睡眠
ちょっと、長くなるかもしれません
七、
さて、夏休みも半ばを迎えたころ、俺は黒河より旅行に行かないかと誘われたのであった。わざわざ、俺の部屋に窓から侵入してやってきた。俺はちょうどその時、まぁ、その・・・・とあるジャンルの本を読んでいた。人様にいえないことなので伏せさせてもらう。
「・・・・で、白川、返事はどうだ?」
俺が首を振ったら間違いなく、奴は俺から取り上げた本を葵たちに渡すに違いない・・・・。
「・・・わ、わかった。ぜひとも行かせていただきたい。」
「うむ、ならば葵さんたちと一緒に今日の午後十時に校門前に集合だ。」
そして、暗は窓から飛び降りていったのであった。俺の本をもって行ったのであった。ああ、葵たちにばれないように努力して隠していたのに・・・・・。
まぁ、そんなこんなで俺達(主に俺と黒河)はひどい目に会う予定だったらしい。
「・・・・・なぁ、これって何かの罰ゲームか?」
「さぁね、僕が覚えているのは山で皆でじゃんけんしたところだったかな?」
季節は夏なのにあたりは吹雪だ。近頃の地球温暖化によって気候がおかしくなってしまったのか?
ああ、俺も覚えている。
黒河のお誘いによって俺たちは避暑地にやってきた。
まぁ、ついでに山登りをしようということで、山に登った。
そんで、頂上までやってきた俺たちは帰りは別ルートで帰ることになったのだ。んで、何故かじゃんけんにて男子と女子が綺麗に分かれたのであった。拾った磁石を使ったのが間違いだったのだろうか?それから確かにばらばらに行ったのだが、結果として俺たちは夏なのに吹雪いているところについたのであった。
「・・・・白川、やっぱりこの磁石はおかしいんじゃないのか?」
「ああ、まちがいなく、この磁石だな。俺たちはこの磁石によってきっとろくな死に方しないと思うぞ?」
磁石の針は先ほどから右や左に動きまくっている。そして、爆発したのであった。
「うむ、これで完璧に遭難って奴だな?」
「ああ、磁石がなくなったって事は俺たちは遭難者だ。」
段々、寒くなってきた。このままでは鼻水たらたらの石像が二つほど、出来てしまうかもしれない。
「・・・・白川、雪だるまでも作るか?」
「いや、いい提案だと思うが、それには賛成できないな。そんなもんを作る前に俺たちが雪だるまになってしまうと思うぞ?」
とりあえず、どこか吹雪があたらないところを探さないといけない。
「黒河、この山には山小屋とかないのか?」
「残念だが・・・・聞いたことはないな・・・・しかし、この山には色々と洞穴があるらしいことは聞いたことがある。」
ふぅむ、ならばその洞穴とやらに向かえば何とかなるかもしれん。
「・・・・よし、行くぞ、黒河!」
気合を入れて二人で歩き出した。といっても、雪が目に入らないようにするだけだが・・・・・・。で、そんなこんなで数分が過ぎたであろうか?俺たちの目の前にかなり大きな洞穴が姿を現した。
「・・・・・・黒河、この山にはもしかしてだが・・・・熊とかいないか?」
「・・・いや、聞いたことがないな。しかし・・・・まぁ、先に洞穴の中に入ろう。」
とりあえず、話は後でということで二人で洞穴の中に入った。どうやら洞穴内部はあったかく、暗闇といった感じだが、内部を見ることが可能であった。まだ、奥のほうに行くことができる。
「・・・・で、さっきの話の続きは?」
「ああ、ここいらの話なんだが・・・・この山にはたまに、雪女が出るらしいんだ。」
雪女?
「・・・しかしなぁ、それがまた、人型じゃなくて、どっちかというと神様的な扱いなんだ。その姿を見たものはなく、噂では季節はずれの吹雪のときに姿を現すそうだ。でも、吹雪いている間はほとんど、人間たちは家の中にいるから姿を見ないらしい・・・・それに、姿を見たものは全て、怪我すると言い伝えられているんだよ。」
なんか、おかしな話だ。見たものがいないならなんで怪我するのかも分からないだろうし・・・・。
「ま、それはいいとしてこの先に図ったように二つの道があるが、進んでみるか?」
俺が指差すほうには二つの穴があった。ちょうど、二人いるのでばらばらに行けば時間の短縮にもなるだろう。
「・・・・そうだな、じゃ、僕はこっちの道を調べてくるよ。」
どちらかがもしかしたら抜け穴になっているかもしれない。どこか分からない場所に出ても、そこに人が住んでいるなら何とかなるに違いない。
「健闘を祈るよ、白川。」
「そっちもな。」
そういって別れの挨拶を軽く交わす。俺が進むほうは向かって左側の穴だ。さぁて、何が出るかな?
洞穴を結構進んだのだが・・・・どうやら、この洞窟には何か鉱石みたいなものがあるらしい・・・・しかも、それはわずかな光を数倍にして反射するものらしく、外から差し込んでいる光で足元を光らせている。・・・・そんな便利な鉱石なんて存在するのか?そんなときだ・・・・俺の耳に何かが叫ぶ音が聞こえたのは・・・・・。
先ほど、黒河から聞いた話を思い出してしまった。ぶるぶる、いや、これは寒いから震えているわけです。けっして、怖いから震えているわけではないのです。




