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「待って!!!!」
目に映るのは自分の手。
「・・・・・・」
ふと横を見ると大きなクマが一緒になって寝ていた。
「夢・・・・・・」
なんて嫌な夢なんだろう。
だけど、あれが本当なのかもしれない。
「・・・・情けないわ・・・・」
今もなお私の心の中にはあの人がいたのだ。
「忘れたはずだったのに・・・・・」
昨日国王からあんなことさえ聞かなければ・・・・。
コンコン
「ローズ、朝よ!起きなさぁい」
タイミング良くお義母様が部屋の扉をたたいた。
「・・・・はい。・・・・すぐに用意して食堂に向かいます・・・」
そう言うと義母ははやくね―と明るく元気な声で私の部屋の前を去って行った。
しっかりしなくては!
こんな顔で下りて行ったらお義母様に心配をかけてしまうわ。
ベットから降りると鏡の前に座りしっかりとメイクを施した。
「しっかりしなさい!あなたが決めた道でしょ!間違ってなんかいないわ!」
鏡に映る自分にそう言い聞かせ、なおも私を呼ぶお義母様の声にせかされるように食堂へ向かった。
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「おはようございます!!」
勢いよく開けた執務室のドア。
「う・・うむ。・・・おはよう。ローズ・・・・。頼むからもう少し静かにドアを開けてくれ」
驚いた宰相様は持っていた書類を落としてしまったらしい。
こちらをにらみながらも落ちた書類を拾っていた。
「はぁーい。すみません」
机の上にカバンを置くと宰相は言葉をつづけた。
「ローズ。出勤したら国王の所へ来いとの事だ」
ため息とともにこぼれた宰相の言葉に私の手が止まる。
「国王が・・・・・」
朝から嫌な呼び出しだ。
きっと昨日の事だろう。
せっかく気持ちを入れ替えて来たのに今またあの話を聞いてしまったら私・・・・・。
「なんでもお前の結婚の事で話があるそうだ」
私の思考を遮り話を続ける宰相から出た言葉は私の思っていることとは違った。
「結婚!?」
思わず大声をあげてしまった。
「そうだ。・・・お前が結婚とは・・・・。相手が哀れだ・・」
ぼそりとつぶやく宰相の最後の言葉は聞こえないようにつぶやいたのだろうがしっかりと私の耳にも届いた。
じろりと宰相を睨むと、宰相は顔をそらし自分の仕事に戻った。
「・・・はぁ・・・・。どうしてこう次から次に・・・・」
あの国王の考えていることは1年たった今でも中々わからない・・・。
とにかく、国王の元へ行き真偽の程を確かめなくては!
「じゃぁ、宰相様。国王の所に行ってきます・・・」
一応上司である宰相に断りをいれ、先程入ってきたばかりの執務室を後にした。
「まったく・・・。あの国王は何を考えてるんだか・・・」
怒ることにも驚く事にも疲れ果ててしまった私から出るものはため息だけだった。




