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元女房役の俺の元に押しかけてくる恋女房?  作者: コーヒー


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入学2日目 ①

朝7時、今日も今日とて母ちゃんの起こす声を目覚ましに目を覚ます。

正確にはその少し前にアラームをかけているのだが、なぜか機能していない。

もしや故障しているのだろうか。これはスマホの買い換えが必要なのでは?


「あんたが自分で止めてそのまま眠ってるだけだわ」


母ちゃんからあきれ半分にツッコミを入れられる。おそらくその通りなんだろうが、本当に無意識にやっているので困ったものだ。


今日も用意してくれた朝食を完食し、当校の準備を終わらせる。


「じゃあ今日も行ってきます」


「忘れ物ない?気をつけてね。母ちゃんも今日からは仕事だからね」


「わかってる。母ちゃんも気をつけて」


「言ってるそばからお弁当忘れてる!!」


母ちゃんからお弁当を受け取ると、家を出て登校に使用している愛車のもとへ向かい、颯爽と学園へ向けて走り出した。




20分後、学園敷地内の駐輪場に到着し、まだ2日目だが所定の位置と勝手にきめた場所に愛車を停める。周りを見るが、今日は秀斗はまだ登校していないようだ。


いればクラスの様子など聞こうかなと思っていたが、いないのであれば仕方ない。次の機会にとっておこうと決め、教室に向かうことにした。


教室に到着すると、昨日よりは少ないがすでに着席していたり、おしゃべりをしているクラスメイトの姿がちらほらと。俺の席の近くには大木さんと斉藤がすでに登校しておしゃべりをしていた。古賀の姿は見かけないので、俺よりかは遅く登校することになっているのだろう。


「あ、金沢おはよー」


「金沢君、おはようございます」


「ふたりともおはよう。古賀はまだ来てないの?」


「そうなの!あいつから早めに登校するよう行ってきたのにねー。寝坊でもしてんじゃないかな」


笑いながらそう答える斉藤につられて、俺たち二人もしょうがないなーと続く。


全員本気では怒ってないが、一番遅く来たことを理由にいじるネタができた、と古賀の到着までに3人で意思統一を図る。


「そういえばさ、昨日はうやむやになって聞けなかったんだけど。大木さんと金沢って元々知り合いだったの?大木さんが一方的に知ってるみたいなことを言ってたけど」


斉藤が昨日の入学式の前にあった話題を思い出したのか、大木さんに質問する。うやむや担っていたが、たしかに俺も少し気になっていたことだ。昨日のLINEでのやりとりでもどちらかも触れることはなかった話題だったので、斉藤の質問は俺としても引っかかっていた疑問の解消にちょうどよかった。


「本当に私が一方的に知ってるだけなんだけど、、、」


そう言って大木さんが話したのは、やはりとも言うべきか俺の過去に触れる話であった。


「私、小学校のことは地域の野球チームに入っていて、そこは男女混合で試合に出てたの。私のいたチームは強豪という訳でもなく、本当に野球が好きだったり興味を持った子が入るようなチームなんだけど」


そういってチラリと俺の方を見る大木さん。この先を言っていいのか確認の意味だろう。気を遣わせるならここから先は俺から話した方がいいか。


「あー理解した。小学校の時は俺全国大会に出場する野球チームに入団していて、一応レギュラーだったんだよね。もしかしたら試合したことがあるのかな。大木さんみたいな美人さんがいたら絶対忘れないと思うんだけど、なんていうチーム?」


そう言うと大木さんは少し困った様子で答える。


「あ、うん。○○野球団っていうチームだけど」


「そうなんだ!隣の地区だから頻繁に試合はしていないと思うけど、何度かは試合しているかもね。ポジションはどこー?」


「ちょ、聞いた私が悪いけど二人だけで会話すんなし!!私も混ぜて」


「はは、ごめんごめん。斉藤は小中となにか部活とかしてたの?」


「あたしはねー・・・」


そう言って斉藤は自分のことを話し始める。


大木さんはチラリとこちらを見るが、俺は気づかないふりをして斉藤の話に相づちを打つ。言っていないことはあるが、そこはあえて自ら話題にしようとも思わない。


「だからあたしはミニバスからバスケ部にそのまま入部したんだけど、「悪い!遅れたー!!」もー話の途中で入ってくるなし!!この遅刻魔!」


そういう斉藤に続けて同意のヤジを入れる。


時計を見ると、古賀が自分で指定した時間から10分は過ぎていた。


「本当にごめんって。朝ちゃんと起きたのに、アプリで更新された漫画を読んでたら、気がついたら家を出ないといけない時間を過ぎてて、焦って走ってきたんだ」


そういうと古賀はシャルの襟元を緩め、鞄から団扇代わりにノートを一冊取り出して仰ぎ始める。走ってきたのも本当なのだろう、呼吸を整えている。


「で、話の続きだけど。中学はバスケ部だったから、高校でも続けるかどうしようか悩んでるのよねー。スポーツクラスで推薦受けている連中の中に混じってやっていけるか不安はあるし」


「そうなのか?おれはサッカー部に入部するつもりだぜ!推薦なんてなくても、3年間でレギュラーを勝ち取ればいいんだし、上の世代がいないっていうのは正直うれしくない?」


「それはそうなのよねー。中学の時はやっぱり先輩後輩の上下関係ってちょっと面倒なところもあったし、古賀の言うとおりあたしもバスケに青春を捧げようかなー」


古賀の言葉に揺れていた心が傾いたのか、斉藤も部活動を行う方向で検討しているようだ。


「サッカー部ならスポーツクラスだけど、昨日仲良くなったやつがいるから、時間があれば紹介するよ。俺も昨日以降は話せてないから、今日どこかで会えれば紹介する」


「まじで。やっぱ入部前に少しでも知ってるやつがいると助かるぜ。よろしく」


俺の方をバシバシとたたく古賀を止めると、そういえばと言う表情で質問される。


「金沢っていつまでも呼ぶのは他人行儀だから、ハルでいいか?ハルは部活動しないのか?なんなら俺と一緒に国立目指すのもありだぜ!」


「あ、それじゃああたしもハルって呼ぶね。あたしは好きに呼んでいいから!大木さんも麻衣って呼ぶね。古賀はー・・・古賀で笑」


「なんでやねん!」


そう言って斉藤に突っ込む古賀の姿を見て3人で笑う。


「たしかに古賀は古賀かな」


「私は男の子を呼び捨ては緊張するから金沢くんと古賀君で。斉藤さんは凪咲ちゃんでいいかな?」


「OKOK!気軽に呼んで、麻衣ちゃん」


昨日今日とでこの4人でいるのは大分打ち解けてきた。今後どうなるかはわからないが、当面の間はグループとして活動できるだろう。友達ができなかったらどうしようかと一抹の不安はあったが、そういった事態はこれで回避できただろう。


「それで?ハルは一緒に国立目指す?」


「流石にサッカーは全くの初心者だから、今から始めるのは勘弁かな。俺は学校が強制しないなら部活動はせずにバイトとかするかもな」


俺の言葉に大木さんは少し寂しそうな表情を浮かべる。俺の過去を知っているので、野球部に入部しないのかという気持ちがあるんだろう。


大木さんの様子に気づきながらも、あえて俺は気づかないふりをする。


そんなタイミングで教室に備えられたスピーカーから予鈴のチャイムが鳴る。その音とともに、教室のドアが開き、山口先生が教壇の前に姿を見せた。


それからは昨日アナウンスがあったとおり、学園内の案内からオリエンテーション、昼食を挟み学園で行われている部活動の紹介も終わり、入学2日目の一日は終了しようとしていた。


今日も放課後は特に用事もないと言うことで、周りの3人と話をしながら帰宅の準備をしていた。


そんなタイミングで1年4組に思わぬべきとも言うべき来訪者が現れる。


「失礼します。4組の金沢くんはまだ残っていらっしゃいますか?お話したいことがあるのですが」


そう言って教室のドアの前に立っているのは、入学式当日に新入生代表として挨拶をしていた、学年を代表するであろう美少女の桜木凰花であった。


クラスメイトはもちろん、俺のそばにいる3人も桜木さんと俺の姿を交互に見て、奇異の視線を向ける。


だが俺も桜木さんとは全くの初対面であり、突然の来訪に言葉を失っていた。


こうして俺にとって衝撃的とも言うべきか、運命的とでも言うべきか、このときの俺にとっては波乱を呼ぶ事件はこの一日が終わった放課後に起こったのだった。

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