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突然ですが、俺は親友に恋してしまった。って話の序章

突然ですが、オレは親友に恋をしてしまった。


早めのタイトル回収お疲れ様〜、と思ってブラウザバックしようとした人は少し待ってくれ。


具体的には俺が親友に恋心を抱くまでの長く美しい甘美な日々の幸せをじっくりと君たちに伝わるまでは待ってほしい。つまり最後まで聞け、感じろ。


そうあれは春のある日のこと。

俺と、彼女が出会ったあの瞬間から俺は既に、恋に落ちていたーー。たぶん




「オレ、女になっちゃったわ」


「は?」


病院の一室。

カーテンから爽やかな風が入る中、"彼"は言った。


「ふっ、どうやらこの暴風が聴覚を邪魔したらしいな…………すまんもっかい言ってくれ」


「だから、女になってしまったの!オレ!」


「そっか、女になったのか」


そうか、近年発症が確認されたばかりの性転換病に親友はかかったのか。珍しいこともあるもんだ。小学校の時、隣町で一人発症したとかなんとか噂は聞いてたけど、実際見るのは初めてだなぁ。


「って、えぇぇぇぇぇ!?」


「反応おせーな!」


「でもお前何も変わって…………ないじゃん!」


「なんでキレ気味!?そしてどこ見て言いやがった!」


親友を一通り見ても全然変わりがない。よく見れば顔が丸っこいような、でも元々少し童顔だったのもあるし、特に胸の辺り変わってない気がするんだが、後ろにいる親友の母親と医者さんも頷いてるし、本当……なのか?


「お前、本当に女に……」


「ふぅ、お前が信じてくれてよかったよ。オレだってこうやって面会すんの緊張したんだぜ」


「そうなのか……俺はてっきり新発売のラブクエを全ヒロインコンプのために仮病を使っているのとばかり……」


「オレをなんだと思ってるんだ。とりあえず何も無かったら一週間後には学校には行けるって言われてるから」


「そうか、まぁ、その、残念だったな」


「だからどこ見て言ってんだ!?」


これが親友の彼、彼女との始まりの日。

残念なことに残念が残念な感じになっていたが、家に帰って味噌汁飲んでたら、女っぽくなりすぎてなくて今まで通りでいられそうだなと納得して消化した。




一週間後、予定通り退院して学校に行くことになったのだが一人で学校に行くのは無理そうとのことで待ち合わせて行くことにしたのだ。別にあいつが"彼"だった時から一緒に登校はしていたが、万が一俺が先に言ってしまうと思って言ったのだろう。


ふっ、そんな待ち合わせの約束なんてしなくても俺は待ってるぜ!なんて思っていると親友の玄関から騒がしい音がしてきた。


「ごめん!着替えるのに手間取った!」


「ん、おはようってお前……それはないわー」


彼女は学生服だった。男性用の!

そこは気なれてない感じのセーラー服で出てきて、今までのギャップからちょっとだけ意識し始める大事なイベントだろぉぉぉ!と思うのは俺だけかっ!?


「ないわーって、流石に初日からセーラー服で登校こそ普通ありえないだろ。それに手続きしたばっかでまだ届いてないしな。」


「ぐっ、正論。まぁお前が着てもあんまし変わらなそうだけどな。……うん」


「だからどこ見ていってんだ!?」


その後普通に登校した。

特にイベントもなかった。

まぁ、こうやって何気ない会話ができるのはよかった。これからもこんな緩い関係で親友やっていけたらな……。そう、俺たちの青春はこれからだ!


~[完]~






とはいかず、場面はところ変わって教室前。親友は絶体絶命のピンチだった。いきなり説明もなしにとはいかないのでクラスメイトに色々説明、注意、本人の登場などしなければならないのだが。


「きききき緊張してきた」


「そうか、頑張れ」


その本人がめっちゃ緊張してた。


「ききききき緊張してきた」


「そうかー、頑張れ」


「ききき」


「うるせー!大丈夫だって。今先生がみんなに説明してるし、隣町の健太くんも性転換病にかかったけど大丈夫だったって」


「誰だよ健太くんって!」


「よく知らねーよ!」


「よく知らないのかよ!」


だって隣町だぜ?特に知り合いもいないのに知ってたらそれはそれで怖いわ。どんな情報屋だよ。


「……本当のところさ、どう……なんだ?」


「ん?」


「オレのこと気持ち悪いとか、思ってたりしてないか?」


「思ってない。即答で断言できる」


「本当に即答……というか食い気味だな」


「お前は俺の親友だし、親友とかそんなの関係なく楽しいやつのそばに俺はいる。そしてお前といると俺は楽しい」


「そうか……そういうやつだったな。お前は」


『ん、そうだな。じゃあそろそろ本人に前に出てもらうか』


先生が一通り説明し終えたのか、教室から親友に『じゃあ入ってこい』と言う。


「ばばばばばばばば」


「おい、壊れた印刷機みたいな声出てるぞ。……はぁ、じゃあ俺も隣にいてやるから安心しろって」


「そそ、そうか?じゃ、じゃあ行くぞ」


震える手で親友は、ドアノブに手を伸ばし、ゆっくりと力を入れ、扉をひら……


「おい、大丈夫か。早くしないとHR終わってしまうぞ」


く前に先生が思いっきり扉を開ける。




……呆然とする親友。


……ガン見してくるクラスメイト。


あちゃー、と天を仰ぐ俺。





なんやかんやで無事に親友は自己紹介できましたとさ。


ちゃんちゃん。


語ることなし。





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