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目覚め

十、

 二日ほど、俺たちは行方不明だったらしく・・・・俺たちが帰ってきたことを知った葵たちは泣いて喜んでくれた。まぁ、帰ってきたといっても下山している途中で葵達と会っただけだが・・・・葵たちが来る前に、俺は黒河に龍の話しをしておいたのであった。


「・・・また、どこかにだまって行くんじゃないかと思ってましたよ?」


「そうよ、どれだけ私たちが心配したか分かってるの?」


「これはまた、お仕置きが必要かもしれませんね?」


 三人に俺一人だけが起こられている間・・・黒河は一人、今まで起こったことを考えているようでもあった。


「「・・・・暗兄様!お怪我はありませんか!!」」


 そんな時、どこかで見た二人の美少女が黒河のもとに走ってやってきた。・・・その顔は、水晶の洞窟であったあの二人にそっくりであった。え、あの二人って黒河の妹たちだったのかと思ったが・・・・どうやら、黒河の目を見ると違うようだ。


「・・・し、白川・・・。」


 何か言いたげな奴の顔・・・見るだけで分かるが、こんな二人の妹など、僕は知らないといっているようだった。・・・・いつから、ミステリーになったんだ?いつの間に、奴に妹なんてできたんだ?そして、ほんとにいたとしても何であんなにあいつの妹は両方とも、可愛いんだ?誰か、教えてくれぇ!!


「ま、これも何かの運命・・・黒河、よかったな・・・神様がもてないお前にプレゼントしてくれたんじゃないのか?」


「ちょ、何言ってんだよ!僕は出来れば年上、もしくは同年代が好みなんだよぉ!!」


 突っ込むところはそこかと思いながらも、誰にこんな不思議な経験を話せばいいかぜんぜん、分からなかった。うぅむ・・・、困ったものだな。黒河はいきなりできた謎の妹たちに好き好き光線を当てられてまいっている。


「輝さん、顔色悪いんですけど・・・大丈夫ですか?」


「え、ああ・・・ちょっと色々あって疲れたんじゃないかな?」


 加奈と碧さんは俺と黒河のために何かジュースを買いに行ったようだ。葵が言うには、もう少しで黒河の家のものが迎えに来てくれるらしい。


「ほんと、私のお姉ちゃんも心配してたんですよ?」


「ああ、そりゃ・・・謝っておかないとな・・・?」


 お姉ちゃん?葵にお姉ちゃんなんていただろうか?いや、いなかった。断じていなかった・・・・。なんとなく、嫌な予感がして、黒河のほうを見た。黒河も、謎の妹たちに抱きつかれながらも、葵に姉がいないことに気がついて水晶の洞窟の奥であったことを思い出して何かに気がついたらしい・・・。


「・・・黒河、海で見たものを覚えてるか?」


「う、うん・・・あれってもしかしてだけど・・・蛇じゃなくて、龍?」


「お、二人とも見つかったんだねぇ、私、心配しちゃたぞ?」


 黒河とともに、回らない首を無理やり動かし、声がしたほうにまわす。と、そこには葵に似ている女性が手を腰のところに当てて立っていた。もちろん、俺はこんな女性を見たことないし、黒河だってこっちに呼んだ覚えはないはずだ。


「白川、よかったな・・・・綺麗なお姉さんが心配してくれて・・・・」


「黒河、その言葉、お姉さんを妹に代えてそのまま返すぜ?」


 葵の姉だといった、その人物は俺の耳元でこう言った。


「・・・・こんな綺麗なお姉さんから逃げちゃ駄目じゃない?輝君?」


 にやりと笑う、その顔は・・・・妖艶の感じで怖かった。しかし、こんなところで震えていたって始まらない。


「・・・・今度、話したいことがありますので、どこかに行きませんか・・・ええっと・・・」


「名前はあいよ。藍姉さんといつものように呼んで構わないわ。」


 どうやら、この人が何者かは分からないが・・・・話せる相手ができたのは事実のようだ。いったい、俺たちが経験したあれは何だったのだろうか?そして、一人、蚊帳の外であった葵は不満そうであった。


「むぅ、お姉さんと輝さんってそんなに仲が良かったんですか?」


「葵、大丈夫よ・・・私はあなたを応援してるからね。」


 別れ際、彼女は俺に携帯番号のアドレスを渡してどこかに去っていった。黒河は妹たちにいまだにじゃれ付かれており、いきなりできてしまった妹たちにどうやって接すればいいかわからずになすがままにされていた。まぁ、かく言う俺もさっきから葵に後ろから抱きしめられているのだが・・・・・。


「葵、どうかしたのか?」


「・・・・他の人にとられたらたまりませんので、予約しているんです。」


・・・・・そうですか。それで、それは何の予約でしょうか?さっきから、腕に力がこもっているような感じがするのですが?あ、あれ?なんかまた、寒くなってきるような・・・・。


「・・・輝さん、起きてください!!風邪引きますよ?」


「ふぇ?」


 俺は自分の部屋に突っ伏して寝ていた。どうやら、今まで夢を見ていたようだ・・・そう、自分の部屋でクーラーの温度を下げれるだけ下げて寝ていれば誰だってこうなるだろう。


「・・・輝さん、旅行はどこに行くか決まったんですか?」


 そうだった、俺は今、みんなで行く旅行を探していて、寝てしまったようだ。俺が見ている本には山の風景が映し出されており、その隣にはちょっとエッチな本がおいている。


「あ、黒河さんからお電話がありましたよ?なんでも、旅行にいっしょにいこうだとか?」


 俺は、背筋が寒くなる感じがした。夢のようになるのはいやだね。


えーと、輝が見ていた不思議な夢話は一旦ここで終わりです。出来たら、感想を聞かせてください。

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