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白衣のお姉さんとデート

六、


「輝君、他に買うもの何かある?」


「いえ、この店ではおわりのようです。それじゃ、次のお店に行きましょうか?」


 俺は今、白衣の女性と一緒に街を歩いている。白衣なんて珍しいものを碧さんが着ているのでさっきからこっちを見ている人たちが多い。いや、碧さんも結構綺麗なのでそれもあいまってのものなのだろう。俺としてはちょっと恥ずかしい。


「・・・・輝君、ちょっと元気ないみたいだけど大丈夫なの?」


 心配そうな顔で碧さんが俺に聞いてくる。う〜ん、こんな美人に心配してもらえるなんて俺って結構幸せ?


「いえ、ちょっとさっきから周りの人が見てくるような気がするんですよ。ええとですね、きっと俺と碧さんが一緒に歩いているからちょっと釣り合ってないって奴じゃないでしょうか?」


「?そうかな・・・。ああ、なるほど!」


 碧さんは勝手に納得して頷き、俺の腕に手を絡めてきた。


「これならいいよね?」


「な、何がですか?」


 碧さんはにっこり笑い、俺に言ってきた。その笑顔に百点をあげたい。


「ほら、これなら私の身長と輝君の身長は釣り合ってるよ?ね?」


 う〜む、やっぱりどこか変わっているな、このお姉さんは・・・・。碧さんがこのような行為に走ったので・・・・俺を見る目(主に男から)が殺気立ってきた。うん、ちょっとこのままここにいたら危険かもしれない・・・・。


「・・・碧さん、ちょっと裏路地を通りませんか?」


 碧さんは何を誤解したのか知らないがちょっと顔を赤くし、


「輝君、そういうのは夜になってからするものよ?まぁ、輝君がしたいって言うならいいけど・・・・。」


 潤んだ瞳で俺を見てくるが、一応、そんなこと俺は考えていない。


「そうじゃなくてですね、もしかしたら裏路地に何か面白いお店があるかもしれないじゃないですか?たまには行ってみませんか?」


「なぁんだ!そんなことなら早く言ってくれれば良かったのに・・・・でも、ちょっとがっかりだなぁ・・・・」


 俺もがっかりだなぁ・・・・じゃなくて、さっさとここから逃げたほうがいいな。さっきよりも殺気が五割り増し!なんちゃって!・・・・さ、馬鹿やってないで行ったほうがいいな。

裏路地には表通りと違って静かなたたずまいの店が意外に多かった。二人で色々と話しながら一時間ばっかりうろうろしていると、そんななか、意外な人物が駄菓子屋にて何かをやっていた。そして、その人物が俺に気がつき、目をごしごししてから俺を写真で撮って、お経を唱え始めた。なんだか癪に障るので近づいてみることにした。


「・・・・・黒河、お前の近くにお化けでも出たのか?」


「いや、ちょっと死んでしまった親友のお化けを見てね。ハーレムを取られてはたまらないとさっさと成仏してもらっているところだよ。・・・・さて、男の幽霊なんかに取り付かれたら大変だからさっさと逃げなくちゃ。」


 そういって俺の知り合いの黒河くろがわ あんはさっさと逃げていったのであった。全く、失礼な野郎だ。


「・・・・輝君、そろそろ帰ろうか?椎名おばさんたちが待ってるからね。」


「そうですね、そろそろ帰りましょうか?」


 俺と碧さんは来た道を帰り始めた。途中で、失礼な知り合いに再び出会うことなく、そして、嫉妬の表情をした男たちに会うでもなく、順調に家を目指して歩き始めたのであった。そして、家に帰りつくまで碧さんは俺の腕にずっと腕を絡ませたままなのであった。う〜ん、いいねぇ。


「ただいま。」


「ただいま帰りました。」


 二人で一緒に家に帰りつくと、先に碧さんが買ってきたものをおばさんに渡していると葵と加奈がやってきた。


「あ、お帰りなさい、二人とも。輝さん、珍しいザリガニとかいませんでした?」


「輝、おやつ買ってきた?」


 全く、二人とも勝手なことを言ってくれる。


「ほら、青色のザリガニと加奈が言っていたお菓子だ。」


 前者はなんだか怪しい店に売っており、後者にいたっては電車で結構かかる隣町に売っていた。本当は午後から行く予定だったが、その用事も増えてしまい、朝早くから探しに行かねばならなかった。朝起きるのが早い碧さんがたまたまいたので一緒に旅立ったのであった。その碧さんが俺たちの会話に混じってきた。


「今日は二人のおかげでいい思いをすることが出来ました。お礼を言いますよ。」


 碧さんは葵と加奈に意味ありげな笑いを送った。対する二人はしまったといった顔になったのであった。


「輝君って本当に可愛いんですよ。腕を組んだらちょっと慌てるし・・・・今日は裏路地に連れ込まれちゃいました。」


 はっ!殺気が!

俺が避けたところにはまるでバルタ○星人のはさみみたいなものが突き刺さっていた。そして、油の切れている首をぎこちなく動かしてみると・・・・そこにはスーパー○イヤ人のようになっている怒れる二匹の龍が俺を睨んでいたのであった。


「あ、あ、あ、あ・・・・ど、どうかしたのか、二人とも?すんごい怖いぞ?」


 返事をせずににじり寄ってきた二匹の龍。このまま言ったら俺は・・・・どうなるのであろうか?多分、今日の料理は間違いなく、俺の踊り食いになってしまうかもしれない!


「輝君、私たちを心配させた罰を受けてもらいますね?」


 最後に、そんな碧さんの声が聞こえた気がする・・・・。ぐばぁ!


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