感じる
そして、何日か過ぎ中村さん電話があり、「久しぶりに、今日、将棋でも、・・・」との誘われた。「じやょあ、千佳が、帰った後、そうだな、3時過ぎに、」と約束を交わした。
いつものように、千佳と遊んだ、今日は、鬼ごっこ、千佳は、まだ、3才なので、走るのは、速歩程度でしかない、さすがに負ける筈もない、千佳に合わせて、捕まって、可愛い笑顔を見る。楽しくて仕方がない。息をはずませ、駆けてくる千佳、捕まる洋次郎、捕まった後、千佳を抱き上げ、「今日は、これで終わり」洋次郎が、そう言った瞬間、洋次郎は、ハッとした。
千佳の音が、
心臓の音がおかしい
心拍の間に時々変な音が混じってくる。 洋次郎は、嫌な感触を覚えた。
でも、しかし、心臓の音など人間の耳で聞き取れるはずも無く、まして、洋次郎の耳では、・・・
「千佳、疲れたろう、帰ろう~」洋次郎は、そう言うと、千佳をそっと地面に降ろし手をつないで、家えと向かった。
「少し遅くなったな、ママに怒られるぞ!」と洋次郎が言うと。「大丈夫だもん~、ママ優しいもん~」と千佳が答える。
家に着くと和室で机に向かって、何か深刻そうに考え事をしている昌代が居た。千佳の「ただいま~」の大きな声でやっと、2人に気づく、昌代。「え~!、もう、3時過ぎ!」我に返った様に昌代が言う。「ね、ママ怒らないでしょ、ママ優しいもんね」と、自慢げに千佳が微笑む。
「おい、何か心配事でも、あるのか!」と、いつもとは違う強い言葉で洋次郎は、昌代に聞く。
「特に何もないわよ」と、はぐらかすように昌代が答える。
「千佳のことか?」と小さな声で、真剣な口調で問いただす洋次郎
少し驚きながらも、洋次郎の顔を見つめ、ゆっくりと、小さく、うなずく、昌代
そのとき、将棋を指す約束をしていた中村さんが、「洋ちゃん~」と玄関から叫ぶ。
昌代が、「お父さん、明日ゆっくり話すから、」「心配しなくても大丈夫だからね、」と言いながら、帰り支度を始めた。「お爺ちゃん、また、明日ね、遊ぼうね」と千佳が言い残して、その日は、昌代と千佳は、帰っていった。