07
「ふふふ・・・。殿下、お誕生日おめでとうございます・・。殿下のお誕生日を2人で祝えてうれしいですわ」
「ありがとう。私もローズと2人で祝えてとても嬉しいよ」
お互い見つめあいながらグラスをかざし乾杯をした。
・・・・なんて事はあるわけがない。実際は・・・
「殿下!これ!これすごく美味しいです!はぁぁぁ!ほっぺが落ちそう!夢にまで見たローストチキンは夢以上だわぁ!!」
ローストチキンごときに興奮するローズ。
・・・可愛いんだけどね。すっごく。チキンでなくローズを食べちゃいたくなるくらい。
「ローズ、落ち着いて食べないと喉に詰まらせちゃうよ?」
それでも、ローズと過ごせるのが嬉しい殿下である。
「でんくゎ?でんくゎはおひょくひしゃれないんでひょかぁ?」
両頬にいっぱい詰め込んでまるでハムスターの様だ。
「ふふ。食事してるよ。ローズの笑顔でお腹いっぱいだ」
・・・どん引きだ。
何を言ってるんだ。
あまり食べてないようだから気を使ったのに。
ごっくんと口の中にあったものを飲み込んだ。
「殿下。お疲れですか?今日はものすごーく仕事されたようですもんね?」
「んー、疲れてないって言ったらウソになるけど、ローズと一緒にいるだけで癒されるから大丈夫だよ」
おいおい・・・・。
今日はいつもに増してゲロ甘な言葉を発してるあたり、かなりお疲れの様子ですが・・・?
「お食事も喉を通らない、あまりのくだらないこと・・・いや、ゲロ甘・・・甘いお言葉を発してるあたり大丈夫のように見えないのですが?」
「・・・ローズ、たまに俺だって傷つくんだよ?誕生日くらい優しくしてくれたっていいのに・・・・」
・・・一国の王太子とは思えないお言葉だな。
「なら、城に戻って早く休まれた方がよろしいですよ?疲れを取るには休息が一番です!」
そうそう。早くお家に帰って寝なさい!
「・・・大丈夫だよ。今日は一緒にいるって約束したから頑張ったんだからね?」
ジロリと睨まれてしまった。
まぁ・・・確かに今日は私の仕事がなくなるくらい頑張ってもらいましたが・・・。
大分顔色が悪いんだよなぁ・・・。
帰れって言っても帰らないし・・・・仕方ないな。
ローズは席を立ちベットの前に移動した。
「・・・殿下?一緒にいればいいんですね?」
「??」
殿下は首をかしげた。
「はい!じゃぁ此処で寝て下さい!私のベットは寝心地がいいんでしょう!?」
「!!!!えぇ!いいの?いや!っていうかそうしたらローズの寝るところがないじゃない!」
がたんと、椅子が倒れる勢いで席を立った。
「いいんです。私は床にでも寝ますから!早くこっちで横になってください!」
「いやいや!ローズを床に寝かせるなんてできないよ!!俺は大丈夫だから食事の続きをしよう?」
にっこり笑って、また席についた。
むー。どうあっても寝ないらしい。
なら、最終手段だ。
「・・・殿下?今なら膝枕のサービスをして差し上げますよ?」
「!!!!!!」
ふふ。予想通りすっ飛んできた。
まったく、なんで膝枕なら寝れるんだ?
しかも、膝枕って長時間すると足しびれちゃうから嫌いなんだよね。
だからって寝かせずに疲れたままにして、明日の仕事に影響がでてもこまるし。
今日みたいな事にでもなったら殿下を絞殺しかねないもん。
「殿下?ちゃんと寝て下さいね」
にっこり笑って、私の膝の上にいる殿下の頭をなでた。
「はぁ~。こういう事平気で出来るあたりまだまだなのかなぁ・・・」
ぽつりと殿下は何かをつぶやいたがそのまま目を閉じた。
ん?何か言った?
まぁ、いいや。
とにかく早く寝ろ。
殿下が寝たら殿下のローストチキン頂いちゃおう。
膝枕したんだから、それくらいイイよね。うふふふふ。
そう思っていたら、下からスースーという寝息が聞こえてきたのだった。
殿下・・憐れですね・・・・。
でも誕生日だったので少しいい思いをさせてあげました(笑)