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元女房役の俺の元に押しかけてくる恋女房?  作者: コーヒー


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24/30

5月3週目 対東星学園 ①

来る日曜日、東星学園との練習試合の当日を迎えた俺たち桜阪学園野球部はすでに野球部の専用グラウンドに集合し、試合の準備を行っていた。


一時間前に集合していた俺たちは監督である桜木さんからすでに当日のスタメンを発表されている。


1番ショート天江、2番キャッチャー金沢、3番センター佐藤、4番サード羽川、5番ピッチャー野上、6番ファースト松山、7番セカンド小松、8番ライト安藤、9番レフト田川


控えに長瀬、山田、渡部となっている。


山田は残念ながらスタメンから落ちて田川がスタメンに抜擢された。


その理由は田川の足を武器にしたいと言うこと。まだまだ粗い部分はあるが、この一ヶ月守備練習を行い、持ち前の運動神経である程度打球を処理できるようになり、走力もあるため守備範囲もそれなりに広い。


そして出塁すれば部内一の俊足は大きな武器になる。今はまだ1番打者を任せるだけのバッティング能力や出塁率はないが、1年後にはそのポジションを担っているかもしれない。


ベンチにおいてここ一番の代走という手も一つだが、控えの層が薄い中で不慣れなポジションを守らなければならなくなるリスクを天秤に掛けて、スタメン起用になったのだろう。


そしてスタメンに抜擢された田川自身もスタメンで出れる事が嬉しいようで、入念にアップをして準備に余念がない様子だ。控えに回った3人も空気を悪くすることなく、田川の周りで声をかけている。


そしてスタメンに選ばれた他のメンバーも東星学園の到着を今か今かと待ちながら、アップを行う。


そして東星学園が到着するであろう予定時刻に合わせて、ユニフォームを着た一団がこちらに近づいてくるが見えた。その先頭にはマネージャーの土井さんが先導している姿もある。


「「「ちわーっす!!!」」」


グラウンドの前に現れた一団はグランドに一礼すると室内練習場へと向かっていく。


「下原がいたな」


「あぁ、それに新田、清川、湯川の姿もあったな」


近くにいた佐藤と松山がそう話す。


「その4人はうちでスカウトされてたメンバー?」


俺が二人に問いかけると佐藤が首を縦に振る。


「下原がピッチャー、新田がキャッチャーでこの二人は同じシニア出身。下原はスライダーが得意な左投手で下原はバッティングはそこまでだけど、ブロッキング能力の良い守備型のキャッチャーだな」


「とはいっても当時の練習会で野上のストレートをキャッチできてなかったけどな」


天江が横から口を挟んでくる。そばにいた野上も無言で首を縦に振っている。


「野上のストレートは初見じゃ誰も取れないだろ。少なくとも高一では。ブランクあるのに普通に取ってる誰かさんが異常なんだよ」


「それな」


…相手の情報を聞いていたはずが、何故か俺が悪く言われている。解せぬ。


「清川と湯川の二人は?」


「清川は典型的なプルヒッターのファースト。打率は良くないけど長打率が高かったはず。うちに入部してたら恐らくクリーンナップの一角だったと思う」


「湯川は俊足巧打のセカンド。天江の同じシニアだったよな?」


佐藤が問いかけると、天江は苦虫を潰した顔をして答える。


「知らねえよ。あんな裏切り者」


そう言うと天江は話から離れてアップに戻っていった。


「天江と湯川って何かあったの?」


「元々は息の合った二遊間で有名だったんだけど...」


俺の問いかけにメンバーも顔を見合わせるが答えを知るものはいなかった。


「他に知ってるメンバーはいた?」


俺の問いかけに他にも何人か見かけたことがあるというメンバーも上がっていたので、東星学園のメンバーはこれまで戦った公立校のチームよりも手強いかもしれない。


それから10分ほどすると東星学園のメンバーが室内練習場からグラウンドに戻ってきた。


先ほど名前の上がった下原ら4人は引率している男性に声を掛けると、こちらに近づいてくる。


そして俺たちの前にやってくると、代表して下原が口を開く。


「お前ら、久しぶりだな。元気にしてたか?」


「あぁ、見ての通りだよ」


下原の言葉に佐藤が応える。


「しっかし、これだけ環境が良くて上級生もいないなら、やっぱりこっちに来ても良かったかもな。なぁお前ら」


「違いない」


下原の軽口に新田が答えると、他の二人も面白そうに笑っている。だがその笑いは本心から笑うと言うよりもこちらを馬鹿にするような笑い方だ。


「お前ら!」


「おいおい、佐藤、怒るなよ。でも正直言わせてもらうと、お前らは選択を間違えたと思うぜ。たいした指導者もいない環境のお前らと、コーチ陣の指導や上級生のプレーから学んで成長出来る俺たち。普通に考えたらどちらを選ぶよ」


「そうそう、黒崎監督が就任するなら俺たちも桜阪学園を選んだけど、それがなければそっちは私立として多少設備のいいだけの学校だろ」


「あとは女子マネが多いこと」


「「「それな」」」


清川と湯川の二人のその言葉に佐藤は熱くなりそうになっている。


「まぁまぁ。少なくとも今時点でどっちが上なのかはこの後の試合で白黒つくんだから、あとは結果で示そうぜ。な、佐藤」


俺が佐藤を落ち着けるように背を叩きながら声を掛けると、佐藤も少し落ち着いたのか、そうだなと言葉を返した。


「誰だよお前?」


新田が話に割り込んできた俺に不快そうな視線を向けてくる。


「桜阪学園野球部の一員だよ。どうぞよろしく」


礼には礼を。グラウンドでは最大限の礼を払うが、今のこの男にはそんな気持ちにもならない。


「まっ、そこのデブの言うとおりじゃね?結果はこの後わかるんだから。それじゃあ俺らもアップするからここらへんで」


下原がそう言うと、東星学園のメンバーの方に戻ろうと動き出して。途中で何かを思い出したかのようにこちらに振り返る。


「あーそうそう。野上、お前さ」


下原は野上に声を掛ける。


「お前は絶対にこっちに来た方がよかったぜ。うちのエースも148kmのストレートを投げるんだけど、うちの2年生正捕手はそれを軽々捕ってるぜ」


「うっ...」


「お前はこっちに来てれば今からでもAチームに入れたかもしれないのに、って黒川監督が嘆いていたぜ。まぁお前がきたら俺も楽できただろうし。黒川監督はお前と俺の2枚看板で考えていたそうだからな」


「まぁ本気で投げなくてもピッチャーはできるからな。精々頑張れ」


そう言うと、これ以上言うことはないという様子でチームに戻っていった。


その様子を見てその場にいた俺たちは無言で顔を見合わせる。


「散々好き放題いってくれてたな」


「あぁ、舐められてるな」


「正直アマがこの場から離れてくれて良かったぜ。絶対もっと揉めただろ」


「「「それはそう」」」


その場にいた全員が声をあげて笑う。


「まぁカナが言うとおり、試合で白黒つければ良いだけだし」


「この学校を選ばなかったことを後悔して帰ってもらおうぜ」


「それな。野上も手を抜く必要はないぜ。ストレートを見せつけてやれ」


「うん」


「俺にデブっていったことも撤回させないとだしな」


「「「それは事実」」」


「おい!」


俺がツッコミを入れると、メンバーは改めて声を出して笑い出す。


「話は聞こえていたわ」


俺たちに近づいてきた桜木さんは俺たちに向けて声を掛けてくる。


「上級生も含めた総合力はさておいて、現時点で野上君以上のピッチャーが相手チームにいる?天江君以上のショートがいる?佐藤君以上のセンターがいる?そして金沢君を超えるキャッチャーがいる?」


「あぁいないな」


「なら今日の試合で目にもの見せてあげましょう」


「「「おぉーーー!!!」」」


「(あれ、俺の名前は?まぁファーストで清川に勝てるかっていわれたらむずかしいけど...)」


桜木さんの言葉に俺たちはやる気をあげて、練習試合の開始まで準備をするのであった。


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