なんだ!このお家!
「そりゃ、また無茶な願いだ。ネコのぬいぐるみが喋ったなんて噂が広まったら、この家に居られなくなるしな……」
そうなのだ。喋るネコのぬいぐるみなんて怖くて仕方ないだろう。
「ま、動かなければいっかね。よし、連れ出してやる。但し動くなよ。」
俺はこくりと顔を動かした。
そして、ひょいと摘み、肩に乗せられた。
「よし、行くか。」
ドアが空き、ついに部屋から外へと。ちょっとわくわくした。
「う~わ……廊下長っ!今どきこんな家あるんだ。」
そこへは見たこともない程、広い廊下があった。
「え?廊下って普通これぐらいじゃないのか?」
なんとも、世間知らずな発言ですこと。あのね、世の中には廊下も無い家だってあるのよ。と思った。
「部屋も多いな~。いくつあるの?」
それには即答でこう答えた。
「知らん。いちいち数えてられんし。」
あらら……っと。どんだけ有るんだよ!心中で突っ込まずにはいられなかった。
「ここが妹の部屋。」とドアをノックもせずに開けた。デリカシーも何も無い。幸い、妹は居なかった。
「相変わらずムカつくほど、片付いてやがる。」
その部屋は明らかに高級品ばかりで正にお嬢さまのお部屋だった。
「あ~これじゃ、キリがねぇ!やっぱ、辞めっぞ!」
「え~!?まだ、一部屋しか見てないよ~!」
そこへ、近づいてくる女の子に俺達は気が付かなかった。