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「それから、こちらに隣国から連絡がきた。その時初めて前国王はジクが戦争を仕掛けた事を知ったのだ。前国王はジクを呼び出し、なんて事をしてくれたのだと問い詰めた。ジクはジクで今更自国に戻ることも出来ない。給金だって微々たるものだ。と怒鳴り散らしながら我が国王を手にかけてしまった。運悪く、そこに王妃が入ってきて、その状況を見た王妃は、怒りに震えジクに斬りかかったそうだ。だがジクにかなうわけもなく王妃もその場で殺されてしまった。私が駆け付けた時にはすでに遅くジクが消えた後だったのだ」
国王は話し終えたところで、ローズを立たせ近くにあったソファーに座らせた。
「・・・・ローズお前には辛い話かもしれない。だが、我が国もかなりの痛手を負ったのだ」
国王は向かいのソファーに腰を下ろした。
ローズは頭の中で国王が言っていた事を考えていた。
・・・つまり、あの時の肩の傷は王妃様にやられ、その前には国王様も手にかけていたと・・・・!?
なんて事だ!!
信じていた者に裏切られただけではなく、自分の臣下が戦争を引き起こそうとしていたなんて!!
「・・・・申し訳ありませんっっ。知らない事とは言え、我が臣下がそんな事を・・・・!!」
ローズはソファーから滑り降りるように床に頭をつけた。
「!!よせ!お前のせいではない。国王に捕まった時点でもうお前の手を離れておったのだ」
国王はローズの腕をとり立たせようとした。
「いいえ!!これは私の目が届いていなかったからです!臣下を信用しすぎてこんな事をしてる事も知らなかったとは本当に情けない!!」
国王の手を振りほどき距離をとった。
「ジクはもちろん、私にも責任がございます!!国王様のお好きなように罰してくださいませ!!」
ローズは隠し持っていた短剣を国王にさしだした。
「・・・こんなものを持っていたのか・・・・」
ふぅ・・と国王は溜息をつくとローズの差し出した短剣を手にした。
「・・・覚悟はできているという訳か?」
「はい」
「・・・・何があってもお前が責任をとると?」
「はい」
「・・・・命をかける程の者か?」
「・・・・ジクの為ではありません。自分の為です」
「・・・・その為に命を捨てることもおしくないと?」
「はい」
「・・・・・・ふぅ・・・・・」
「では、覚悟致せ!!」
国王は短剣を抜き、大きく振り上げた。
ローズは思わず目を瞑り体をこわばらせた。