迎えに来た。その背中に乗って山々へと飛び立った。
山の中腹で下ろされる。
山には目印があって、気にリボンが巻いてある。フェイクでたくさんの木々にリボンが巻いてあるけれど、本物はもちろん一つ。
その一つにたどり着いた俺は、遭難者を祀る慰霊碑を横にずらす。隠し扉である。中を50メートル進んだところで、インターホンがついており、鈴を鳴らす。
「もしかして、ダーリン?」
「おませな君に会いに来たのさ、マイ ハニー」
いわずと知れた合言葉である。
ドアがひらいた。