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「宰相様!!隣国より手紙が届いたとは本当ですか!!」
ローズの所に知らせがあったのはあの日の翌日だった。
「あぁ・・・・。ジクが捕まったそうだ。隣国の国王はジクの主をよこせと言ってきている。お前の事だ、ローズ」
確かにシグの主はローズである。しかし、なぜ私を呼びだすのかまったくわからなかった。
「・・・・なんの目的があって私なのでしょう?何よりジクは私が主である事をしゃべったのでしょうか?」
捕まった時には主の名を出すなどもっての外だ。
ジクはそれがわからないほど馬鹿ではない。
となると自白剤を使われたか?
しかし、そういったものにも耐性をつけている・・・。
それなのに、なぜ情報がもれてしまったのだ・・?
「わからん。すべてが謎につつまれている。おまえはどうする?行くか?それとも、ジクを捨て置くか?」
殿下でさえ捨て置かれるのに、宰相様がわざわざ聞いてくるという事は真相を探ってこいという事だ。
「・・・行きます。殿下には内密でお願いします」
殿下に知られてしまったらうるさそうだ。
「・・・・それは無理だな。もうすでに知っている。そろそろ来ると思うぞ?」
にやりと笑う宰相。
この人は何があってもこのままなのだろう・・・。
その時まさに遠くからこちらに向かって走ってくる音が聞こえた。
私は溜息をつきこちらに向かってくる人を迎える準備をした。
「ローズ!!!!!」
「はい。殿下、お茶いかがですかぁ?」
「・・・もらう」
ずずず。
「ってそうじゃない!!ローズ行くな!!」
「え?なんですか?それ。ちょっとそこだけ聞いたら勘違いする人いるから辞めて下さい」
恋人の別れみたいじゃないか!!
「ローズ!!ふざけてる場合じゃないだろう!!行かなくていい!此処にいろ!!こちらで何とかする」
ふざけるのは殿下の専売特許ですもんね~。
「はぁ・・・・。落ち着いてください。誰が行くと言いましたか?」
「・・・え?では・・・?」
「行きません。捕まるシグが悪いのです。そんなものの為にわざわざ私が行くわけないでしょう?」
「・・・・ローズ。それは少し言いすぎでは・・・・」
「いいえ!間者としてのシグの意識が低いのです。相手に見つかるなど言語道断!!そんな間抜けは捕まって拷問されて死んでしまっても文句も言えません!」
「・・・・・・・ローズ?」
「まったく、情報ひとつ掴んで来れないわ、相手に捕まるわ、主の名前は出すわでどうしようもない馬鹿ですよね。相手にくれてやりますよ。そんな奴」
「ローズ!!言いすぎだ!!ジクはいつも国の為に頑張ってくれているのだ。国の為に捕まってしまったものをそんな愚弄するような事は私は許さない!!」
「・・・・・・・そうですよね」
にっこりと極上の笑みを浮かべた。