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私が席に着くとオーランド様が話し始めた。
「ローズ、君は賢い子だからきっとこの縁組を不思議に思っているだろうね」
にっこりと笑ったままなのに、いきなり核心をついてきた。
「・・・・はい」
「うん。実はねこの縁組にはもちろん理由があるのだよ。国王には黙っていろと言われたけれど、それではきっとローズは納得しないだろうからね。私たちとしても納得した上で家族になりたいと思っているんだ」
向き合うオーランド夫妻はにっこりと笑った。
「・・・こんな私で宜しいのでしょうか?」
誠実な言葉につい出てしまった。
「もちろん!ローズを養女に迎えたいと言ったのは本心だよ。ただ、お互いに納得しないと本当の家族にはなれないからね」
両親がいなかったわけではないが、幼かったころになくなり兄と2人だった。
その兄も1年前に国を裏切り亡くなってしまった。
家族のいない私にはとても嬉しい話だった。
「・・・・それで、理由と言うのは・・・」
本当の家族になりたいと言ってくれるオーランド様に答えたかった。
「それが・・・・」
言いにくそうに口籠るとオーランド様は置かれていた紅茶を一口飲んだ。
「実は、ローズの結婚話が上がっているのだ」
「へ!?」
あまりの突飛な話に思わず変な声が出てしまった。
「今すぐにではないようだが、国王が内々に進めているらしい・・・」
「あ、あの・・・どういう事でしょう?」
結婚?
「それが私にも詳しい事がわからないのだ。これは本当に国王お一人で進められているようでね・・・」
・・・・あんの国王・・・・・
「・・・それで、私が養女になるのと何か関係があるのでしょうか?」
「うむ・・・。確かではないがたぶん、身分の高い方なんだろう」
・・・・どうしてこうも王族というものは身勝手なのだろう
「どうする?今ならまだ取り消す事も可能だぞ?」
オーランド様は相変わらずにっこりとした顔で聞いてくる。
しかし、隣りにいるマリー様はすごく悲しそうな顔だった。
「・・・・いいえ。こんな私ですがオーランド家の養女にして頂けますか?」
この話を引きうけてくれたオーランド様に申し訳ない。
こんな私でもいいと言ってくれたのだ。
かなりファンシーながらも、私が来るのを楽しみにしてくれていたお義母様。
そんな人達を裏切るような事はできない。
「ローズ!!嬉しい!これで本当の娘となるのね!!」
横にいたオーランド様の肩にすがりつくように泣き始めたマリー様を見ていると本当に望んで私を養女にしてくれたのだと改めて感じ、心が温かくなった。
「・・・本当によいのだな?」
オーランド様は確認するように問いかけてきた。
「はい。ふつつかな娘ですがこれからよろしくお願い致します。お義父様、お義母様」
養女となる過程がどうであれ私は、このオーランド家の娘になる事を心から喜んだ。