二つ目のレジェンド・レア!?
さて、と。取り敢えず、防具屋にいくか。このSSR防具ともお別れかな。てか、これ騎士団の防具だし。盗品扱いされたら困るしな……売ることも出来ないし、ガチャして防具手に入れたら、どっかで処分して貰うか。
しかし、問題は防具のレアリティだなぁ。Nとかじゃ、話にならないだろうし。Rも……うーん。まあ、最悪。この剣とネウもいることだし、防具がちょっとあれでもなんとかなるか。
防具屋にて。
「いらっしゃいませー。ウチはいいのが揃ってますよー。どんどんガチャしていって下さいねー」
そういって、ガチャ台がずらーっと並んでいる場所に案内された。どれどれ……一回五千ジェムって……一回、五千ジェム!?
「だから、ガチャは高級品なのよ。そうホイホイ出来るものじゃないの」
「五千ジェムってこの世界だとどれぐらいの価値なの? 一日働いて得られる給与ってどれぐらい?」
「え? うーん、職業によるだろうけど……一万ジェムぐらいじゃないかしら」
日本とその辺はあんま差がない感じか。となると一回五千円ってところ? たっか! 一回、五千円のガチャなんて聞いたことねーぞ! いや、一回一万円のをどっかで見たことがある気がする……そうじゃなくて。
まあ、でもこっちは現実の装備だもんな……材質とかそういうの考えたら五千円でも安いぐらいなんだろうなぁ。つっても、ほとんどNかRしか出ないガチャの分際で五千は……。
「高いのだと一回、百万単位とか一千万クラスもあるわよ」
「はぃいいいいいいい?」
ま、マジか……恐るべし、ガチャ。そんなのでも回す奴がいることに驚くけど。
「まあ、神々の財宝とか。そういう一品だから。SR以上しか排出されないってのもあるし。性能も他のガチャに比べて高いみたいよ」
なるほど。SR以上しかでないのか……いやあ、それでも高すぎでは?
ま、いいや……そんなの聞いてると金銭感覚が麻痺してくる……五千ジェムが一気に安く感じてしまった。数字のマジックに騙されてはいけない。
一回……一回かぁ……十連ぐらい出来ると思ってたのに。残念。
「このガチャにしたら? 剣士の防具とか多く入ってるし」
「お、そうなの? じゃ、それにするか」
てかいいのか? 全財産ガチャに使っちゃって。まあ、いいか。後先考えても仕方ない。防具に関してはやっぱ、このままだと問題だし。
「じゃ、これにしまーす。すみませーん」
「はいよ。一回、五千ジェムね」
一応、このガチャもレジェンド・レアは排出されるようだ。この前のチュートリアルよりも低い確率だったけど。
ごくり……僕は喉を鳴らして、ガチャを回した。
すると──。
何の色も変化しない……あっ。これは……。
「お客さん、残念だったねぇ。また、ガチャしに来ておくれよ~」
Nかぁ……そう思った瞬間だった。
色が突然真っ黒になったのだ。え?
「え?」
これには、店主も驚いていたようで。
まさか、フリーズ演出!? てことは……!
ガチャ台の枠が……レインボーに!
き、きたぁあああああああああああああああああああ!
「れ、れ、れ、レジェンド・レアだぁあああああああ!」
店主が叫んでいた。僕も叫んだ。ひゃっほおおおおおおおおおお!
まさかの二つ目。人生で手に入れるかどうかの最高レアが、もう二つ目!
「う、嘘でしょ……」
「ほう、これがレジェンド・レアか。面白いのう。儂もいくつかガチャってみるかの。おい、店主。これとこれと、これのガチャをするぞ」
店主は放心状態だった。
「なんじゃ、こやつは……ったく。勝手に引かせて貰うぞ」
すると……!
「なんじゃ、眩しいのう……」
なんと。ネウからもウルトラ・レアが出たのだった!
「う、ウルトラ・レアぁああああああ!? どうなってんだぁああああああ!」
店主は仰天していた。当然だろう。おそらく、店主ですら最高レアを見たことがないのかもしれない。ウルトラレアすら、おそらくない。そんなのが、今日で二つも。いや……ネウが引いたガチャからは、全部ウルトラ・レアが排出されていた。ヤバくね?
確変入っちゃった? いやいや、まさかね。偶然……どんな偶然だよ!? 宝くじレベルの確率を連続で引きまくる確率ってどんだけ!?
はっ……まさか、これが運全振りの効果……なのか?
まあ、運全振りなんて。普通のやつなら絶対にしないしな……そもそも運全振りで、レベルを上げていくなんて不可能だし。他のステータスが全く上がってないのに、倒せるわけないもんな。つまり、誰も試したことがない振り方をした結果がこれ……とんでもねえな。
いや、どうなんだろう……もはやよくわかわない。案外、最高レア出すのちょろくね? ってぐらい、ポンポン出ちゃってるせいで感覚がわからない。
「ちょっとさ、リリィ達も引いてみてよ。なんかいいの出そうだし」
「そ、そうね……こんなことが起こっちゃってるんだし、私たちにも、なんか来そうな気がしてきたわ」
「や、やめてくれー! これ以上、目玉を出されたら、俺の店がー!」
もしかして、最高レアというか、ウルトラレア以上って……ボックス形式なのか? 一度、排出されたら二度と出ないんじゃ、もう回されないな……そのガチャ。可哀想な店主よ。だが、そんなクソみたいな確率で今まで搾取してきたんだろうから、同情はしねーわ。爆死した時の俺たちの気分をお前も味わうがいい!
「うーん……Rだったわ」
「私はSRですねー」
普通か……。そりゃそうだよな。普通はこういう結果になる。俺とネウの時だけ、何故か凄い運を持っているのか……?
「ネウって運のステータス、どれぐらいなの?」
「儂のステータスを見ると飛び上がるから、やめておいた方がいいと言ったじゃろ」
「そうだった……てことは、運もとんでもないのな」
うーん、となると俺よりネウのが絶対、運のステータスも高いよな。そのネウですらレジェンド・レアは引けてないし……うーん、考えてもわからん! もういいや。運がよかったってことで!
そういうわけで、俺は二つ目のレジェンド・レアを出したわけだ。防具の。見た目は普通のファンタジー風の冒険者な感じの青い服装だった。これなら、普段着ていても違和感ないし、気軽でいいな。鎧だとゴツゴツしていて、見た目がちょっとあれだし。普段着としても、使えるような防具のが楽でいい。
ネウは、防具と武器一式がウルトラレアで埋まったようだ……どんな運だよ。
全身ウルトラ・レアって。ていうか、防具とか武器とか一切なしであの強さだったネウが、装備身につけちゃったら、どうなるわけ? ヤバイとか通り越してない?
しかも、URって。バケモノすぎるだろう……。
「かっかっか! 儂の運を持ってすれば、これぐらい当然よの! 店主、なかなかの買い物であったぞ。褒めてつかわす」
店主は真っ青だった。当然か……。
『おい、あれ。チュートリアルでレジェンド出したっていうガキじゃね? また、引いたのかよ! マジ、ありえなくねー? チートかよ!』
『マジで? ふざけんなよ。こちとら、R連発で腹立ってるところだってのによー!』
「さ、さあて。俺たちはそろそろ出ようか……これ以上長居すると、色々と白い目で見られそうだし。人も集まって来たし」
「なんじゃ? 負け犬の遠吠えなんぞ、放っておけばよかろうに」
『んだと、こらぁ!』
「こらこら! そういうこと言わない! さっさと出るよっ!」
そういって、俺たちは店から退出した。ふぅー……ま、気持ちはわからんでもない。俺だって、爆死している横で高レア連発されたら、発狂しそうになる。