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一体どういう事だろう?
ジクがウソをついたとでも・・・・。
「・・・まさか・・・・」
ローズは血の気が引く思いだった。
「そうだ。お前の間者はすでにお前の手を離れておる」
国王の意味するところ・・・・、つまりジクは私たちを裏切っていたという事だ。
「・・・なぜ・・・」
「ローズ、お前はこの部屋に入った時無駄な物が多いと言ったな?」
確かに無駄なものというか、なぜこんなものが?とは思った。
「・・・はい」
「それは前国王夫妻が国の資金を散財しておったからだ」
そんな!?
ローズの知る前国王夫妻はのほほんとして、とても華やかなイメージなど湧くような方々ではなかった。
「そんなはずありません。あの方々は我が国に来られた時も民の事を気にし、民の為にと色々と施してくださっておりました!」
「・・・・ふん。そんなもの、よその国にばれないようにだろう?我が国の民であれば皆が知っておる。自分たちの税金で無駄なものを買い湯水のごとく金を使うとな」
・・・・そんな・・・。
「・・・しかし、それとジクに何の関係が?」
「・・・お主は本当に全く知らないようだな?」
はぁと深いため息を国王がついた。
「・・・ジクとやらは一度前国王に捕まっておる」
「・・・え!?」
そんなことは全くもって知らされていなかった。
「その際にお前の国の情報をこちらに流す事で釈放され、その上給金も出す事となった」
「・・・・そんな・・・。こちらの情報を・・・・」
ローズは力が抜けその場に座り込んでしまった。
「・・・・それから、いい情報があるたびに国王はジクに褒美を取らせた。好きなものを好きなだけ買い与えたのだ」
・・・まさか。自分のもとに来るジクはお金を望んでいるようには見えなかった。
「しかし、ジクは先に給金をもらわねば仕事は出来ないと言いだした。しかも、今までの倍額でだ。それを聞いた国王は命を助けてやった恩も忘れ、更に要求を突き付けてくるようになったジクを不要な存在だと思いはじめ、我が国から追い出そうとした。・・・追い出したところで戻る国があるのだがな」
我が国の事だろう。
「だが、奴はそれを知って腹を立てたんだ。・・・もうしっかりと金の虜になっていたんだろう。自国の給金ではやっていけない。それならば、この国を滅ぼしてしまおうとでも思ったのだろうな。国境近くで騒ぎを起こした。・・・・それが、今回の出来事だ。わが軍を従わせ自分の国を攻撃したのだ。それも、戦争になるようにと・・・」
ローズは思わず目を瞑ってしまった。
まさか・・・・
自分の臣下がそんな事をしているとは思いもよらなかった。