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眼鏡探偵クリスの推理

作者: 小鳥遊 郁



僕はその日、友人であるクリス・ガーディナーの家に行くため急いでいた。走ってはならない廊下を走り鞄を置いてある教室へ急いでいた。すると2つ隣にあるクラスから同じクラスのカイル・スペンサーが出てきた。


「アデルじゃないか。廊下を走ったりしてどうしたんだ?」


アデルというのは僕の名前だ。アデル・オズボーン、オズボーン伯爵家の長男だ。


「ああ。今日はクリスの家に行くことになってるから急いでるんだ。あいつは時間にうるさいからな」


「相変わらず仲がいいんだな。クリスといえば最近眼鏡をしてるようだが、視力が落ちたのか? 成績も急に上がったようだし勉強のしすぎかな」


クリスが眼鏡をかけだしてひと月になるが何故クリスが眼鏡をかけだしたか皆が気にしてる。僕は本当の理由を知ってるが誰にも話すつもりはない。


「眼鏡をかける理由なんて、君が言ったように視力が落ちたからに決まってるだろう。普通は眼鏡をかけると人気がなくなるのに、あいつは前より女生徒にキャーキャー言われてて羨ましいよ」


僕が肩をすくめて言うとカイルは腕を組んで頷いている。


「理知的で素敵とか言ってるのを聞いたよ。何をしてもカッコいい友人を持つのも大変だな」


話しているうちに教室についた。急がないと約束に遅れるよ。本当に時間にうるさいからな。

いつの間にか前に来ていたカイルがドアを開けて入る。


「うわっ! 教卓の前で人が死んでる!」


「え?」


「アデル、先生を呼んできてくれ」


「わ、わかった」


僕は走って先生のいる部屋に急いだ。こういう時魔法を使えたら便利なのに、学校では授業以外で魔法を使うことは禁じられてる。

走ってると僕と同じ授業を受けていた生徒に出会った。今から教室に戻るのだろう。死体があると聞いて驚くはずだ。


そういえば誰が死んでるのか聞かなかったな。誰かはわからなかったのだろうか?





「というわけで、僕が約束に遅れたのは不可抗力なんだよ」


僕がクリスの家に着いた時は約束から3時間も後のことだった。不機嫌なクリスに遅れた理由を話していた。


「君がここに来れたということは犯人は捕まったんだね」


クリスはただのガラスで作ってもらった眼鏡をかけている。日頃から慣らしているという話だ。試験の時や授業の時だけマジックショップナナミで買ったオールド眼鏡を使用している。女生徒たちが言うように前よりかっこよくなったな。


「よくわかったね。でもここに来れたのならってどういうことだい?」


「一番疑われるのは第一発見者だ。その君がここに来てのんびりとお茶を飲んでる。犯人が捕まってなければまだ帰れてないさ」


なんでも分かるという態度に腹がたつ。眼鏡をかけてるからって探偵気どりか?


「ふーん。でも犯人が誰かはわからないだろう?」


僕がそう言うとクリスはニヤッと笑った。


「犯人はカイル・スペンサー。そして殺害されていたのはマーガレット・ヴァンサ」


「えーッ! どうしてわかったんだい?」


僕の説明で犯人がわかるようなことを言っただろうか? しかも殺害された人が誰かも分かるなんて! 本当に探偵でもするつもりなのか?


「君は教卓の前で人が死んでるってカイルが言ったと言っただろう? 君のクラスは一番端の教室だ。わざわざ前側のドアを開けないだろう? 開けたのは後ろのドアだ。カイルは君と同じ位の背丈で透視能力を持ってると聞いたことはない」


「それが?」


「わからないかい? 後ろのドアのあたりから教卓の前に倒れてる人が見えるはずがないってことだよ。そこに死体があることは犯人だけが知ってる。ということは犯人はカイルってことだよ」


そんな事もわからないのかというようなセリフだ。ーーーでも言われてみればその通りだ。あそこから死体が見えるはずがない。


「だが、何故死体の身許までわかるんだ?」


「彼らが付き合っていたのは見ていたら分かるさ。時々アイコンタクトを取っていただろう?」


そんな事でわかるのか? 知らなかったのは僕だけなのか?


「それに最近カイル・スペンサーに侯爵令嬢との縁談話が持ち上がっていた。男爵令嬢と侯爵令嬢どっちを選ぶのか気になっていたが.....」


そんな縁談話があったなんて噂にもなっていない。どこから聞いてくるんだか。


「まあ、彼にとっての誤算は君が戻ってくるのが早かった事だろう。君が思ってたより早く戻ってきたから一緒に帰る羽目になった。本来なら第一発見者になるつもりはなかったはずだ」


僕が早く戻ってきた為、彼女を見つけた時にまだ生きていて僕に犯人に名前を言われたらと思って出てきたんだろうととクリスは言った。心臓にナイフをひと付きだと聞いたが僕の走っている姿に不安になったのだろうか?

人を殺したことないので、カイルの不安は僕にはわからない。


「俺だったらわがままな侯爵令嬢より気立ての良い娘を選ぶがな。それほど愛してなかったということなのか......」


クリスの呟きに最近のクリスは変わったなと思った。以前のクリスならカイルと同じ様に侯爵令嬢の方を選んでいただろう。ただクリスだったら殺すような事はしないで、上手く別れていただろうけど。

最近のクリスは人間味が出てきたようで僕は嬉しいけどね。

とにかく自分の推理が当たったことでクリスの機嫌が良くなったようで僕はホッとした。












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― 新着の感想 ―
[一言] > 僕が早く戻ってきた為、彼女を見つけた時にまだ生きていて僕に犯人に名前を言われたらと思って出てきたんだろうととクリスは言った。 「犯人に名前」→「犯人の名前」 あと、文章が読みにくい。…
[一言] 《本文》 心臓にナイフをひと付きだと聞いたが僕の走っている姿に不安になtらのだろうか? 《誤字内容》 不安になったのだろうか?
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