06
「殿下?そんなこと軽々しく口に出してはダメですよ?私だったからよかったものの。他の人なら本気にとっちゃいますからね」
あやうく本気にとりそうだったわ。
殿下が怖かったからね。
ビビってたから思考が思わず変な方向に行ってたんだわ。
あぶないあぶない。
「・・・・・・ここまでいっても駄目なのか・・・。なんかもう、ローズってすごいよね・・・」
ぼそぼそと何を呟いてるんだ?殿下。
冗談が通じたからほっとしてるのかな?
そうだよねぇ。
だってそうじゃなきゃ、殿下の立場的にあぶないもんね!
「では殿下、カバンを返して下さい」
「・・・ローズ?」
「いやいや、ちゃんとバースデーパーティはやりますよ?でも、家でやりましょう」
そうそう。家に帰って適当にお祝いすれば殿下も気がすむだろう。
じゃないとまた私室へ・・・
みたいな冗談か本気かわからいような事いいだすんだから。
「・・・ローズの家?それもいいね。じゃぁ用意をするから待ってて」
すっかり機嫌がよくなった殿下が着替えに執務室横にある休憩室に入った。
あぁ・・でも食事を用意してくれてたのかな?
それ、もって帰っちゃダメかなー?
家に帰っても何もないしな。
「殿下ー!お食事をつつんで家に持って帰ったりできませんか?」
休憩室に向かって叫んだ。
するとすぐに殿下が出てきた。
はや!!!
着替えるの早すぎですよ!
「そんなことしなくても、新しい料理をローズの家に運ばせよう」
「いやいや。もったいないじゃないですか。せっかく用意して下さったんですからそちらを持って帰りましょうよ」
「イイ子だなぁ。ローズは。でも、心配しなくていいよ。食べなかったものはちゃんと他の者が食べるから」
極上のとろけるような笑顔で私の頭をなでた。
「そーなんですか?なら、私ローストチキンが食べたいんですけど・・・」
笑顔の効果はローズには無意味だった。
ふふふ。殿下が食べるような食事なんてめったに食べれないから楽しみだわ。
あんなものやこんなもの・・・。じゅる・・・。
たまには殿下と食事もイイカモネ!
「ローズ・・・。思考が顔からダダ洩れだよ?しかも、最後なんでカタカナ?でも、たまに食事してくれるならいいけどね」
・・・おかしいな。
口にはだしてなかったのに・・・。
ていうか、発言も人の思考を読むのも怖いわ!!
「だから、顔に書いてあるんだってば!それより早くローズの家へ帰ろう」
「読まないでください!!そんでもって、帰るって間違ってるから!!!」
殿下に引きずられるように自分の家へ向かった・・・・。
・・・自分の家に帰りたくないってどうなの?
あぁ!そういえば殿下の誕生日だった。
「・・・殿下!お誕生日おめでとうございます」
服の首あたりを持って私を引きずっていた殿下は急に手を離したもんだから、尻もちをついた。
「いたっ!!殿下!只でさえ扱いが雑なのに急に手を離さないでくださいよ!!」
ってなに!?
そのまじめな顔は。
どうしてそんな真面目な顔でこっちみてるのよ!
と、思ったら急に背を向けられた。
なんなんだ?一体・・??
首をひねりながら、とにかく痛いお尻をさすっていた。
今、殿下は思わぬところでもらったローズからの言葉に顔を真っ赤にして本気で喜んでいたことも知らず・・・
「~~~~~~~っ!本当に!!人の気も知らないで!!ほら、ローズさっさとお家に帰ろう!!」
ローズどんどん殿下への言葉づかいが崩れてきてるぅ・・・