4月3週目 ①
4月も3週目の土曜日、早いもので今日でこの桜阪学園に入学して2週間が過ぎ、学園が定めた部活動の仮入部期間も昨日で終了した。
俺が入部した野球部も仮入部期間には総勢30名近く集まっていた部員候補も、正式に入部届けを提出した部員が12名、マネージャーとしてサポートしてくれる部員が3名、そしてスカウティング班として3名、総勢18名が第1期生として集まった。ここに監督として桜木を加えると学生は19名になる。
マネージャーは女子生徒が3名。
土井 ほのかさんはショートカットのボーイッシュな小柄な女の子。
宮崎 江実さんはミディアムボブで常に笑顔が魅力のすらりとした高身長な女の子。
野田 亜里砂さんはお団子ヘアのかわいい系な女の子、3人の中では背丈は真ん中くらいである。
マネージャーの3名は練習メニューの補助や練習中に摂取する捕食の準備、またスカウティング班の手伝いとして映像の撮影や数値の記録などを担当してくれている。
スカウティング班は男子生徒2名に女子生徒1名。
広川 大地はデータオタクとのことで、数値を分析するのが好きでプロ野球でも各指標から読み取れる特徴を考察するのが趣味らしい。野球経験はあるが、高校では野球をするつもりはなかったが、自分の趣味に通じる仕事として応募し、無事合格したとのこと。現在は正式に入部した部員の能力テスト(入部後によりテスト項目が増えた内容のもの)をまとめている。
近藤 比呂は野球未経験だが、映像制作の仕事に興味があり、動画編集などの実務経験ができることを魅力に応募して合格。仮入部期間も主にカメラ担当として、入部届けを正式に提出した部員の動きを監督である桜木さんの指示のもと撮影していた。
そしてスカウティング班唯一の女子生徒である大木さん。彼女は無事スカウティング班の面談に合格し、監督である桜木さんと広川くんや近藤くん、マネージャー3名をまとめるまとめ役を務めているそうだ。
選手として入部した部員たちは本日の練習開始前のアップのために集まり、二人一組になって入念な柔軟運動を行っているところだ。
入部した部員のうち、俺を含めた野球経験者は硬式と軟式を合わせて11名。
ポジションはこれからどんどん入れ替わる可能性は高いのだが、中学までの経験ポジションはありがたいことにうまくばらけてくれている。
ピッチャー経験者は3名。
1人目は天江 玲二
主に守るのはショートとのことだが、チームではピッチャーも兼任していたとのこと。右投げ右打ちでスポーツクラス在籍。スカウト組の特待生のひとり。能力テストでは各項目で必ず上位に位置しており、実際に走攻守のレベルも高い。派手なプレーを好んでいるとのことだが、実は幼馴染みである桜木に指示され堅実な守備を心がけているとのこと。また、投手としても非凡な才能を持っており、Max135kmのストレートとスライダー、カーブ、ツーシームが持ち玉だそうだ。性格は自信家でお調子者といったところだろうか。
天江はサードを守る羽川とペアを組んでいることが多く、本日も羽川とともに柔軟を行っている。
2人目は松山 千晶
彼も主に守備につくのはファーストとのことだが、左投げ左打ちという特性から中学時代ピッチャーも兼任していた。彼もスポーツクラス在籍のスカウト組とのことで、スカウト時は小柄163cmと小柄だったが、入学時までに7cm身長が伸びて現在170cm、そして今なお身長が伸びているとのこと。ストレートはMax128kmとスローカーブが持ち玉とのこと。
性格は真面目で言われたことはきちんとやるタイプのようだ。
松山は同じく内野のポジションでセカンドにつく小松とペアを組んでいる。
そして3人目ですでにチームのエース候補筆頭の野上 淳
右投げ右打ちの本格派投手。175cmの身長から投げ下ろすMax145kmのストレートは球速以上の伸びを感じさせてそれだけでも高校一年生としては破格の才能を持っており、持ち玉はスライダーとチェンジアップの2種類とのこと。
そんな野上だが中学時代は実はそこまでピッチャーとしてはそこまで有名ではなかったとのこと。彼のストレートをとれる捕手が当時在籍したチームにいなかったため、そのポテンシャルを十分に発揮できず、それでも野手としての能力も非凡であったため、強豪校も注目していたが、最終的に桜阪学園の特待生として入学を決めたとのことだ。
野上はキャッチャーである俺とペアであることが多く、今のようにアップ時や練習中にコミュニケーションをとっているが、どうも性格的に自己主張が苦手な様子で、今後もコミュニケーションをとっていかなければならない。
キャッチャー経験者は俺こと金沢遙人ひとり。
チームとしては俺の控えのキャッチャーを作るということも今後の課題である。
ちなみに部員の中には俺の事を知っている人間も多く、実際に自己紹介をしたときには変わり果てた俺の姿に絶句する者もいた。自慢ではないが、やはり小学生のころの俺はそれだけ有名な選手であったと少し嬉しくもあったが、、、
野球を辞めた理由を話したときはいろいろな受け止め方をするものが多かったが、最終的にはまず痩せろという激励と一緒に頑張ろうという言葉をもらうことができた。
セカンドは先ほど名前をあげた小松 仁
右投げ左打ちでスポーツクラス在籍。160cmと身長は小柄だが、堅実な守備が武器にしているとのことで。野上とはシニア時代のチームメイトとのこと。
当初野上は元チームメイトの小松とペアを組もうとしたが、その前に小松がポジションも近く、たまたまそばにいた松山とペアを組んでしまったため、オロオロと困っていたところを俺が声をかけたという面白い一幕があったのはここだけの話。声をかけたときの野上は半分目に涙を浮かべていた。
サードの経験者は2人。
1人目はこちらも先ほど名前があがった羽川 将一
右投げ右打ちで普通科クラス出身の一般入部組。シニア出身の硬式経験者で、元々は高校では野球をやめてバイトと遊びをエンジョイしようと思っていたが、上級生がいない環境ならとりあえず入部して駄目なら辞めるかという気持ちで部に入ったが、チームの主力として活躍できそうで、何より監督やマネージャーなど女子生徒も複数名在籍している環境に魅力を感じたとのことで正式に入部したそうだ。
一般入部組だが能力テストでは各数値上位に位置しており、身長も178cmとチームの中では大柄な方。実際天江と羽川の二人が野手の中軸を担うことになるだろう。
性格はお調子者だと感じている。
サード経験者の二人目は長瀬 飛羽
右投げ右打ちで普通科クラス在籍。軟式経験者で趣味は筋トレ。身長は168cmだが筋力の数値はチーム屈指であり、打撃も当たれば長打に期待してくれとは本人の談。ミート力は?との質問には笑ってごまかしていた。なお守備については要練習と自分でも言っているので、ひとまずはサードの控えというポジションに収まるだろう。性格は実直で黙々と作業をこなすことを好んでいるとのこと。
そして4名は外野手の経験者
一人目は佐藤 元 (さとう はじめ)
スポーツクラス在籍のスカウト組で、右投げ右打ち、主にセンターのポジションを守っていたとのこと。持ち味は走力と守備とのことで、守備範囲には絶対の自信をもつとのこと。
身長は171cmで性格は冷静な方だろう。
2人目は安藤 祐二
右投げ右打ちで普通科クラス在籍。シニア出身の硬式経験者で主にレフトを守っていたとのことだが、本人としてはこれといった武器がなく、ただ野球が好きで入部をしたと自己紹介では語っていた。身長は166cmで性格は真面目。
3人目は渡部 孝一
右投げ左打ちで普通科クラス在籍。シニア出身の硬式経験者で主にライトを守っていたとのこと。彼も野球が好きという理由で入部した一人で、足の速さは部内でも上位。身長は172cmで性格は即断即決で行動力のあるタイプだ。
4人目は 山田 尚
左投げ左打ちで普通科クラス在籍。軟式経験者で中学は内野も守っていたが、硬式のボールに少し恐怖心を持っており、外野手を希望。軟式のときはバントがうまく小技には自信があるとのこと。早く硬式球に慣れて戦力になりたいと話していた。
身長は165cmで性格はやや臆病といった感じである。
そして部内で唯一の未経験者である田川 怜央
右投げ右打ちで普通科クラス在籍。中学ではは陸上部に在籍しており短距離出身。部内でも随一で足が速い。高校でも陸上をやるか悩んだが、桜木凰花に一目惚れをしたそうで、緩徐が野球部に在籍すると聞き、2日目から仮入部に参加。あわよくばという気持ちを胸に野球部に入部した。運動神経はいいので今後の成長に期待されている。身長は170cmで性格は負けず嫌いだ。
長瀬、佐藤、安藤、渡部、山田、田川の6人は部内でも仲がよく、ペアもその日の気分で好き好きに組んでいる。
そしてアップの時間が終わると監督である桜木さんとマネージャー・スカウティング班の面々が練習の準備と打ち合わせを終えて俺たちの前にやってくる。それを見て俺たちも一列に整列する。
「それじゃあ桜阪学園野球部の正式始動の時間よ。部の方針を説明するから、それが終わり次第練習を開始するわね。それじゃあよろしくお願いします」
「「「「よろしくお願いします!!!!」」」」
こうして俺たち桜阪学園野球部の正式始動を迎えたのであった。




