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俺の終わりが近いか?

もう少しで輝の物語も終わりです。

二十九、

「あの、貴方の名前はなんていうんですか?」


『さぁな。私の名前など、不明だ。そうだ、最後の機会に教えておくがお前が会ったあの三匹の守護者たちは私の妄想だ。』


「いなかったってことですか?」


『ちょっと違うな。確かにいた。現にお前の記憶には未だにいるだろう・・・。』


「ええ、います。」


『忘れなければ思い出は何時までも傍に居てくれる・・・だが、それは所詮、思い出だ。お前が居て欲しいと思えば思うほど・・・苦しみは増える。まぁ、そんなくらい話はおいておいて少しばかり面白い話をしてやろう。』


「?」


『私は男と思うか?』


「いえ、女じゃないんですか?」


『当たりだ。何故、そう思う?』


「・・・・母なる海って言うし・・・まぁ、これまで人以外のものにあったときは全て女の子だったし・・・。」


『まぁ、いいだろう。ならば、私が人型のときの姿を見せてやろうか?』


「ええ、冥土の土産に見せてください。」


『良かろう。ちょっと待っておれ・・・・』


「・・・・・・・。」


『どうだ、この姿は?私の人型のときの姿だ。』


「って、メイド服じゃないですか!!何でですか!」


『それはな、お前の妄想が作り出した龍・・・穂乃香を通じて知ったのだ。それ以降、私はメイドになってみたいと思っていたのだ。どうだ?似合っているか?』


「ええ、確かに似合っているとは思いますけど・・・後ろの地底湖凄いことになってません?」


『そうだな、今ではほとんど水はないだろうな・・・まぁ、泳いでみれば分かるが未だに物凄い広さだ。また、私が元の姿に戻れば水かさは今の比ではない。ところで、お前の名はなんと言う?最後に聞かせてくれ・・・。』


「・・・・白川 輝です。」


『そうか輝と言うのか。・・・輝・・・悪いがお前をおいしくいただかせてもらおう。』


「・・・・・。」


『・・輝、何故抵抗をしない?これまでのお前だったら大半が抵抗をしてきたはずだが?』


「まぁ、綺麗なメイドさんに襲われるならしょうがないと思ったんですよ。それに、俺を待っている家族なんて一人も居ないんですよ。へへ、卑屈になってすいません。飯がまずくなりますよね?」


『そういうわけでもなさそうだぞ?ほら、お前が言う家族の定理は何だ?』


「血が繋がっている事ですか?」


『私が思うには心が通じ合っているものたちのことだ。輝にはこの声が聞こえないのか?』


「あ・・さぁ〜・!!」


「・きらぁ!!」


「・・・なさい、あき・く・!!」


「・・・これは・・皆の声?」


『そうだ。お前の事を心配してきたお前の家族たちだ。あの娘達はお前と同じような境遇だろう。元来、龍はお前たちの世界に居ない。そんなあいつらはお前を求めるようにお前の元へと現れたのだ。輝、お前が返事をしてやらねば皆は悲しむだろう・・・。』


「だけど、貴女は!?貴女の事はどうするのですか?」


『私は・・・私が求めるものを待ち続けるさ。もとより、私がここにいる理由はその求めるものを待っているのだ。姿はどうであれ、私は何を求めているのかも分からないものを待っているのだ。ほら、早くしないとそろそろ私の気が変わるかも知れんぞ?』


「・・・・わかりました。それと、ありがとうございます。」


『何、当然の事をしたまでだ。だがな、輝・・・実際のところ・・・私にはその力は戻っていないのだ。』


「!?どういう意味ですか?」


『成績というものはたしてわるものだ。強き力を持つ我と、生贄としてやってきたものの力を足して二で割ってきたのだ。それを続けてきて、とうとう、割り切れなくなってきたようだ。だが、もう少しの間だけは・・・待ち続けていたい。輝に、言いたいのは私の事を覚えていて欲しいのだ。』


「・・・貴女の事は忘れません。失礼します。」


『お前が、お前の両親のようにあってよかったよ。お前なら、私の事を覚えておいてくれるだろう・・・。ほら、ロープが降りてきたぞ・・・闇の中にはな、光があるものだ。その逆もある。輝、私もお前の事は忘れない。』


 俺はロープを掴んだ。すると、上に居る三人がロープを掴んで引っ張りあげているのか知らないが・・・・体が浮上していっていることに気がついた。メイド姿の龍の原種の姿は段々と小さくなっている。

 俺は井戸の外へと上げられた。

そこには、三人が笑顔が確かにあった・・・・。

俺は、このことを忘れたくないと思いながらも・・・闇を忘れたいと思っていた。しかし、俺は龍の原種と約束をしたのだ。この約束だけは絶対に守りたいと思う。まぁ、これからどうなるかは分からないのだが・・・・俺としては俺を頼ってきてくれたのか知らないがこの三人の龍達と仲良くやって生きていきたいと思う。


「ところで、輝はここから帰る方法を知ってるの」


 加奈が告げる、俺たちは揃って首を振った。まぁ、今は幸せだ。それは言える。


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