どことなく、使い捨てキャラが否めない?
二十六、
二度あることは三度ある。
これは、俺がもっとも嫌いな言葉だ。
何故かって?それはな、面白くないからだ。
まぁ、可愛い女の子に話しかけられるのが三回あればいいが、人外のものとこれ以上フレンドリーな関係になるのはよろしくないんじゃないかと俺は思う。うん、人間はやっぱり、人間と友達になるべきだ・・・。まぁ、俺としてはそんな考えなのだが・・・・どんなものにも例外と鋳物が必ず存在するわけで・・・俺の場合、それは相手が可愛いなら・・・全てオーケーだ。
そんなこんなで、俺は光り輝いていた『元』亀に視線を移した。
「どうも、ますたー。」
にこりと俺に微笑んでくる亀を眺めて俺は心和んだ。そんな俺の頭を紀伊が叩く。
「マスター、でれでれしないでください。かっこ悪いです。」
「うるさいな、どうせ俺はかっこ悪いの。」
再び俺は天然丸出し少女を眺める。
ニコニコ笑っているような顔は別に笑っているからではない。
細目の彼女だからこんな顔なのだ。うん、たまにはこんな顔もいいなぁ。まぁ、身長が俺と同じぐらいなのが少しばかりポイントを下げてるけどなぁ。この子の名前は紀と、紀伊が付けた。俺たちのことを餌としか本当に思っていなかったらしく、聞くに以前何を食べたのか全く思い出せないほど何も食べていなかったらしい。
「ますたーはどこに向かっているんですか?」
「ん?俺たちは『聖地』に向かってるんだよ。」
俺は結局連れて行くこととなった紀に答えた。小鳥は疲れたのか俺の背中に負ぶさっている。紀伊は俺の左にいて、時折、きょろきょろと辺りを見渡している。
「なるほどぉ。なら、気をつけたほうがいいですよ?ここいらは・・・・・」
「マスター、なにかいますっ!!」
俺は紀伊にそう言われ、指差したほうを見やる。そこにはなんだか変なものがいた。一角獣という奴であろうか?何処かで見たことのあるような奴である。
「麒麟さんの守護範囲ですから・・・。」
「紀伊、麒麟って何?」
決して、お笑いではない。そして、俺はどちらかというと動物は好きだ。何故なら、動物は人間を裏切らない。動物虐待をする輩は動物愛護法によって捕まってしまえばいいのだ。だが、動物についての知識はあるかと聞かれたらノーだ。肉食獣に近付いていって食われてしまうかもしれない。知らないことは聞くに限る。
「マスター、麒麟とは中国で聖人の前に現れるといわれている想像上の動物ですね。」
「流石、紀伊だな。うん、博学だ。」
「どうもありがとうございます、マスター。」
まぁ、ここが中国なのか知らないが・・・・俺は思う。逃げよう。今までのことを考えれば俺たちが襲われる可能性は100%だな。
「マスター、ご命令を・・・。」
「紀伊は紀ちゃんを連れて逃げろ!!」
「マスターは?」
「俺も逃げる!!お前らのあとを追ってな!!」
「了解!マスター!!」
俺は麒麟の横を通り抜け・・・・先に走っていった紀伊の後を必死の形相で追いかけることにした。まぁ、かけっこは得意ではないが・・・・こうなったら焼けくそだぁ!!
「マスター、言い忘れてましたが・・・。」
俺は何とか紀伊の隣においつくことが出来た。そして、紀伊は俺にご愁傷様といった感じの言葉を述べた。
「マスター、麒麟は騏麟とも呼ばれ、一日に千里も走るといわれています。」
「・・・・。」
千里=非常に遠い距離。つまり、俺たちはマラソンランナーより早い相手に無謀なかけっこを仕掛けたのだ。聞きまして、奥様?
「だ、だが麒麟も老いぬれば駄馬に駑馬に劣るって言葉もあるだろう?」
「そうですね、マスター。だけど・・・・」
そう、その言葉は合っているが、この場で使う必要など、ない。俺の記憶が正しければ、あの麒麟の鱗はつやつやしていたのだから・・・。
俺と紀伊の間を通り抜け、何かが俺たちの前に姿を現した。当然のように先ほど置き去りにしてきた麒麟である。
「・・・・。」
その目はまるで俺たちを足の遅いカタツムリでも見るようであった。く、なんてむかつく顔だ。
「マスター、どうしますか?」
「こうなったら、俺が囮になるから・・・・どうにかしてくれぇ!!」
こうして俺と麒麟の鬼ごっこは始まったのであった。鬼は麒麟。逃げるのは俺。ルール無用で時間無制限。鬼交代なしで、更に言うなら鬼さんに捕まってしまったものはどうなるか分からない。
「・・・・百秒数えたら追いかけてこいやぁ!!」
「マスター、奮闘を期待してます・・・・。」
「お前も走るの!!」
俺は紀伊の手をとって走り始めた。小鳥は未だに寝ているし、紀にいたっては早すぎて眼を回してしまったらしい。
「・・・。」
一人残った麒麟は俺の忠告でも守ってくれたのか、きっかり百秒後にその場に残像を残して消えた。




