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もしもし亀よ?

二十五、

 俺の背中に引っ付いたまま、紀伊は後ろからあーだのこーだの話しかけてきており、小鳥は俺の隣で色々とまるで鳥のように話しかけてきていた。く、うるさいことこの上ない。


「あ、マスターさん、気をつけてくださいね?確かこの辺に・・・・。」


 突如、ずしんと何かが響く音が聞こえてきた。そして、俺の右端のほうから何かが来ている感じがする。


「でかい亀さんがいましたから・・・。」


 そこには、俺の身長は楽に超えているガ○ラもどきが姿を現している。しかし、顔は優しそうだ。多分・・・・。


「こんにはぁ!」


「こんにちは!」


「・・・・・。」


 小鳥と紀伊は挨拶し、俺だけはそのでかさに驚いていた。めちゃくちゃだな、この土地は・・・。何食えば、こんなでかい生物が完成するんだ?


「ほら、マスターも挨拶してくださいよ。亀さんは頭下げてるんですよ?」


 いや、その微妙な角度でそんなことを言われても困る。俺たちを見下ろしているだけではなかろうか?涎らしきものが見えるのは俺だけか?


「あ〜、お腹が空いてるみたいですねぇ?この亀さんはワニっぽい顔してますねぇ。」


 へらへらしながら笑っている小鳥を見て俺は命の危険にさらされていることに気がついた。だんだんと俺たちに近付いてきており、その口を思いっきり開けているのは容易に確認できる。


「紀伊、あの口に向かって投石!小鳥はそれの援助!今すぐ!奴らは俺らをいただきますする気だ!!」


「り、了解、マスター!」


「なんだか分かりませんが分かりました!」


 二人とも俺の必死の叫びに何かを感じ取ったのだろうか・・・紀伊はすばやくそこいらに落ちている大きな石を亀に向かって放り投げた。口の中に滑っていった石は、亀の顎の力により、粉末タイプへとモードチェンジした。うふふ、俺が気がつくのが遅れていたら俺たちもこんな感じになってたかも・・・・じょ、冗談じゃない!


「食らえ、爺さん直伝の延髄蹴りぃ!」


 顎を閉じた亀のほっぺ辺りに蹴りをかます。しかし、亀はあっさりと首を甲羅の中に入れてしまったのでダメージの確認方法がない。硬いな・・・。足が折れるかと思った。


「マスター、今のうちに逃げたらどうですか?」


「そうだな、逃げよう・・・行くぞ、紀伊、小鳥!」


「「了解!!」」


 俺たちは首を収納した亀から逃げるため、すたこらさっさと逃げ始めたのであった。

まぁ、当然だ。

俺たちの目標は聖地に行くことであって、亀の餌になることではない。昨今では、ワニガメを放流したりする無責任かつ、迷惑極まりないことをしてくれる飼い主がいるが・・・もしかしてこいつはそんな感じの飼い主に捨てられた結果、ここまでたくましく大きくなってしまったのではないであろうか・・・・いずれ、空も飛んでしまうかもしれない。


「マスター、追いかけてきてます!」


「何!どうせ相手は亀だ!逃げ切るに限る!!」


 俺たち三人は走って回ったのだが・・・崖に追い込まれてしまった。断崖絶壁なのでここから落ちてしまえば俺たちの命は亀の餌よりも役に立たないであろう、物体になってしまうに違いない。

 亀と睨み合うこと、数分・・・俺はとある決断をした。


「・・・・紀伊、俺を亀に向かって投げるんだ。」


「な、何を言ってるんですか!マスター!そんなことしたらペロッと食べられてしまいますよ!」


「そうです!ペロッと食べられた挙句、ぶりっとそのまま・・・」


 く、全く・・・こいつらは人の話を最後まで聞くことを発明者と親鳥に教えられなかったのか?


「誰も食べられる気はない!俺に気を取られている間に後ろに回って攻撃してくれ!」


「間に合わなかったらどうするんですか、マスター!」


「その時は・・・ぺロリだろうな。さ、やってくれ!これは命令だ!!」


「りょ、了解・・・」


 紀伊は俺を抱え上げて何の感情もなしに放り投げやがった。・・・・最期ぐらい、何か気のきく台詞を言ってくれてもいいんじゃないんだろうか・・・。例えば、貴方の部下で嬉しかったと思いますとかさぁ・・・

 俺は腕組みをしながら感慨深げに頷いていたが・・・いざ迫ってきているかめの口を見て少々、不安になった。ま、どうにかなるだろう。

 俺の他力本願な願いは珍しく神様に取り上げられたのであった。急に亀は苦しそうな顔をすると悶え始めた。俺はその亀の鼻面に蹴りを入れて地面に着地した。


「小鳥、助かった。」


「いいえ、当然のことをしたまでですよ、マスターさん。」


 亀の後ろ側にいる小鳥のもとに向かうと、そこには亀の甲羅の中に大木を突っ込んでいる小鳥の姿があった。良い子の皆と悪戯っ子の皆、こんなことを決してしては駄目だよ?危険だからね。


「さ、気絶している隙に行きましょう!」


「そうですよ、マスター!」


 俺は念の為と思い、一応、大木を蹴り上げようとしたが・・・その足は甲羅へと当たり、甲羅の欠片が地面に落ちたのであった。

 途端、亀の体は光りだした。俺はまたか・・・と感じながら目を閉じたのであった。さぁて、どうなるのかな?


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