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この世界の仕組みについて

「どういうことなのよ、それ!」

「わかるわけないだろ! どうして、急にこんな……」


「かっかっか、当然じゃろう。我が主のレベルがいくつだったのかはしらんが、儂との戦闘で生き残ったのじゃ。それぐらいは経験値が入って当然と言える」


 やっぱ、ネウとの戦いによるEXPなのか……それにしたって、レベル105って……いきなり、三桁になってるんですけど!?


「あの……ネウって、レベルいくつなの?」

「ん? 聞かない方が身の為じゃぞ」

「……やっぱ、いいです。聞かないでおきます」


「かっかっか!」


 さ、さ、三桁って……どうすりゃいいんだよ、これ。ステータスの振り分けとか、さっぱりわかんねーよ! ん? 待てよ……俺のステータスはどうせ、対峙する相手次第でレベル補正がついて、自動更新されるわけだよな……? だったら……。


「運極振りにしようと思うんだが」

「はあ? 冗談よね? 本気で言ってるわけ?」


「いや、だって。剣のおかげでレベル補正かかるわけだから、その分を運に振っておいた方が、ガチャで高レア引く確率も上がるだろうし、生存率もあがるんじゃないかなって」


「なるほど。面白い目の付け所じゃな。しかし、そうなるとその剣と一生向き合っていくことになるぞ」

「たしかに……違うレジェンド武器引いた時に困るかもしれないな。けど、そんな宝くじ当てるような確率のレアをほいほい引けるわけないし」


「そうじゃな。少なくとも、主が生きておる間にもう一度見れるとは思えんの」

「だろ? だったら……」


「ま、好きにすれば? 私は反対だけど。そんなギャンブル理論みたいな理屈」

「私は、コタロー様の好きにされればと思います~」


 うーん、賛否両論かな? ま、LUKを上げておいて損はないだろうし。いいと思うけど……。ガチャで全てが決まる世界なら、それぐらいしないと、やっていけない気がするしな。よし、決めた!


「後悔しても知らないわよ」

「いいさ。それが、自分で決めたことなら!」

「……ちょっと、カッコいいじゃないの」


「え?」

「べ、別にっ!」


 さて、ステータスはLUK全振りすることにしたけど、他のスキル構成とかはどうしようか。一応、戦士? 剣士? まあ、剣使いなわけだし、これも剣特化のスキル構成にするべきなんだろうな。取り敢えず、パワースラッシュに、STRパッシブ、スキルクールタイムダウンに……っと。こんなもんか。さすがに104ポイントもあると、決めるのが大変だ。これは一気にやらずに、追々考えてやっていこう。振り直しは出来ないみたいだしな。もしかしたら、そういうアイテムも存在するかもしれないけど……それも、ガチャの最高レアとか扱いかもしれないし。慎重になって損はないはずだ。


 だったら、ステ振りも慎重になれよって思うかもしれないけど、こっちはもう自分で結論出したわけだし。

 よし……これでいい。しかし、いきなり105レベルかぁ……チュートリアルどころか、本編すっ飛ばしていきなり、一年後とかにやって来た気分だ。それぐらいのインパクトがある。


「なあ、リリィ。この世界のレベル上げってどれぐらい大変なんだ?」

「ん……私のレベルが38だから……そうねえ、人によるだろうけど。一年で10も上がればいい方だと、思うけど」


「じゅ、十? じゃ、これって相当とんでもないんだな……当然、レベルが上がれば上がるほど、次のレベルまでの必要経験値が膨れ上がるわけだし」

「そうね……いきなり100レベルも上がるなんて、尋常じゃないわ。でも、逆にいえば、騎士団でも歯が立たないネウの存在はよく理解出来たけど」


「たしかに……レベル差があまりにも、ありすぎたんだな。てか、ヴァンパイアの王って言ってたよな? てことは、全ヴァンパイアの頂点に君臨しているってこと?」


「そういうことじゃ。他のヴァンパイアは儂には逆らえん。そういう風に出来ておる」

「こわ……てことは、A級じゃなくて……え、S級!?」


「かもしれないわね……S級モンスター。『破滅級』と呼ばれてる存在だけど。その存在自体、確認されているのはほとんどいないそうよ。確認を取った相手が生きてないことが大半だろうし。噂とか、伝承みたいなのがほとんどね」


「かっかっか! 人間どもがどうランク付けしておるかなんぞ、知ったことではないわ!」


 ま、そうだよな。ネウ自身にそれを聞いたところで、わかるはずもないし。S級かどうかは別として、頼もしい仲間が加わったことは事実だ。俺らの冒険はよっぽどのことがない限り、安全だろう。

 そういえば、5千ジェム手に入ったんだし、ガチャしてみるのもアリかもしれないな。武器はこれでいいし、防具はSSRの鎧があるけど……どうしたもんか。


「5千ジェムでガチャ出来るような店なんて、あまりないわよ」

「え? マジ?」


「うん。そういう店は最高レア率が超低確率なことが大半よ。ま、高い店でもそもそもが宝くじレベルなんで誤差レベルな気がするけど」

「そうだよな。だったら、一度どっかでガチャしてみようかな。チュートリアルのガチャしかしたことないし」


「そう? だったら、どっか防具屋でも行く? その鎧も借り物だしね」


 それも、死者の借り物、だもんな……おぉ、こわ。てか、勝手に人の装備使うのは大丈夫なのだろうか。その、平等性とかいうやつに引っかからないのかね。


「死んだ存在には、所有権が奪われるそうですよ。だから、プレイヤーキラーってのが、横行しているみたいですけど……」


 プレイヤーキラー……PKか。たしかに。ガチャって手に入れるよりも、相手を殺して奪う方がこの仕組みだと楽だろう。にも関わらず、それはよしとするのか、その神様とやらは。いい加減だな。いや、遊んでいるのか。わからない。


「でも、UR以上のアイテムはPKで奪うことが出来ないそうですよ」

「へえ、そうなんだ。ん? じゃあ、なんであいつらは俺を襲ったんだろう」

「知らなかったんじゃないの? バカっぽいし」


「どうかの。直接奪えんでも、儂みたいな存在を使って『支配』して譲渡させることは出来るかもしれんしの」

「なるほど……なんでも、物事には裏がありそうだしな。闇の商人みたいな感じか」


「あやつらは、結構いいモノを揃えておるからの」

「会ったことあるんかい!」


「くくくっ、これだけ長生きしておるのだ。モンスターにも物を売る奴がいてもおかしくあるまい」

「てか、人間とモンスターは共存出来ないのか?」


 その発言に、全員がポカーンとしていた。


「くははははっ! また、面白いことを言いよる! よくもまあ、そんな発想が出来たものよ!」

「ほんとね。どうやったら、モンスターと人間が仲良く出来るのよ」

「コタロー様……」


「俺、そんな変なこと言ったかなぁ……アニメや、小説の見すぎなんだろうか」


 そういえば、俺。いきなりこんな世界に飛ばされちゃったんだけど。どうやって帰るんだろう? ていうか、帰れるのか? 可能性があるとすれば、創造神か……どうも、そいつにここに連れて来られた気がしてならないんだよなぁ。


 てことは、返す気なんてなさそうだが。そもそも、会うことなんて出来そうもないし。


「あのさ、創造神がどこにいるか知ってるか?」

「へ?」


「知りません。どこにいるかも、どういった存在なのかも、誰も知らないです」

「でも、存在は認知されてるんでしょ? ガチャのこととか。どうやってしったの?」


「知ったも何も、生まれてからずっと記憶にあるもの。そういえば、あんたこそ。どうして何も知らないの? あ、余所の世界から来たわけ?」


 そういう系か……厄介だな。姿も形も全くわからないなんて。それに、異世界の存在も認識されているのか……それは、言い訳とかしなくていいから助かるけど。


 俺と同じ世界から来た奴もいるのだろうか……可能性は否定できない、か。

 なるほど。だから、余所から来た世界の人間が色々と世界をめちゃくちゃに作り変えることが出来ないように、さっきみたいに装備とかを自作しても、制限が掛けられるわけか。


 俺の世界から来た人間がいるとしたら、化学兵器をバンバン量産出来ちゃうだろうしな。こっちでそんなものを作ったとしても、Rレベルの威力しか出せないってことだ。


 よく考えられている……まるで、この世界で遊ぶことを想定して作ったゲームのようだ。

 相手が創造神なら、ゲーム感覚かもしれないが。そんなことで、こっちの都合を無視されても困るんだよ。


 って……何熱くなってんだろ。いかんな。来た当初はあんなに喜んでいたじゃないか。夢にまで見た世界に来れたって。

 しかし、いざやってくると、思った以上に大変で、怖い世界だということがわかってしまった。後は、元の世界へのホームシックや、不安か。


 こればっかりは、どうにもできないだろ、そりゃ。


 よくある異世界モノの小説とかだと、その世界での出来事ばっかりで、帰る方法とか、この世界についてからの心境の変化とか、あまり描かれてないもんなぁ。元の世界に帰った奴も、いるにはいるけど。俺はどうなるんだろうなぁ……不安だわ。


「あの、コタロー様」

「ん?」


「先程のモンスターと人間の共存についてですけど……最近、どこかの町でそういう試みが始まったと聞いております……だから、気を落とさないで下さいね」


「サーシャはいい子だな」


 そういって、サーシャの頭を撫でる。


「あっ……」

「っと、ごめん。嫌だった?」

「いえ……別に、構いませんので」


 そういって、俯くサーシャ。少し、顔が赤くなっていた。くー、なんて可愛いのだろうか。抱きしめたい! が、さすがにそれはまずいので、我慢しておいた。


「「じー」」


「う……」


 横から入る二人の視線が、妙に痛々しい……。そんなムキにならんでもいいだろうに。


「なんだ、お前たちもして欲しいのか?」

「べ、別にっ。そんなわけないじゃない!」

「そうじゃそうじゃ!」


 素直じゃないんだから……。


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