episode9 酒場での乱闘
スズに付きまとっているという男は、
ガラが悪く、酒場で四人の仲間と飲んでいた。
「テメェは帰れ、用はない」
男は高圧的な態度で言うと、立ち上がり、
派手な装飾の長剣を鞘から抜く。
「消えろ、ぶち殺すぞ!」
奴が怒鳴り声をあげた、瞬間、
バギーン。
軍用義足で長剣を蹴り、真っ二つに叩き折った。
「うあっ、何だ、コイツは!」
男の顔は青くなり、
酒場の客が、ガヤガヤと騒ぐ。
その中で、
「この野郎が!」
仲間の一人が短剣で、
「死にやがれ」
俺の右の脇腹を刺した。
ズブリ。
右脇腹に激痛が走り、生温かい血が流れる。
「しまった、油断した」
不覚にも、短剣の切っ先は右脇腹を、
深く、刺し貫いていた。
「こうなっては、仕方がないか」
俺は腰の拳銃を抜いて、
バァン、バアン、バァン、バァン!
至近距離から銃撃し、四人を射殺した。
頭や胸の急所を撃たれて、血の海に沈む、死体。
酒場の店内は騒然となる。
「病院に連れて行ってくれ」
俺は傷口を押さえ、アリスの案内で、
町の病院に向かう。
そして、初老の医師に、
「運が良いな。急所は外れているよ」
と、脇腹の傷を縫合してもらって、
治療費は、とりあえずアリスが支払った。
「金貨は後で、返すよ」
と、言う、俺にアリスは、
「なに言ってるの、私のせいでケガをしたのに」
心配そうな表情で俺の顔を見る。
「俺は兵隊だし、これぐらいの傷は日常茶飯事だ」
その後は、ホテルの部屋に戻ったのだが、
ズキズキと傷が痛みだし、ベッドに寝転んで、
痛みに耐えた。
そんな時にランスロットが来訪して、
「あまり、騒ぎを起こされては困るな」
怪我人の俺に、
小言のような抗議を申し入れてくる。