03
あぁ・・・。気が重い・・・。
たかだかお祝いを一言言いに行くだけで上司命令って。
とぼとぼと殿下の執務室に向かっていると何やら、執務室の前が騒がしかった。
「殿下!開けて下さい!!」
ん?なんだなんだ?
野次馬根性丸出しで、殿下の執務室へ近づいて行ったら、公爵様や伯爵様・執務官に騎士団長までいるではないか!
「あ、あの、どうされたんですか?」
近くにいた公爵様らしき人に聞いてみた。
「あぁ。殿下がボイコットしてるんだよ。何が気に入らないのか部屋に入れてくれず仕事が進まない」
はぁ・・・。何をしてるんだ、あの殿下は。
だけど、これで私も仕事に戻れるって事だ。
しかし、その公爵様は恐ろしい言葉を発した。
「ローズとやらがいなければ仕事ができないとおっしゃるんだ。誕生日位自分の好きにしたいと。だから今そのローズとやらを呼びに行っているのだ」
「はぁぁぁ!?」
思わず大声で叫んでしまった。
すると、同時に扉が開いて元凶が出てきた。
「ローズ!!!!」
あぁぁぁ!やめてよ!
大声で呼ばないでよ!
こっち来ないでよ!
皆見てるじゃん!!
ほら、めっちゃみられてるしぃぃぃぃぃ。
「来るなぁ!!!!!」
思いっきり走って逃げた。
が、
騎士団長を始め周りの人々に捕まってしまった。
しかも、その目は明らかに「逃げんな!なんとかしろ!」
無言で言われるのが一番怖いっす・・・。
そして、差し出されました。殿下に・・・・。
「ローズ!!待ってたよ!」
ぎゅぅっと抱きしめられて・・・いや、羽交い締めにされた。
「・・・・何してるんですか?殿下」
地を這うような私の声に殿下はそぉと距離を取り始めた。
「・・・・ローズ?・・・あの・・・」
またもや上目づかいか!?
ちっ、それも腹が立つ。
「殿下。申し上げましたよね?仕事をしてくださいと。どうして今ボイコットなんてしてらっしゃるのですか?」
しょぼん。としたって許せない。
こんな人目がたくさんある中で、羞恥プレイをした罪は重い。
「・・・だって、ローズがおめでとうって言ってくれてない・・・んだもん・・・」
馬鹿か!?
こいつは本物の馬鹿だ!
おっと・・・。思わず殿下にこいつなんて言っちゃった。テヘ。
心の中だからいいか。
って、そんな事より意味分かんないんですけど。
「・・・・・そんな事で皆様を困らせてるんですか?」
鬼続行。
泣くかな?
あぁ・・・泣きそうな顔しちゃって。
っていうか、本当にこの人で次期国王大丈夫なの?
「・・・・わかりました。では、殿下が今ある仕事を全て終わらせたら、今日の夜バースデーパーティをしましょう」
そういうと殿下の顔はとたんにぱぁっと明るくなった。
「本当!?絶対約束だよ?じゃぁ俺頑張るから!」
言うと同時に自分の執務室へ戻り机についた。
そこから殿下は「ほら、皆何してるんだ!早く書類を持ってこい!」
と叫んでいた。
ふぅ、やれやれ。これでとりあえず一安心だ。
ローズも自分の執務室へと戻って行った。
2人のやり取りを見ていた周りの重臣達は、あまりのバカバカしさに呆れて石化していた。
バカップル・・・?