05
くそぅ。宰相様め!
あぁ・・・。余計な事言うんじゃなかった・・・。
帰りたいのに・・・。
あぁ・・・。執務室が見えてきたよ・・・・。
めんどくさいなぁ。
コンコン
「失礼します。リルガ殿下いらっしゃいますか?」
・・・・・
ん?返事がない?
居ないのかな?
あれ?鍵かかってないじゃん。
そぉーっと中をのぞいてみると机の上で眠っている殿下を見つけた
「・・しつれいしまーす・・」
静かな声で部屋に入り殿下のそばに近づく。
どれどれ?
んー寝てるのかな?
おぉう。まつ毛ながっ!
こうやって静かにしてればかなりイケ面でタイプなのになぁ・・。
性格がかなり残念だ・・・・。
「・・殿下ぁ?・・・」
起きる気配はない。
よし!今のうちにカバンを探し出して帰ろう!
カバンカバンっと。
うろうろと執務室の中を探し始めた。
すると、後ろからにゅっと腕が伸びてきて拘束された。
「ぎゃぁ!!」
振り向くと少し怒ったような殿下の顔が近くにあった。
「・・ローズ、何してるのかなぁ?」
「で・・殿下・・・。寝ていらっしゃったのでは・・・」
冷や汗がだらりと垂れる。
「少しうたた寝してただけだよ。それで、今何してたの?ローズ?」
な、なんか、その笑顔怖いんですけどぉ・・・・。
「え、えっとぉ。カバンがなかったので探してました・・・?」
「大丈夫だよ。カバンは俺が持っているから」
いや、返して下さいよ・・・・。
って言える雰囲気じゃない?
「・・・ローズ。帰ろうとしてたよね?」
さらに笑顔がこわいぃ・・・。
「いえ!そんな!」
「してたよね?」
殿下の笑顔が正直に答えろや!って書いてあるように見えますが・・・。
「・・・はい。してました」
「約束してたのに?」
「・・・だって、何も用意してないですし、私一人じゃさみしいでしょうから」
そう!そうだよ!
我ながらナイス言い訳!!
「問題ないよ?食事なら私室に用意させてるし、誰かいたらむしろ邪魔だし」
即答ですか。しかも邪魔って・・・・。
ん?食事?私室?
「で、でんか?まさかとは思うのですが、殿下の私室で食事をしようだなんてお考えじゃありません・・・・よね?」
「そうだよ?」
のぉおおおおおお!!
馬鹿殿下到来だ!
一般ピーポーの私が殿下の私室なんてありえないから!!
「で、殿下!!私はそんな私室になんてお邪魔できませんからね!!お立場考えて下さいよ!?」
「立場?別に問題ないんじゃない?」
いやいやいやいや!
問題大アリだから!
「いいえ!殿下の私室に入るのはお妃様だけと決まっているではありませんか!!」
「だって、俺に妃はいないから問題ないじゃない」
「だから!!妃になる人しか入ってはいけないんですよ!!」
「じゃぁ、ローズが妃になればいいじゃない。っていうか、ローズしかありえないし」
は?
今なんていいました?このひと。
とんでもないことさらっと言いませんでしたか?
妃ってもうプロポーズですよね?
勢いでプロポーズしちゃってますよ。殿下・・・。