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「・・・ロ、ローズ・・・・」
びくびくしながら私に話しかけてる宰相。
「はい!?何ですか!?」
「ひぃ!」
・・・・ひぃって・・・・。
ついうっかりイライラが表に出てしまって完全に八つ当たりだ。
「はぁ・・・・。すみません、宰相様。なにか御用でしょうか?」
なんだか涙目の宰相が駆られる寸前のウサギの様に見えた。
「い、いや。あの、この書類を頼もうと思ったのだが・・・・・。国王となにかあったのか・・?」
私は部下なんだから、そんなにびくびくせずともガツンと頼めばいいのに・・。
ウサギの様な宰相ににっこり笑いかけると宰相も多少落ち着いた。
「わかりました。こちらはいつまでに処理をしておきますか?」
「う、うむ。明日の昼までには終わらせてほしい」
少しいつもの感じを取り戻しつつもまだ目の奥はびくびくとした感じが隠せない。
・・・正直な方でいいのだけれども、たまにいらない事をべらべら喋ったり思った事が口からストレートに出るところは何とかならないかしらね。
「はい。では、明日の昼までにやっておきます」
とりあえず、びくびくした宰相はウザイのでとっと会話を終わらせる事にした。
宰相は宰相であまり私に絡まない方がいいと思ったのかその後は何も言わずに黙々と作業をしていた。
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仕事も終わりさて家に帰ろうかと部屋を出るとそこに国王が立っていた。
「・・・・・・・・・」
見なかった事にしよう・・・。
家でお義母様がまっていらっしゃるし早く帰ろう。
「・・・・おぉい!!どういう事だ!?なぜ無視して通り過ぎる!!」
聞こえない。
聞こえない。
私の耳には何も聞こえない。
「待て!ローズ!!」
ローズは私じゃない。
ローズは私じやない。
空耳空耳。
「待てと申すのに!!」
・・・・・肩に何か張り付いているようですが・・・・。
「・・・・そう睨むな。お前に話があるのだ」
「私にはありません!!」
肩に置かれた手をぺっと投げ捨てるとさっさとその場を立ち去ろうとした。
「・・・お前の元母国の事なんだがな?」
ぴたりと足が止まった。
それを見た国王がニヤリとしたのは背中越しにでもわかった。
「近々、あのボンクラ王子が婚約するそうだ」
・・・・・婚約?
頭を金づちで殴られた様な気がした。
「・・・ショックか?」
振り向かない私の背に言葉を投げかける国王。
「・・・いいえ。別に。私には関係ありませんから」
そういうとまた足を前に進めその場を離れた。
「・・・強がって・・・・」
国王の漏らしたその言葉はもちろん私には届いていなかった。