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「ふぁ~!!」
すばらしい朝だ!
こんな清々しい朝は久しぶりだ!
「誰にも起こされないのって素敵!!」
いつもならここで必ず殿下がとぼけたことを叫んでいるだろう。
それなのに、今日は優雅にコーヒーを飲みながら朝ごはんを食べ、ゆっくりと顔を洗い仕事へ行く準備をする。
遅刻する~!!!!
と叫ぶ必要もない朝だ。
「うん。そろそろ出ようかな」
余裕をもって家を出る。
くぅ~。
これぞまさに理想!!
「ふふふ。今日は宰相様に怒られる心配もないわ」
思わずスキップをしたくなる。
「おっと・・。どこの餓鬼だとまた言われてしまうわ」
いつもより早くついた仕事場。
「およ?宰相様の姿が見えないがまだご出勤されていないのかな?」
むふふふ。
宰相様より早く着いちゃった。
宰相様驚くかも。
「・・・おまえ・・・こんなところで何してるんだ!?」
聞き覚えのある声が後ろから聞こえた。
「宰相様!ふふ。何してるって早く来たんです!!今日は遅刻なんてありえないでしょう?」
吃驚してる。吃驚してる。
ぷぷ。目が飛び出しそうだわ。
「違う!!なんでまだこんな所にいるんだ?殿下の見送りに行かなかったのか!!」
え?見送り?
・・・あぁ?昨日のやつかな?
いちいち子供じゃないんだから、あんな大勢で出迎えなくてもいいのに・・・
「宰相様が行けばいいじゃないですかぁ。いちいち王宮に来るたび殿下を出迎えるなんてめんどくさい・・・」
あれ?でも殿下って王宮で暮らしてるし出迎える必要はなくない?
「・・・っっ。この阿呆が!!今日は殿下が出立される日だろう?・・・・・もしかして、聞いてないのか?」
「へ?出立?どこか行かれるんですか?殿下が?」
「・・・お前、本当に聞いてないのか・・・・。はぁ・・・。殿下もなぜこんな大事な事をこいつに云わずにいかれたのだ?」
ひどく真剣な顔で溜息をつく宰相様。
何か私の知らないところで起こっているらしい。
「あのぉ・・・。殿下がどうかされたんですか?」
「・・・・。兼ねてより我が国の最北端で内紛が起こっていたのは知っているか?」
「はい。もちろんです。以前から問題になっていた土地ですよね?それが何か?」
・・・・嫌な予感がする。
「そこに、隣国のフィナール国が先日攻めてきた。内紛の起こっている所に隣国が攻めてきたんだ。被害は尋常じゃないくらいお前でもわかるだろう?」
「・・・・はい」
ただでさえ、内紛のせいで町は荒れ、人々は貧困に陥っていた。
そんな中、隣国が攻めてきたとなれば、戦うすべなどないに等しい。
赤子の手を捻るよりも簡単に町は廃墟と化すだろう。
「・・・まさか・・・・」
「・・・・そうだ。殿下は騎士を引き連れそこに向かったのだ」
・・ちょっとシリアスな感じになってきました。




