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赤い巨星の・・・・

四、

 俺が復活して、少し経った。体も今のところ順調です。心配してくださった皆様、ありがとうございました。僕は、元気です。そして、夜は葵たちと一緒に寝ています。・・・・やましいところは全くないです。


「輝さん、今日こそあいつを倒しますよ!!」


「あ、ああ・・・しかし、あんなやつに俺たちで勝てるのか?」


 何故、俺が今、葵たちの部屋となっているところで寝かされているか教えよう。

それは、俺が死んで数日たったある日、葵が世話していたザリガニが一匹脱走。

そして、俺の部屋に入り込んだそうだ。

何故かは分からないが、俺の部屋で逃亡生活を送っていたザリガニは異常なほど大きくなり、水を必要としなくなった。大きさは俺ぐらいはあるだろう。それを教えてもらった俺はびびり・・・・いや、あれは間近で見たら誰だって逃げ出すぜ?さて、そんなわけで俺の部屋には今、化学反応でも起こしたのか非常識なザリガニが居座っているのだ。


「大丈夫です!!龍がザリガニなんかに負けるはずがありません!!」


 おお、言うねぇ。だけど・・・・本日この家にいるのは葵と俺だけだ。他のかたがたはおばさんとともにどこかに出かけていた。葵は熟睡していたので置いていかれ・・・・俺にいたってはトイレに入っている間に置き去りを食らった。


「さて、行きましょう!!ちゃんと勝負するところは相手に伝えています!!」


 ザリガニ相手に挑戦状まで叩きつけてきたらしい・・・・いや、日本語分かるのか?



 そんなこんなで・・・・俺はあの土手にやってきている。俺の隣には目をつぶって相手を待っている葵がいる。まぁ、俺も一応、爺さんからもらった木刀を持ってきている。


「・・・・輝さん、きました!!」


 葵は隣を流れる大きな川を見る。そして、いきなりそれは現れた。


 ざばぁぁぁん!!


 好戦的な瞳・・・真紅に輝く大きな鋏・・・いかにも硬そうな甲羅・・・そして、この前見たときよりも威圧感が増している。


「って、なんか大きくなってないか?」


 そして、この前よりもかなり大きく育っている。しかし、そんなこと関係ないのか葵は右腕を相手に突きつける。


「・・・・ザーリー!!今日こそ食料になってもらいます!!そして、輝さんに部屋を返してもらいますよ?」


 おお、かなりのやる気だ。ザリガニもかなりやる気満々で鋏の調子でも試しているのかさっきから開閉を繰り返している。・・・・しょうがない、これも俺の為だ。いや、俺としてはまだ、皆のところで寝ていたいのだが・・・・まぁ、しょうがないさ。

 両者にらみ合うこと、数分。まず動いたのは葵だった。しかし・・・・青いにはなんか特技でもあんのか?


「ザーリー、消えなさい!!『激流槍!!』」


 うん、すんごい鋭い槍状の水が巨大ザリガニに襲い掛かったのはいいけど・・・相手はザリガニ・・・全く平気そうな顔をしている。駄目じゃん、葵。


「く、こうなったら・・・」


 華麗なバックステップで俺の隣まで戻ってくると・・・・俺の後ろに回った。


「ばとんたっちです。がんばってください、輝さん。」


「・・・・あれ、葵は?」


「私はここで応援してます。がんばってくださいね。」


 結局、俺がやらなきゃいけないのね?

 そして葵は俺を思いっきりザリガニのほうに蹴飛ばした。おいおい、あぶねぇだろう!!


「短期決戦です!!こうなったら新しくなった輝さんの力を喰らいなさい!!」


「おい、人を新型扱いすんじゃねぇ!!」


 右からやってきた鋏を避けて俺は叫ぶ。あたったら多分、持ってかれるだろうね?相手の違反グローブを左右に交わしていると、後ろから葵の応援もとい、野次が飛ぶ。


「輝さん!避けないで攻めてください!!その手に持っている木刀は飾りですか?それに、そのザリガニは輝さんのコレクションを処理しちゃったんですよ!!」


 何?やはり俺が死んでいる間にかなり大変なことがあったのか?しかし、葵め全く、簡単に言ってくれる!!よし、こうなったらザリガニには悪いが・・・・俺のコレクションを消してしまったやつには同じような罪を与えてやる!!お前は葵の胃袋の中に消えてもらう!!


「うぉぉぉぉ!!俺のぱらだいすをかえせぇぇぇぇ!!」


 懇親の一撃!!たくさんの足が生えている相手の腹の下に飛び込んで裁くように木刀を突きつけ、一気に割る!



 動かなくなったザリガニは・・・あっという間に姿を消した。いや、逃げたわけではなく、葵のお腹の中に収まってしまった。食われた瞬間はトラウマだ。もう見たくないね。実際、葵の腹の中にきちんと収まっているから怖い。


「・・・・葵、帰ろうか?」


「・・・・お腹が大きくなって死にそうです。おんぶしてくれませんか?」


 土手に寝転がっている葵はそんなことを言った。いや、何言ってんだ?恥ずかしいじゃねぇか。


「わかった。ほら、背中に乗りなよ。」


「わぁぁい!!」


 俺は結局、葵を背中に乗せて歩き出した。うん、背中に当たっている感触は結構いいね。


「輝さん、家に帰ったら残ったエッチな本は烕殺ですよ?」


 俺は、どうやってごまかそうか家に着くまで考えたのであった。


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