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昨日の今日で落ち着く間もなくお義父様と仕事に行く事に不満を漏らしていたお義母様だが、私の着るドレスを身立てて飾り立ててくれると落ち着いた様子で送り出してくれた。
「・・・・すまんな。ローズ」
馬車に揺られながら目の前に座るお義父様に苦笑されながら謝られた。
「・・・いいえ。私も気を利かせて休みを取るべきでした。・・・・しかし、この格好で登城するとは・・・・」
舞踏会にでも行くのかと思うくらい飾り立てられてしまった。
「はは。あちらに着いたら着替えなさい。それに、家族となったんだ。気を利かせる必要はないよ」
穏やかに笑うお義父様に頷くとなんだか、くすぐったい感じがした。
王宮に着くと、お義父様と別れ急いで着替えまっすぐと向かった。
もちろん、あの人の元へ・・・・・。
「国王!!!!!!!!!」
ノックもなしに部屋へ入る事は禁止されているが怒り心頭のあまり思い切り扉を開けた。
「おお!ローズ!どうだ?新しい家族や家は」
何事もなかったように振舞う国王の元に近づいていくと力いっぱい机を叩きつけた。
「どういう事ですか!!結婚って!!」
私の勢いに目を丸くしたかと思うと国王はにやりと笑った。
「なんだ。オーランドは話してしまったのか」
悪びれる様子ひとつない。
「・・・・国王、何を企んでおいでですか」
「企むとは人聞きが悪い。私はお前の為を想って動いているのだぞ?」
一体何を考えているのかわからない表情に更にイライラが募る。
「私の為?勝手に私を結婚させようとしている事が私の為なのですか!?」
・・・結婚なんてもう望まないと誓った・・・・。
「そうだ。この国の為に働いてくれたお前に人並みの幸せを掴んでほしいからな」
「・・・だったら、ご自分のお妃様をお迎えください。それが私の幸せです」
国王の幉をしっかりと握ってくれるような妃が来てくれる事が・・・。
「ふむ。しかし、なかなかアレ以外私の納得する姫がいないからなぁ・・・・。やはり、ローズ私との結婚が良かったか?」
「じょおだんじゃありません!!そればっかりはお断りです!」
こんな人を振り回してばかりの国王と結婚なんて・・・
ひぃ!考えただけで恐ろしい!!
私の平穏は確実に無くなる!
「・・・ひどい言い草だな・・・」
ちょっとばかしへこむ国王にふんと鼻を鳴らした。
「大体、国王には決めた姫がおられるではありませんか!その方とさっさとご結婚でもなさってください」
こんのロリコンめ!
「・・・ローズ、わかって言っているのであろう?まだ結婚できる年ではない。第一、そうなったらすぐにでも私の物にするさ」
何を思って笑ったのか・・・・。幼い姫の身を案じると憐れに思った。
そう。実は国王には昔から決めた姫がいた。
私に求婚したのもただの冗談だったのだ。
いや、あの時は本気だったようだが、心には嘘をつけなかったらしい。
しかし、まさかこの国王が純愛とは・・・・。
何しろ国王が18の時に見た生まれたばかりの赤ちゃんに運命を感じたと言うのだから、なんとも・・・・。
今、その姫は12歳。現在は国王の妃になる為、一生懸命勉強中だ。
「私の事はよい。そのうち正式に決まればお前にも話す。それまでは変な虫が着かないように気をつけるんだぞ!」
ビシィ!と顔の前に突き出てきたこの指・・・。
へし折ってやろうかしら・・・・。
「さぁ。わかったらさっさと仕事に戻れ!お前にやってもらう事はたくさんあるぞ!」
何かを感じ取ったのか目の前に突き出された指を即座に引っ込めると、犬でも追い払うかのように手をひらひらと動かした。
「・・・・こんのぉ・・・・くそ国王め!!」
あんまりに腹が立ったので、ついうっかり本音を叫び国王の部屋から飛び出してしまった。
部屋の扉を閉めると同時に国王の部屋から大きな笑い声が聞こえ更にイライラした事は言うまでもない。