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元女房役の俺の元に押しかけてくる恋女房?  作者: コーヒー


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入学前

カクヨムでも投稿しております。

2月某日


来年度より開校予定である桜阪学園、理事長の桜木のもとに一本の電話が入る。

それは桜木にとって寝耳に水と言っていい内容のものであった。


「黒川さん、この時期にそんなことを言われても困ります。はいそうですかと承知できるわけがないでしょう」


電話の相手は黒川という男性。

来年度より開校する桜阪学園で野球部の監督を任される予定であり、桜阪学園が開校する地区でいくつもの学校で部を監督し、地区ベスト4という実績を残している。


「あなたが集めた生徒さんはどうするんです、あなたを信じてスカウトに応じてくれて、当校の推薦を受けてくれている。あなたはそんな学生たちも見捨てるんですか?」


桜木には桜阪学園を開設する上で野望があった。昨今の少子化の中で学生数は減少している。その中で学生を確保するには学生やその親御さんたちへ学園に目を向けさせる何かが必要となる。


その何かとは、学力なのか、なにか目玉になるような実績を残すことか、はたまたそれ以外か。その中で桜木が選択したのは野球部の甲子園出場であった。


もちろん他の部活動をないがしろにすると言うことではないが、同校に進学予定の桜木の孫が野球部を強くプッシュしたこと。また、新設校にとって喉から手が出るほど欲しい実績を持った黒川という人財が、タイミングよく夏まで率いたチームの引退とともに勇退し、次の仕事場を探しているという情報が入ったこと。そして実際にスカウトに成功したことで、いくつものプランと同時並行で進めていた結果、野球部に注力するという話がメインプランの1つとなっていた。


黒川という監督のブランドは、新入生のスカウトという場でも大きく働いた。

もちろん地区のトップの実力を持つ学生たちは全国各地からスカウトが動いており、獲得合戦では大きく後れをとったが、それでも彼らが3年になった際には全国を狙えると、黒川が太鼓判を押す生徒は確保できた。


「学生たちも責任を持って引き取る!?何をめちゃくちゃなことを!!」

「おい、まだ話は終わってない!!」

桜木の言葉を無視するように、電話先の黒崎はそれ以上話はないと一方的に通話を終了した。


黒崎の話は要約するとこうだ。


・別の強豪校からの誘いを受けるため監督就任を撤回

・スカウトした学生たちも希望するものは就任予定の学校で引き取る


「めちゃくちゃだ。この時期から新しい監督候補を探しても見つかるかどうか。それに学生を引き取るだって?」


スカウトに応じてくれた学生の大半は「監督の黒川」に魅力を感じて進学を決めたであろう。それがなくなった場合、何人がこの学校に進学してくれるか。


桜阪学園の始動は学校の開校を前に、大問題の発生からのスタートとなった。





3月末日


結論から言うと、黒川の離脱という影響はやはり大きかった。

当初20名の学生が野球部に入部予定であったが、結果として入学を希望して実際に決まったのは5名。それも各ポジションのレギュラー候補で残ったのは2名、バックアッパー候補が3名という結果だった。


残りの15名は黒川の離脱と言うことで別の進路を決めた学生が大半だった。


結果として入学を決めた生徒のうち、黒川が別格の素材と言っていた投手が残ってくれているのが僥倖。


監督は本年度から任せられる人間はまだ見つかっていない、いや正確に言うと黒川と言う男の名前がここでも尾を引いている。どこで漏れたのか、黒川が桜阪学園の監督を断った話は地区の野球関係者に広まっており、その際に主力の生徒が抜けたことも伝わり、手を上げる関係者がいないのだ。


「おじいちゃん、監督候補は見つからないんだよね?」


桜木の孫の凰花おうかが話しかけてきた。


「凰花、そうだね。隠しても仕方がないから伝えるけど、芳しくない」


「おじいちゃんがしばらく悩んでいたのはわかってるし、こんなことを言ったら怒られちゃうかもだけど、もう起こったことは仕方ないから、その中で何ができるかに切り替えようよ」


「とはいっても、部に関しては担当の先生は用意できても、やはり指導者がいないと。。。」


「逆転の発想だよ。こうなったら指導者が見つかるまでは学生の自主性にまかせてみるのは?」


といって凰花は一昔前に流行った、女子マネージャーがマネジメントするという小説を持って笑っている。


この子が野球を大好きでいることはもちろん知っているが、まさか狙っているのか?と笑みを浮かべる。


「それにおじいちゃんに朗報じゃないけど、入学試験の時にすごく面白い人を見つけたの」


「面白い人?」


「そう!面白い人!たぶん入学するだろうし、野球部のメンバーも彼のことは知ってると思うの」


「そんな有望な子が一般の入試で?スカウトからも漏れているのに?」


桜木の問いかけに凰花は困ったように笑う


「ちょっと特殊な事情があるみたいで...たぶんそのままみたらわからないと思うんだけど」


そう言って凰花は桜木に事情を説明する。


「そうか。経緯はわからないけどもし本当に入部してくれたら戦力になってくれるかもしれないね」


「だから私がこの子を部に入部させることができたら」


といって凰花は祖父である桜木にあることを約束させるのであった。


12年ぶりの小説の執筆。恥ずかしながら戻ってきました。

カクヨムで公開しておりますが、よろしければこちらで感想、評価頂けると嬉しいです。

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