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茶吉の日常

スキーリゾート

作者: 茶吉

茶吉はスキー場の管理の会社をやっていた。

冬の期間限定のリゾートバイトとして雇ったスタッフたちは、皆まじめでいい子たちで、なにより茶吉によく懐いてくれていた。社長社長と慕ってくれるのはいいのだが、ちょっとしたシフトの交代くらいでわざわざ社長の茶吉のところまでやってきて報告してくれなくてもいいんだけどな。とも思う。各職場ごとにトップに管理職が配置されている。ぜんぶで8人の管理官がいるのだからそのうちの誰にでも言ってくれればいいのだ。だがこの管理官たちはみなトラ族だから、見た目がこわそうなのでバイトの子たちはついつい敬遠してしまうのかもしれない。そういえばウサギ族の子が面接を受けに来て、トラの面接官に質問されただけで気絶してしまったことがあった。もっとみんなが仲良く打ち解けるためにはどうすればいいだろう。そうだ、飲み会だ。昔から親交を深めるには飲み会と決まっている。見た目はこわいトラ族が実は優しい性格だと小動物のバイトのみんなに知ってもらおう。トラたちにも部下たちを知ってもらおう。茶吉は居酒屋を貸しきって、社員全員を連れて飲めや歌えの大宴会を催した。

トラ族はお酒が強いからか性格が真面目だからか、どんなにお酒を飲んでも態度が変わらず姿勢も崩さない。一方、ウサギやハクビシンやスカンクたち小動物たちバイト組はよく休日やバイト帰りなどにちょくちょくつるんでカラオケやボウリングなどよく行くそうで、ちょっとお酒が入ったら、すぐに調子が出てきたようで歌い出す者や踊りだす者などおおいに盛り上がっている。スカンクのひとりが酔っ払ってオナラをした。ウサギやハクビシンなどのバイト仲間たちはおおいにウケて大笑いしているが、これに驚いてしまったのはトラ族たちだ。スカンクのオナラなんて産まれて初めてなのだ。目から涙が出て止まらないわ、呼吸困難に陥るわ、トラ族たちには似合わず悶絶している。それがまた小動物たちにはウケて大爆笑がやまなかった。

翌日、トラたち管理職が全員、会社を辞めてしまった。茶吉のデスクの上に置かれていた退職届に書かれていた理由はみんな同じで、「部下とどう接すれば良いのか分からない。」というのが理由だった。

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