やみのなかの、にゃー。
にゃーは猫の獣人にゃ。人間と共存できるこの世界でにゃーは地質学を学び、とあるいつも白衣しかきていない、身だしなみさえきちんとすればそこそこいけてるはずの助教授の助手をしていたのにゃった。
そんにゃあるひのこと。にゃーは助教授のひとと地面の下に広がる雪原世界の調査に赴いていたのにゃった。にゃーは軽い荷物を背中に背負い、助教授はいつもの白衣姿で重そうなリュックを背負って雪道をてくてくと歩く。
もう少し荷物を背負っても良いと伝えたのにゃけど、可愛らしい猫は大人しくついてくればいいと笑うばかりでしかたにゃくにゃーは白衣に包まれにゃがら助教授の隣を歩いて目的地近くの宿に入ったのにゃった。
「おかしい。先に来ているはずの長月君がいない」
助教授は連絡手段を色々考えていた。そしてふと思い出したように窓際で雪景色を見ているにゃーに、
「そういえば魔導音響狼煙、にゃーちゃんは持っていたよな。それ、一つくれないか?」
ああ、確かに連絡を取るには良い手段かもしれにゃいとにゃーは思い、もともと助教授がにゃーのために作ってくれたその魔導音響狼煙を一つ渡した。
助教授はそれを受け取ると宿の外に出て雪原を少し進み、離れたところでそれを作動させたようだった。
少しの間をおいていつの間にかに澄んだ星空になった夜空へ登っていく煌めく青白い光。
そして破裂。響き渡る音響狼煙を耳にしてにゃーは思わずコタツの天板に突っ伏してしまった。
「ニャ――――ヾ('□'*)ノ――――ン」
物音ひとつしない静かな夜空によりによってにゃーの肉声としか思えない声で響き渡る『ニャ――――ヾ('□'*)ノ――――ン』
…………これはにゃんの悪夢にゃのか。いつのまに、いったい、どうやって。穴があったら隠れたいくらいに恥ずかしい。
余りの恥ずかしさの余りにゃーの意識は遠のいてしまい、つぎにふと気が付くと周りには助教授を含め長月さんやら調査チームの数人がにゃーを取り囲み、見下ろしていた。
ニタァと笑いながら。そしていっせいに。
「ニャ――――ヾ('□'*)ノ――――ン」
「ニャ――――ヾ('□'*)ノ――――ン」
「ニャ――――ヾ('□'*)ノ――――ン」
「ニャ――――ヾ('□'*)ノ――――ン」
「ニャ――――ヾ('□'*)ノ――――ン」
「ニャ――――ヾ('□'*)ノ――――ン」
にゃーはその場から何も考えずに走りだしにげだした。けれども出会う人出会う人がにゃーをみるとニタァと笑い『ニャ――――ヾ('□'*)ノ――――ン』と叫ぶ。
それもにゃーの声で。
まっくらな闇の中の雪原をやみくもににゃーは走り回り、ついには息も切れ酸欠で走れにゃくなり雪原に華奢な小さな身体を横たえてとうとう意識を手放す。
「にゃっ?!」
唐突に意識を取り戻す、にゃー。
ゆっくりと辺りを見回すと元のお部屋で、助教授と長月さんはにゃーと同じコタツに入り居眠りをしていた。
「……ゆめ、にゃか…………」
ほっと胸をなで下ろしたのも束の間。助教授と長月さんの寝言が部屋に漏れるのを聞いてにゃーは再び凍り付いた。
「「ニャ――――ヾ('□'*)ノ――――ン」」
もう…………勘弁して、にゃ。。。。