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吸血鬼、月子さんの日常(仮)  作者: 半信半疑
9/14

7 そしてコンビニへ

 サブタイトルは打ち切り漫画風。

 垣根の垣根の曲がり角ぉ。以下省略。

 北風ぴーぷー吹いている。以下省略。寒い。いと寒し。


 玄関のドアを開けると冬だった(川端さん風)。雪は降っていないけれど、寒さが服の隙間から侵入してくる。


 太陽の活動は、夏ほど暑苦しくない。というか、完全に昔の勢いをなくしている。「あの頃のギラギラした視線はどこにいったんだよ」と、思わず罵倒してしまいそうになった。太陽の奴とはあまり仲が良くないので、ちょっと感情のブレが激しくなってしまったorz。ふん、あいつが私の肌を焼くのがいけないんだ(即座に復活)。


 まぁ、そんなことはどうでもいい。今回のミッションは、風邪の時に必要な物を購入することである。


 とりま、近くのコンビニでいいか。知り合いのいる場所は避けよう。べ、別に心配させたくないとか、そういうんじゃないんだからね!


 あ、少し熱が上がった気がする。急ごう。

 ちょっとだけ歩行速度を上げる。わたくし月子は今、マンションの敷地外に足を踏み入れました。


 マンションを出る前は、誰かに会うかもなんて思っていたけれど、今のところ誰にも遭遇していない。不羅宇には会うかなと思っていたんだけれど、彼女にも会わなかった。マンション管理の仕事があったのかもしれない。


 私に会いたくなかったからとか、そういうわけではないと思う。ま、まさか、そんなこと…。


 しかし…。ありえない、とは言えない。何事も絶対はないのだ。不羅宇が私のことを嫌っている可能性は捨てきれない。でも、それが本当だとしたら……。

 ちょっと立ち直れないかもしれない。


 いかん、いかん。何でも悪い方に考えてしまうのは、風邪をひいているからだ。全て風邪が悪いのだ。一刻も早く、治さなければ。


 私は頭を振って、嫌な考えを祓う。嫌な考えは悪いこと、災いを引き付けるので「祓う」でも間違いじゃないだろう。


 そして私は一人、寒い通りをとぼとぼ歩き続けた。



▼△▼△▼



 街路樹は、すでに衣を脱ぎ去っている。丸裸の彼らを見ていると、何だかもの悲しい気分になってしまうのは何故だろう。


 冬はいつだってそうだ。生命活動が弱まる季節だし、寒さが何もかも奪い去っていく。

 なんて強引さだ。そんなんだと、嫌われてしまうぞ。私は冬に説教を垂れた。


 そうして、浮かれた頭で茶番を繰り広げていると、ようやくコンビニに着いた。

 知り合いが誰もいない、普通のコンビニだ。着物を着たおかっぱの座敷童などいない、普通のコンビニだ。


 自動ドアを抜けると、安っぽい音と共に、温かい空気が一気に押し寄せてきた。よせやい、照れるじゃないか。私は普通の吸血鬼だぞ?


 無意識に、ファンにたかられる芸能人ごっこを脳内で発動してしまった。

 ちょっとドヤ顔が出ていたかもしれない。気をつけないと…。


「いらっしゃいませ」


 店員さんが歓迎の挨拶をしてくれる。店員さんは、可愛らしいお嬢さんだ。

 まぁ? 私も可愛らしいお嬢さんだけれども?


 しかし、こんなところにあんなお嬢さんがいたとは…。今度から彼女目当てに通おうかな。私はそんな邪な想いを抱きつつ、店内を物色し始めた。


 必要なのは冷えピタとポカリ、あとマスク。他には、のど飴と、あと、おかゆが欲しい。私は、店のカゴに手早く商品を入れていった。


 ところで。

 毎度感心するのだけれど、コンビニは色々売っているからすごい。「そんなものまで!?」と思うようなものまで揃えてくる。勿論、店によって違いはあるけれど、どの店もコンビニエンスの名に恥じない利便性がある。


 デメリットは、多少割高であることか。ポテチとか、スーパーで買った方が確実に安くつくもの。でも、コンビニ限定のポテチとか売られていることがあるから、定期的に見てしまうんだよね。たとえ買わなくても確認してしまう、ポテラー(ポテチ愛好者)の悲しきさがだ。


 さて、買うもの買ったし、さっさと帰ろう。

 私は、店員さんをチラ見しながら買い物を済ませた。普通のお客様のように。


 ………。

 ……ちょっと不審に思われたかもしれない。


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