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ノンレム睡眠

九、

 俺は、そのままの体制でこれまで何があったのかをこと細かく伝えたのであった。当初は、怪しげに聞いていた相手だったが、だんだんと信じる気になったらしい・・・・俺を信用してくれるまでにいたった。


「・・・・ふぅむ、なるほど・・・輝が言うには、遭難したということか?」


「ああ、それで、俺の友達と手分けして二つあった洞穴を進んでいたらお前たちに会ったんだよ。・・・・しかし、もう一人はどこに行ったんだ?」


「きっと、輝の友達とやらを探しに行ったらしいな・・・・もちろん、悪い意味出だ。どことなく、あいつは気性が荒いからな・・・そんなことなら早く言ってもらえば私たちも協力したんだがな・・・・」


 はぁ、そっちから攻撃してきたのではないだろうか?もしも、こっちにきたのが黒河だったら今頃、死んでるだろうな・・・・。いや、俺もいっぺん死んじゃったな。と、そんな時に龍がいる方向の壁に亀裂が入ったのが見えた。あ、危ない!!


「くそぉ!!」


「うわぁ!!」


 とびだすな 俺はいきなり とまれない 白川 輝


 ぎりぎりで、相手を巻き込むことなく、水晶を全て避けることに成功した。あ、あぶねぇ!!飛び出てくるトラック並みにあぶねぇ!!


「・・・あ、白川じゃないか・・・」


「く、黒河!」


 壊れた向こう側からは黒河がひょっこりと現れた。その肩には誰かを担いでいる。


「・・・・黒河、誰を担いでいるんだ?俺たちと同じ遭難者か?」


「う〜ん、どうだろうね?僕が音がしたので後ろを振り返ったら倒れていたんだよ。しかしまぁ、白川、君も好きだねぇ・・・・。葵ちゃんたちがいるのに・・・・」


 俺は今の状況を再び解読してみると・・・龍の上に覆いかぶさっていたことを理解した。好都合で、したの龍は気を失っている。


「・・・・いや、これは事故だ。断じて、俺が襲い掛かったわけではない。」


「さぁて、十人中の何人が君の言うことを聞くだろうね?」


 肩に担いでいた女の子を俺の隣に横たわらせる。・・・・・こ、こいつは・・・俺の下にいる女の子の双子の片割れじゃないか?


「白川、あっちはどうやら他の村に繋がっているみたいだから行ってみないか?それとも、この二人も連れて行くかい?」


 もとから、ここに住んでいたから頬って置いて大丈夫だろう。俺は黒河に嘘をつくことにした。


「いや、この二人はここで人を待っているらしいから、俺たちは先に行こうか?」


 こうして、俺と黒河は水晶の洞窟を何とか、ぬけることが出来た。そして、俺たちの目に映ったのは・・・・夏の海であった。・・・何時になったら戻れるんだ?


「・・・・辺りには人っ子一人いないが・・・ここはお前が知っているところか?」


「・・・いや、全く分からないね・・・」


 聞こえてくるのは波の音だけだ・・・いったい、どうなっちまったんだ?吹雪の次は謎の浜辺か?俺たちは山の中にいたんじゃないのか?


「・・・・白川、あっちから人の声がするぞ?」


 黒河が指差すほうにはかすかにだが、何かの影らしきものが見える。・・・しかし、どっからどう見てもあれは人間じゃないだろう・・・・。


「・・・黒河、あの影は人間じゃないだろう?何に見える?」


 黒河も気がついたのだろう・・・顔を少し硬くして俺のほうを見た。


「・・・そうだね、巨大な蛇か何かじゃないかな?しかも、こっちに向かって泳いできているように見えるよ。・・・・まぁ、海を泳いでいるんなら、海蛇だろうけど・・・空を泳ぐとなるとなんて呼ぶんだろうね?」


 まぁ、びっくり!!近頃の蛇は空も飛ぶざますか?


「・・・黒河、さっきの洞窟に急いで戻ろう。なんだか俺たちはおかしな世界にでも入っちまったらしいからな。」


「そうだね、僕もその意見には賛同するよ。」


 触らぬ神にたたりなし!!俺たちは空を飛んでくる何かがこっちにつく前に水晶の洞窟の中に逃げ込んだのであった。いったい、何でここには龍が多いんだ?


「全く、なんて海だ・・・・これじゃあ、水着ガールもゆっくり干渉している暇がない!!」


「全くだ!あんな用心棒みたいなもんがいるなら危険すぎて鼻の下を伸ばせねぇな。」


 ぜぇぜぇと二人で息を吐きながら呼吸をただす。さて、これからどうしたものだろうか?


「・・・・吹雪が収まっているかもしれないから、ちょっと戻ってみよう、白川。」


「そうだな。見るだけなら大丈夫だろう。」


 今度はやってきたほうに向かって歩き出す。途中、なぜ開いたかわからない穴の中を覗かず(その中には今も、あの二人が気を失っていることを願いたい。)さっさと洞窟の入り口のことだけを考えて通り過ぎた。


「・・・どうやら、吹雪は収まったようだね?」


「・・・・長かったな・・・いろんな意味で・・・」


 洞窟の外には晴天が広がっており、雪が降ったような後など、これっぽちも見当たらなかった。後ろを向くと、未だに水晶の洞窟が残っており、今までの経験が嘘ではなかったことを静かに物語っている。


 ギャァァァァァ!!


 っと、うるさく、物語っている。まぁ、俺がこんな危険なところに戻ってくることなんてそうそうないと思うけどな。


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