6 邪な風は突然に
0~5を読んだ方は、ちょっと物足りなく感じるかもしれません。
文量がかなり少ないです。
まぁ、理由あってのことですのでご容赦を。
朝。目覚めの朝。
といっても私にとっての朝だから、既に日は傾いている。
壁時計を見ると、午後5時くらい、かな?
横たわっていた体を起こし、ちょっとだけ夢と現実の狭間で揺れる。意識がゆっくり覚醒していく。
夏の月見酒から月日は過ぎ、すでに暦は十二月。寒さが身に染みる季節となっていた。
もう十二月も半ばか、などと思いつつ、私は夢の内容を思い返そうとした(モチロン、大志の方じゃないよ。寝ている時に見る夢の方)。
でも、目が覚めた今、その残滓しか感じ取れない。
誰かの笑い声と、何か、綺麗な花を見た気がする。しかし、それ以上思い出そうとしても、映像がはっきりと甦る事は無かった。
「うーん、ん?」
寝ぼけ眼をぐしぐし擦る。
視界がかすんで見えた。
「…アレ?」
どうにもおかしい。いつもなら、寝起きでももっとはっきり見えるはずなんだけれど。瞬きしても変化がない。かすんだままだ。
しかも、目の前の景色は揺れている。脳が揺れている気がする。
実際、視界が揺れている。調子の悪いテレビみたいだ。ひどく波うっている。ブレブレだ。ザッピング成功者は褒められていた? 何だっけ、それ。深夜テレビはよく見るけれど。
ベッドから抜け出す時もおかしかった。体が重いのだ。動かすのが面倒な感じ。日頃あまり外に出ていないせいで、身体能力が低下してしまったのだろうか。種族値は高いはずなのに。努力値不足?
フラフラしながら歩き出す。
部屋を出て、洗面所で顔を洗い、ついでにうがいをする。
いくらかさっぱりしたが、やはり何かおかしい。
冷蔵庫からお気に入りのトマトジュースの缶を取り出し、ちびりと一口。
うん、美味しいんだけれど、味がぼんやりしている感じ。
本来、トマトジュース摂取というのは、至福のひと時になるはず。一分が一秒に、一時間が一分に感じることさえ可能なトリップタイムなのに。それなのに。
「ちくせう…」
罵倒する畜生はいないのだけれど、口が滑った。まぁ、あえて言うなら、ウイルスの野郎がその相手だ。このバ〇菌マンめ。愛と勇気だけが友達の、悲しい奴がお前を襲うぞ。
…いかん、立ち続けるのが面倒になってきた。変な考えが脳内で、ぐるぐるまわっる。
だるい、面倒、眠い、の三連コンボが繰り出されて、体はノックアウト寸前だ。
でも、ジュースの缶はしっかりと洗う。ピッカピカにしてやんよ。一年生レベルでな。
洗浄作業を終えると、抑え込んでいたコンボが再噴火。
さっき起きたばかりなのに、もう布団に包まりたくなってきた。お布団が恋しい。恋しい。
断わっておくが、スキル、【自宅警備員の誇り】を発揮させたからではない。断じて否。
「寝よう…」
そうして私は、ベッドに潜りこみ、再び眠りはじめるのだった。
完。
▼△▼△▼
……。
目蓋を押し開けて、起きる。目を覚ます。
起きます、と一々口には出さなかった。ロボットみたいに行動を確認する必要性は、今はない。
自然回復が効いたのか、体の調子は少し良くなった。
まだ少し、体が火照っているけれど。思考は幾分かクリアだ。
壁の時計を確認すると、長い針が七を指していた。ラッキーセブンだマイルドセブンだ、などと下らないことを考えた。私は煙草を吸わないけれど。歯も汚くなるし。立派な牙は、歯磨きという名の日頃の努力によってつくられるのだ。
部屋を出て洗面所に向かい、顔を洗う。水道水のひんやりとした冷たさが気持ち良かった。タオルで顔を拭き、鏡を見る。目がトロンとしていた。
……やはり風邪か。久しぶりにひいたな。原因はおそらく、49時間ぶっつづけでゲームしたことだろう。仕方ないんだ。面白いのが悪いんだ(小学生並みの反抗)。
そういえば、最後に風邪をひいたのはいつだったっけ? 昔のことすぎて忘れてしまった。もはや過去は振り返らない。私は今を生きる女なのだ(一度使ってみたかっただけ)。
鏡の前で白雪姫の母様ごっこを始めてしまう前に、私は部屋に戻った。
このまま寝てしまうのも良い案に思えたが、私は外に出ようと思った。
風邪のせいで、正常な判断ができなくなっているのかもしれない。まぁ、こういう日もあるさ。普段とは違う生き方をしてみたくなる日もあるのさ。
自分に言い訳をしつつ、私は外に出る準備を始めた。
服は適当に選んだ。普段からあまり頓着しないタイプだが、今日はいつになくどうでもいい。風邪の影響もあるのだろう。
頭がぼーっとなってしまうせいで、思考にばらつきが生まれる。いつもどんな感じで考えているのだったか。意識していないと、変な言動をしてしまいそうで怖いな。まぁ、思考はいつだって散漫だけどね。
鼻をずびずびいわせながら、仕度を終える。しっかりと厚着をしたら、お外へGO!
私は玄関をガチャリと開けて、外へ出た。
マスクするのを忘れずに。
…サングラス? してないよ。田茂さんじゃないし。
はい、月子さんが風邪をひいたので文量も少なめです。
代わりと言ってはなんですが、今回は他の方の視点が加わります。
か、勘違いしないでよね!
けっして、書く気が無かったとか細かに書くのが面倒くさかったとか、超短編の書き方に染まってしまったとか、そんなんじゃないんだからね!