おじ〜ちゃ〜ん!
十六、
校庭ではソフト部、野球部、陸上部などがそれぞれ青春を謳歌している。そんな中、俺と碧さんは連れ立って校舎裏へとやってきたのであった。
「・・・・まぁ、ここなら良いでしょう。」
「一体、如何したんですか?」
碧さんは愛用の白衣の右ポケットから何かを取り出した。それは、一通の手紙に見えた。ま、まさか・・・・生徒からのラブレター?
「・・・・輝君、実は貴方に行ってもらいたいところがあります。」
「・・・何処ですか?」
どうやら、この手紙を書いたのは碧さんで、その書いた手紙を俺にどこかに持っていってもらいたいようだ。
「・・・『聖地』です。」
「・・・はい?」
俺は聞きなれない単語を耳にしてちょっと戸惑った。
「・・・龍の聖地に行ってもらいたいんです。」
「はぁ、成る程・・・ここから遠いんですか?」
碧さんは首を振って話し始めた。
「・・・きっと輝君なら何度か行ったことがあると思います。」
ふと、思ったのだが、手紙なら郵便局にでも持っていけばいいんじゃないのだろうか?
「・・・・そうですか?覚えていませんが・・・。分かりました。で、誰にこの手紙を渡してくれば良いんですか?」
そう俺が聞くと、碧さんは俺を指差して言った。
「貴方のおじいさんです。」
「え?」
俺がそのように呆けて碧さんに質問しようとしたが・・・・質問できなかった。何故なら・・・碧さんがばあちゃんが俺を爺さんのところに送った時の技の格好をしたからだ。や、やばい・・・殺される・・・。必死に避けようとしたが・・・見事俺はその攻撃を食らって意識を『聖地』に送り込んだのであった・・・・。
俺が目を覚ますと・・・何処かの山の中であった。
「・・・・。」
見渡してみるが、木々が邪魔をしてみることが出来ない。
逆立ちしてみたが、特に何もなかった。そして、もう一つ気がついたが・・・・どうやら俺はパンツ一ちょらしい。しかも、真っ白のトランクスだ・・・。叫んで助けを求めたいがこの格好を誰かに見られたら嫌だ。それに、既に俺は死んでいるみたいなので・・・今ごろはずかしむことはないと思うんだが・・・まぁ、もしもの時の為だ。
「お、輝じゃないか・・・どうした、パンツしか履いてないように見えるが?」
ナイスタイミングで俺の目の前に現れたのは私のおじい様であった。あっちもあっちで何だか・・・変な格好をしている。いや、宮司さんか・・・・確か俺の爺さんの職業は違ったと思うんだが・・・。まぁ、それはさておき、碧さんに渡された手紙を爺さんに渡そう。
「爺さん、碧さんって人からの手紙だ。」
俺はパンツの中に挟まっていた手紙を爺さんに渡そうとしたが、爺さんは受け取ろうとしなかった。そりゃそうか、男のパンツの中に入っていた手紙だもんな。
「・・・輝よ、その碧さんという人は別嬪さんか?」
「あ、ああ・・・綺麗な人だけど?」
「こう、見ていてぐっとくる人か?夏の浜辺にマッチした・・・そんな人か?」
俺はなぜこんなことを聞くか分からなかったが、一応、正直に答えておいた。
「ああ、完璧だと思うけど・・・・。」
「そうか、そうか・・・なら、手紙をもらおうじゃないか。」
俺は思う、まさかこの爺さん、男や加奈みたいな奴からの手紙は受け取らないのではないだろうか?爺さんは碧さんからの手紙をまるで初めてラブレターをもらう男みたいな感じで読んでいたが・・・・途中からあんまり興味のなさそうな顔をし始め、最後のほうは俺を睨んでいた。な、なんだ・・・この迫力は?
「ちぇ、お前のことを頼むとしか書かれておらん。ふん、だ。まぁ、しょうがない。輝、こっちにおいで。」
「わ、分かったよ・・・で、爺さん、菜々美は元気にしているか?」
俺は話を変えようと爺さんに話したが・・・・爺さんは更に俺を睨んできた。え、なんか俺って悪いことした?
「・・・菜々美は・・・お前さんがいなくなって数日は泣いておったがの・・・でも、今は・・・。」
そこで爺さんは言葉を切って前を歩き始めた。え、何?なんかとっても不吉な予感がするんだが・・・・。しかし、爺さんは突然止まると、俺をひたと見据えて告げた。
「・・・菜々美はな、天国に・・・」
そこまで聞いて俺は膝が地面についた感覚を覚えた。とうとう、成仏しちゃったか・・・。
「・・・・天国に嫁に行ってしまった。」
「・・・は?」
爺さんはその後、俺の前で色々と話してくれた。何でも、閻魔様の息子さんのお嫁さんになったらしい・・・。ああ、お兄ちゃんより先に結婚しちゃうなんて・・・。
「・・・だがな、輝よ・・・独りになっていい事はあるもんじゃ。よく考えてみたら独身のほうがいいかもしれん。ふっふっふっふ。」
あ、それはいい考えかもしれないなぁ・・・。




