08
「…ん…ふぁああ…」
あ~。今日も仕事かぁ~。
今何時だろ。
時計、時計…
ムニムニ。
ムニムニ?
時計ってこんなに柔らかかったっけ?
「ふふ。そんなに強く握られたら痛いな」
んんん!?
私は、文字通りガバッっと起き上がった。
「で、で、でんかぁ~~~~!!?」
「おはよう、ローズ」
「な、なんで、殿下がいるんですかー!」
もしや、また朝から政務を放り出してきたんじゃ・・・・
「何言ってるの?昨日はローズが寝ろっていって無理やり寝かしつけたんでしょ?覚えてないの?」
・・・・・・・あぁ!
そうだった、そうだった。
昨日は、殿下の誕生日パーティーをやってて、あまりに疲れてたっぽいから寝ろって言ったんだっけ?
・・・・だからって朝までいる事無いのに・・・。
近衛達は何をやってるんだか、さっさと連れて帰ればいいのに。
「ローズ?百面相して何考えてるの?」
「何って、そりゃ・・・」
「あぁ!!やっぱり言わなくていいよ。・・・なんとなくわかるから」
「・・・・・左様でございますか」
だったら、さっさと帰ればいいのに。
「さぁ!ローズ。そんなことより朝ごはんにしよう!用意しておいたよ!」
テーブルに並ぶのは朝から豪華な朝食だ。
・・・・朝からこんなに食べれませんよ・・・。
大体、用意してるってことは誰か来たって事だよね?
その時に連れて帰ればいいのに・・・・。
「ほら!早く食べよう!」
にこにこした顔で私を呼ぶ。
・・・なんか、憎たらしい・・・・・。
「・・・・こんなに食べてたら豚になりますよ。殿下」
「ええ!?豚?豚になった俺は嫌い!?」
いや、好き嫌いとかホントどうでもいいから。
嫌味も通じないとはまったくめんどくさい・・・。
「殿下が豚になろうとどうでもいいです」
そういうと、目の前で騒いでいる殿下を放置して、パンとコーヒーだけ頂いた。
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朝食を食べ終わると、先程より頭がすっきりしてきた。
「殿下!ほら、早くしないと私が仕事に遅れてしまいます!急いでください!」
「俺は大丈夫だもん。なんならローズの家で留守番してるよ?」
「いやいや!迷惑ですから!!っていうか、殿下もご政務があるでしょう!仕事してください仕事!!」
「えー。昨日やったから今日はあんまり仕事ないと思うけど・・・」
「だったら、この国の事について考えて下さい!とにかく何でもいいから行きますよ!!」
じゃないと、また宰相様に怒られてしまう!!
もう本当に朝からあの人の嫌味は聞きたくない!!
一日気分がブルーになるんだから!
「じゃぁ、馬車で行こう。表に呼ぶから」
なに!?馬車とな?
あー、それなら結構余裕で着くかもぉ・・・・・。
でも、殿下と一緒に出勤とかありえないし・・・・。
「いや、やっぱり歩いていきますよ」
殿下も一応王子だし、一緒に出勤とかまずい気がする・・。
「・・・・今から歩けば遅刻だよ?馬車で行けば間に合うけど?」
はぅぁ!!いつの間にこんな時間!?
くぅぅぅ!遅刻はいやだ!でも・・・
「・・・宰相のお説教なくなるよ?」
「・・・ご一緒させてください」
負けた・・・。
あの宰相様の説教程嫌なものはない・・・。
そして、殿下はご機嫌、私はしぶしぶ馬車に乗って出勤する事になった。
朝から豪勢な食事・・・。
寝起きでは食べれないでしょうが、とってもうらやましい。
何がうらやましいって、ご飯ができている事がうらやましいです・・・。
なんて、思っている作者でした。
次回もよろしくお願いします。